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テラーノベル(Teller Novel)
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廊下を進み階段に向かう。階段を降りていると

「怜ちゃん。さっき右側にあった扉はどこに繋がってるの?」

「ベランダ。廊下にカーテンかかってたでしょ?

カーテンのとこ窓でそこからもベランダ見えるよ」

「やっぱり豪邸」

そんな会話をしリビングの扉を開ける。

付けっぱなしのテレビでキャスターの方がニュースを読み上げている。

そのテレビに近づき、ローテーブルの上に置いてある自分のグラスを手に取り

グラスの中のオーラを一気に喉に流し込む。

「オーラ飲んでグラスキッチンに持ってきて」

そう言いながらキッチンへ向かう。

「怜ちゃんよく一気にいけるね?」

そう言いながら鹿島もソファーには座らず、ローテーブルに置いてあったグラスを手に持ち

中のオーラを一口飲んでは休み一口飲んでは休みを繰り返している。

僕はその間に自分のグラスを洗う。

「炭酸には強いのよ」

そう返しグラスを食器用洗剤をつけていないスポンジで軽く洗う。

「はい!」

先ほどより鹿島の声が大きく聞こえる。

左を見るとグラスを突き出した鹿島が立っていた。

「別に正面から渡してくれりゃいいのに」

鹿島のグラスを手に取り洗い始める。

「ご馳走様でした」

そう言いながら手を胸の前で合掌し軽くお辞儀をする。

「はい、どーも」

手を動かしながらそう返す。

「なんか今の怜ちゃんの姿見てるとまた不安に襲われるわぁ〜」

鹿島が冷蔵庫の横の壁にもたれながら言う。

「なにが?」

「いやだって玄関の扉の前でこそこそするわ、グラスは洗って痕跡消すわで」

「お前な、親に黙って大学サボって

親に黙って友達家に入れてのんびり寛いでたんだから痕跡は消すんだよ」

そう言いながら鹿島のグラスも洗い終える。

先程洗った自分のグラスと

今洗い終えた鹿島のグラスに付着した水滴をキッチンペーパーで拭き取る。

キッチンペーパーをゴミ箱へ捨てグラスを食器棚の元あった位置に戻す。

手をタオルで拭きながら

「そろそろ出ようか」

そう言いリビングに荷物を取りに行く。

ダイニングテーブルの上に置いたスマホを取り、ジーンズの前ポケットの右側に入れ

ソファーに置いてあるバッグを取ろうとすると

鹿島も鹿島自身のバッグを取ろうと先にソファーのほうへ行っていたため

ソファーの背もたれ部分の上から腕を伸ばして

「はいよっ」

と僕のバッグを渡してくれた。

「ありがと」

そう言いながらバッグを受け取り肩にかける。

2人でリビングを出る前に僕は一度振り返り、今一度リビングを見渡す。

「証拠隠滅念入りですねぇ〜」

背後でそう言う鹿島に

「先出てていいよ」

指指しで痕跡が残っていないか確認しながらそう言う。

玄関で鹿島が靴を履く音が背後から聞こえる。

僕はテレビの前のローテーブルに向かう。リモコンの位置を頭で思い出す。


…。


思い出せない。あまり気に留めていなかった。

とりあえずローテーブルの左側のテレビ寄りのところにしっかりと縦に整え置く。

もう一度リビングの扉の前に戻り廊下に出る。

廊下からリビングの扉のドアノブに右手をかけ、今一度リビングを見渡す。

左手で後頭部の辺りを掻きながら

なんかしっくりこない気持ち、まだ少し不安な気持ちを持ちながらリビングの扉を閉めた。

「証拠隠滅できてた?」

鹿島はまだ玄関にいた。靴は履き終わっていたが外には出ていなかった。

「まぁちょっと不安だけど」

そう言い靴を履くためにしゃがみ自分の靴を足にはめる。

「外出てなかったんか」

靴を履きながら鹿島に尋ねると

「ちょっと肌寒いしさ?」

「今日春らしい気温ってお天気お姉さんが言ってたけど?」

「たしかに昼はちょうどよかったけど朝とか風はちょい冷たでしたよ?」

「あぁたしかに朝寒かったかも。そーなると陽が落ちたらまだ肌寒いかもな」

そう言いながら自分の服を見て鹿島の服を見た。

「これじゃ、寒いかな?」

改めて鹿島と自分の服を見比べてそう言う。

「まぁそんな凍えるほど寒いことはないし大丈夫だろ」

「まぁそうだな」

内心寒かったら嫌だなぁ〜と思いながらも

その思いを振り切るように両膝に両手を置き勢いよく立ち上がった。

鹿島がドアを開け2人で外の世界へ繰り出した。

猫舌ということ。

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