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空は燃えていた。赤と灰色の雲が渦を巻き、遠くで地響きのような崩落音が呻く。都市は跡形もなく、瓦礫と静寂だけが広がっていた。世界が終わる音は、意外にも静かだった。 廃墟ビルの屋上、ひび割れたコンクリートに座る二人。サヤとミオ。サヤの黒髪は風に乱れ、ミオの金色の髪は煤でくすんでいた。だが、ミオの目は星のように輝いていた。

「ねえ、サヤ。覚えてる? 初めて会った日のこと」

ミオが笑う。サヤは膝を抱え、ミオの声に耳を傾ける。

「学校の屋上。サヤ、数学の宿題を忘れて泣いてたよね。私、笑っちゃったんだから」

サヤの唇に小さな笑みが浮かぶ。

「ひどいよね、ミオ。泣いてる子を笑うなんて」

「でも、こうやって話すようになったじゃん。悔いはないよ」

風が唸りを上げる。遠くで何かが砕ける音。サヤはミオの手を握った。冷たいのに、どこか温かい。

「ミオ、怖い?」

ミオは首を振る。

「怖いよ。でも、サヤがいるから平気だよ。」

世界が壊れていく。地平線の向こうで、地面が裂け、赤い光が漏れ出す。もう逃げ場はない。だが、二人は逃げなかった。

「もし、明日があったら、ミオは何したい?」

サヤの声は震えていた。ミオは考えるように空を見上げ、笑う。

「サヤと海に行きたい。砂浜で、馬鹿みたいに走って、笑ってさ。サヤは?」

「私は…ミオと本屋に行きたい。ふたりで本読んで、コーヒー飲んで、ずっと話してたい」

空が落ちてくるような音がした。ミオがサヤの肩に頭を預ける。

「いいね、それ。じゃあ、約束ね。次の世界で、絶対そうしよう」

「うん、約束」

サヤの目から涙がこぼれる。ミオはそっと指で拭い、囁く。

「ねえ、サヤ。最後まで話そう。世界が壊れるまで。私の好きなサヤの声、聞かせて」

サヤは頷き、声を絞り出す。

「ミオが笑うと、いつも世界が少し明るくなる。初めて会った時から、ずっと」

ミオが笑う。

「ずるいよ、サヤ。そんなこと言われたら、もっと話したくなる。」

二人は話し続けた。思い出と夢を、軽い冗談を。空が裂け、地面が消えても、二人の声は響き合った。

最後の瞬間、ミオが囁く。

「サヤ、好きだよ」

サヤの答えは、崩れる世界にかき消された。だが、ミオの笑顔は、すべてを伝えていた。

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