テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
おんりー主人公です
キャラ崩壊あり・パクリ ×
きっと俺は、周りに比べて感情が出にくかったのだろう。
そんな俺を少し気味悪そうに見る人もいた。けど、そんな俺にも友達ができた。今、その子たちとは親友だ。
小学校の頃から、一緒にいてくれる掛け替えのない大切な仲間だ。
おらふくん、おおはらMEN、ぼんさん、ドズさん。
ぼんさん(ぼんじゅうるさん)とドズさん(ドズルさん)は俺らと年は同じだけど、とても頼れるから親しみを込めてさん付けだ。
それは少し可笑しいと思うかもしれないが、小学生の頃からの呼び名だ。今更変えたりはしない。
おらふくんは天真爛漫で笑顔が輝いている。みんなの末っ子のように扱われている。
おおはらMEN、通称MENはいたずら好きで時々とてもお茶目だ。毎日を全力で楽しんでいる。
小学校からずっと一緒の俺らは、高校ではバラバラになってしまうと思っていたが、そんなことは杞憂に終わった。なぜかみんな志望校が同じでみんな一緒に受かることができていた。クラスも同じで、奇跡だねと四人が喜び合っているのを俺は内心ニコニコで見つめていた。
社交的な四人はすぐにクラスで人気者になっていた。俺は、人と話すことも苦手で口下手。感情も出にくいからやはりクラスでは浮いていた。だけど、四人がいたから苦しくなんかなかったし、中学の時のように俺含めた五人で楽しく過ごせていた。
最低限の勉強や運動はずっと続けていたから、頭が悪かったり運動音痴だったりすることはなかった。なんならクラスでは上の方だったように思う。
クラスでういている俺が、目に見えてわかる欠点を出さないせいか、いつのまにかいじめの対象になってしまっていた。
最初はいじめとは気づかないくらいの小さなイタズラだった。肩がぶつかったり、俺の方にシャーペンが飛んできたり。不運が続いているだけだと思っていた。
そのまま小さなもので終わっていたらよかったのだが、そんな都合の良いことはなく、どんどんエスカレートしていった。
幸いというべきか、そのすべてが四人が見ていない時に行われていた。
迷惑なんかかけられない。四人に、守ってもらうわけにはいかない。
対等でいたいから。
しばらくしても、いじめが終わる気配はなかった。教科書やノートがなくなり、ゴミ箱に入っているのなんか日常だし、机の中には悪口の書かれた紙でいっぱいだ。最初は一度見てからゴミ箱に捨てていた。だけど、少ししたら見るのも嫌になってしまっている。紙の内容をみると心がまいってしまいそうになる。
「死ね」「クソ」「ゴミ」
そんなのはまだ良い方だ。
「生きている価値がない」
と、似たような内容を見ているとそれに感化されてしまい、どんどんネガティブになってしまう。
人とぶつかることも増えた。なんならどさくさに紛れて殴られることもあった。
面と向かって暴力を振るうと、大人に言われたら面倒になるとわかっているのか、人が多いところで殴られる。顔は見えないように。
上靴がなくなった。筆箱が捨てられた。物が破られる、傷つけられるのは日常茶飯事になっていた。
ぼーっとすることが増えている。頭の中ではいつもいじめのことを考えている。
一人でいるときに思わず口をついて出てきた言葉は「つらい」だった。自分でも驚いた。こんなに簡単に弱音を吐いてしまったことを。みんなの前でも口を漏らしてしまうと恐れた。
そして、いじめをつらいと思ってしまっている弱い自分がとてつもなく嫌だった。
いじめているやつらに負けた気がして。
自分が弱くなった気がして。
みんなを、頼ってしまいそうな気がして。
自分がつらいと自覚してしまった日から夜、うなされるようになった。すべて泣き喚く自分を最後に目が覚める。寝るのも怖くなっている。親にも、バレたくない。弱いところを見せるのが、本当に苦手だった。
枕に顔を押し付けて、叫んでしまいそうになるのを抑え込んで。怖いと震えながら眠る。悪夢で起きて、寝れなくなる。そんな、睡眠不足の日々を過ごした。
四人には、
「おんりーなんか変じゃない?」
「何かあったら言ってね?」
「目がうつろ。平気か?ほんとに」
「無理しないでね」
そう、声をかけてくれていたが、弱い自分を見られたくない、そう思って毎回
「だいじょぶ、だいじょぶ」
と、答えていた。
「俺は強いから」
と、自己暗示をかけながら。
どんどん、学校に行くのが怖くなって、周りに見られている気がして、怖くて辛くて学校で立つのにも足が震えるようになった。
廊下をあるいていると、吐き気がして急いで階段の裏の人が来ないところにいってしゃがんだ。そしたら、なぜか、なぜか目から涙が溢れてきた。止めようとしても止まらない。しんどくて、苦しくて、もう、嫌だと心が言っているのだと感じた。
誰かに見られるのも嫌だった。弱いなんて、思われるのも。だから、できるだけ嗚咽が出ないように、静かに、荒れた心を落ち着かせようとしていた。だが、止まらない。
「っふ…ぅ、ぁ…っ、ぇ……ぁ゛あ…」
抑えていても、今まで溜まっていた物が崩れて、溢れ出して、ダムのように崩壊していた。
そこでは、自分に精一杯になっていて、人が来るなんて思っていなかった。
それも、知っている人が
「ぇ、お…んりー?」
と、呼びかけてくるなんて。
おらふくん視点
僕らはいつも五人で遊んでて、大切な仲間だと言っていた。親友だから、少しぎくしゃくしてもすぐに気づいてすぐに解決して…
でも、僕含めた四人が一番心配しているのはおんりーだ。おんりーははっきりとは感情が出にくくて、無口。だけど、誰よりも周りを大切にしていた。
けど、勘違いされることは多くあって、その度にみんなでおんりーを守ってた。
おんりーの感情は、ずっと一緒にいる僕たちは大体すぐにわかる。雰囲気や目線、少し口角が上がっている…いつのまにかそんな小さなことからわかるようになっていた。
おんりーは無理しがちだ。わかりにくいけど、無理しているときは少し上の空だ。
あと、心配で聞くと、
「だいじょぶ」
って、そう答える。無理しているとき、おんりー自身も気づいていないだろう癖だ。
おんりーはすべて自分で解決しようとする。人に頼るのが苦手で、迷惑をかけたくないからだろう。おんりーが泣くのも見たことがない。大怪我をした時も、誰かに怒られた時も泣かなかった。
めんも、ドズさんも、ぼんさんも、もちろん僕も、そんなおんりーのことが大好きだ。
だからこそ、無理をしてほしくなくて、違和感を感じたらすぐにおんりーに聞く。
「何かあったら言ってね」
って。
高校生活しばらくして、おんりーが少し変だった。ぼーっとしていたり、手が震えていたり。いつも通り何もなさそうな顔をしていたが、僕たち四人はすぐに気がついた。そして、何があったか聞いた。
けど、返ってきたのは
「だいじょぶ、だいじょぶ」
そう、無意識のつらいと言うサインだった。
僕たちはそこからおんりーになにもないかしっかり見ていた。だけど、それと言った情報はない。そう思っていた。
しばらくしたある日。購買に行く途中、近道をして人が少ない階段近くを通ろうとした。
すると、誰かが泣いているような声がした。
必死に嗚咽を抑えているような、そんな声が。
その声は聞き覚えがあって、でもその人が泣くのを見たことがなくて、半信半疑で近づいた。
「ぇ、お…んりー?」
そう思わず口をついて出た。だってそこには、目を真っ赤にして、唇を震わせて、体を縮めて、苦しそうに大粒の涙を流すおんりーがいたんだから。
おんりーは僕に気づくと、顔を真っ青にして慌てて涙をゴシゴシと拭っている。
その間に僕は三人にメッセージをおくった。
「早く購買近くの人がこない階段にきて。おんりーが大変だから」
急いでそう送っておんりーを見ると、まだ涙が止まっていないおんりーがいた。
すぐに三人がきて、おんりーを見て絶句していた。こんなおんりーを初めて見たから。
「や、ぁ…、…っ、み、ないで、……」
そうやって、顔を歪めて泣くおんりー。
「こな、ぃで、こ、ないでよ…だい、じょ、…だいじょ、ぶだから…」
見ているこっちがつらいくらいに、体を小さく震わして、泣いている。
何があったのか気になるけど、まずはおんりーを泣き止まさないと。
ゆっくりおんりーの背中をさすって落ち着かせた。おんりーは恥ずかしそうに俯いて肩を震わしている。
何か言いたそうにも見えるが口から言葉が出ないみたいだ。
「ねえ、何があったの?」
僕が聞く前にドズさんが口を開いた。
その言葉におんりーはビクッとして、
「な…なに…m」
「何もってのはなしだよな?」
めんがおんりーの言葉に被せて言う。
おんりーは、しばらく考え込んでからこう言った。
「…なにやっても、どうしていても、なぜかしんどくて…、でも、少しスッキリした。」
まだ僕らは納得していない。けど、おんりーの言うことは本当だと言うことはわかる。
すべてではないんだろうけど。
おんりーは僕らが守るから。頼って欲しい、そう思うのは、おかしいのかな?
その日から、僕らはおんりーを徹底観察した。
教室から出るふりをして、おんりーを除いたり。おんりーは気づいていたみたいで少し気まずそうに過ごしていた。
しばらくしても何も起こらなくて、僕たちは本当にただしんどかっただけなのではと思い始めていた時。
僕は急にハッとしておんりーの机の中をのぞいた。見ていないことを思い出したのだ。
他の三人も盲点だったようだ。固唾を飲んで見ている。ここに、決定的な証拠があることを理解したように。
僕は中を見て絶句した。ぐちゃぐちゃになった紙が何十枚と入っていたから。おんりーは綺麗好きでこんなことはしない。なら、もう結論は一つしかないだろう。
一応僕はその紙の中から一枚取り出して中を見た。
想像通りだった。なんなら、想像以上だった。
「バカ」とかのただの暴言なんか当然のように放り込まれている。それ以上に怒りが湧くのはおんりーの人格や生きていることを否定する言葉の数々だった。
目の前が真っ赤になって、自分が気づかなかったことへの情けなさとこんなことをする相手への怒りが、暴言となって飛び出そうとしていた。手が震え、息も浅くなり、叫んでしまいそうなくらいの怒りを感じたのは、初めてのことだった。
何も言わない僕に、痺れを切らした三人は僕の手から紙をひったくって、読み始めた。
読み終わった三人は、僕と同じような思いを抱いて、怒りが腹の中を渦巻いているようだった。
僕は、自分自身が心底嫌いになった。こんなになってもしばらく気付けないで、おんりーが泣くほどにいっぱいいっぱいになっても、見守って何もないか確認するだけで、行動しようともしていなかった。
おんりーとは、この後しっかり話そうと心に決め、三人とまず自分の気持ちを整理しようと言って教室を出た。
三人とも下を向いて暗い表情をしている。
誰もいないところまで行くと、僕は三人に問いかけた。
「どうしてそんな顔してるの?」
それに三人は少しムッとして、おんりーを守れてなかったから、と言う。
僕は自分の気持ちを整理した。もう、し終わった。
「それって、僕らが抱いてても何も意味ないよね?一番悲しいのはおんりー。一番辛いのもね。」
そういうと、三人はハッとして前を向いた。
おんりーを助けるために
おんりー視点
あぁ…バレてしまった。気づかれた。
どう、しよう。
…聞かれる。なんて、答えよう。
頼れって言われる。迷惑かけたくない。
あぁあ…ど、うしよう
教室に入るときに、みんなが俺の机を囲んでいた。その中から紙を取り出すのも見えた。
おらふくんも、みんなも、とても怖い顔をしていて、俯いて何か話すと、俺とは違う方向の扉から出ていった。俺は席に座って、どう答えるかを考えていた。みんなに、心配をかけない答え方を考えて。早く学校が終わって欲しいと思いながら。
授業が始まる直前に、みんなは帰ってきて俺を見て眉をハの字にしてとても心配そうに駆け寄ってきた。
「みん、なぁ?!」
急に腕を引かれてひとけのないところまで連れて行かれた。授業が始まっても気にしていない。
空き教室に入って鍵を閉められる。
おらふくんがゆっくり口を開き、
「おんりー。なんで今僕らに囲まれてるか、わかる?」
そう、抑揚のない声で問いかけられ、必死に頷く。怒らせないように。
「じゃあ、なんでか言って欲しいな。僕は、おんりーの口から聞きたいよ。」
言うしか、ない。
「お、れは…」
そこからはなぜか声が出てこない。
ぱくぱくと、口を開け閉めする。
おらふくんたちは見守ってくれている。
「ぃ、じめ、られて…る…」
そう聞こえないくらい小さい声で言った途端、目の前が制服でいっぱいになった。
おらふくんが、俺を抱きしめたから。
「おら、ふく、?、!」
「おんりー、おん、りー。なんで、相談してくれなかったの?」
そう聞かれて、真っ先に浮かんだのは迷惑をかけたくないから、と言う理由。そのまま口にするとおらふくん達は
「迷惑なんかじゃない!」
「相談してくれない方が、嫌だよ…」
そう言う。だけど、だけど…
そう考えているけど、どんどんわからなくなっていく。どうしてだろう。迷惑じゃないなら、相談して、解決してもらえたらよかった?、
そこまで考えたとき、やっと自分の考えを言葉にできた。
「誰かに、俺の、ため、に…何かしてもらうのが、申し訳なかっ、たから…?」
たとえ相手が迷惑だと思っていなくても、自分のために何かしてもらうのが、どうしても嫌だったのだ。申し訳なかったのだ。
「……、じゃあ相談だけはしてよ…!」
そ、っか…別に、相談するのは弱いことではない。誰かに解決してもらうのは、情けないと思ってしまうけど。
精一杯になっていて、簡単なことを考えれていなかった。
「…そう、だね。相談したら、よかった…」
そういうと四人の顔はパァッと明るくなった。
それほど、心配をかけていたのかと心が痛んだ。
すると、めんが俺のおでこにデコピンして
「まーた、迷惑かけてると思ってるだろ?俺らは逆に迷惑かけてくれてることが信頼してくれてるんだって嬉しく思うわ。心配すんなよ」
そう言ってニヤッと笑った。
めんのおかげで、肩の力が抜けるのを感じた。
本当に、俺は仲間に恵まれている。
「じゃあ、相談、させてほしい…」
そう聞くと、満面の笑みでおらふくんは頷く。
俺は今までのことと、これからどうしたらいいのかを相談した。もちろん、解決するのは自分ですると言うことも伝えた。
その言葉に四人は不本意そうにムッとなったが、俺の意思が硬いことを理解したのか折れてくれた。
「相手の顔はわかんないんだっけ?じゃあまずそいつの顔を明らかにしよう」
そう言ったのはドズさん。確かにそこからだ。解決すると言っても相手がわからなければ何もできない。
「じゃあ、どうやって…?」
「盗聴器かカメラでしょ」
結構やばいことを言っている自覚はあるのだろうか?犯罪になりうるのだが…
「人をいじめてる時点で学校にはいられないんだから大丈夫だよ、きっと」
ドズさん…。きっと、がなければもっと信じれたのに…。まぁ、言っていることは間違っていない。まずはカメラだけ仕掛けよう。相手が簡単にわかればいいのだけど。
俺は別に、復讐をしようとしているわけではないと言うのは、四人にわかっていてもらおう。
結果的に退学に追い込むことになるのだろうけど。
結論から言うと、とても呆気ないものだった。
カメラには、俺の机に紙を入れたり、ものを破ったりする場面が多く残っていて、しかも他にもアウトな発言ばっかりで、教育委員会に動画を送ったらすぐに退学、または停学だと答えが来た。
解放されることに喜びを覚えていたが、それと同時に自分の力のなさを自覚した。
悔しくて、助けてくれたのに、胸の奥がズキズキする。
結果的に、四人が解決をしてくれたようなもので、とても、自分が嫌だった。
「あ、いたいた」
そう言って現れたのはぼんさん。
俺は返事をしようとしたが、なぜか言葉が出なかった。
「大丈夫?じゃ、ないよね〜」
そりゃそうか、と笑うぼんさんに俺は怪訝な顔を向けた。
「守られてるのって、つらいよね」
「、え?な、んで」
思わずそう聞き返した俺にぼんさんは
「なんででしょーか?」
と、ニヤッと笑う。
そんなの結論は一つしかないと思った。けど、言えない。聞けない。だって、いつも飄々としていて、周りの空気を柔らかくするのが得意なぼんさんだったから。
そんなの、いじめられてたから?、なんて言えない。
「考えてる通りだよ、きっと」
そう、ニコニコと言うぼんさん。
心が読めるのかと言うくらい言い当ててくる。
俺は感情が出にくいと自分でも思っているのに…
「おんりーはね、意外とわかりやすいよ。親友の俺らを舐めてもらっちゃ困るよ〜?」
わかり、やすい?なら、なんで、いじめら、れて…?
あ、あぁ、そっか、親友だからか。
ずっと、隣で見てきてくれたからか。
でも、だからこそ守られていたあの状況が…
「悩んでいるおんりーくんに、俺の秘密を教えちゃおっかな♡」
「…」
今ので頬が引き攣っている気がする…
「わーわー!、引かないで?!変な秘密じゃないからぁ!!……気になっているであろう、いじめの話だよ」
後半は声を落として、聞かれないように囁いた。
確かに、気になっていた。四人とは、ずっと一緒だと思っていたし、いじめなんてされる暇なかったように思うから。
「んーとね、何から話そうかな。まぁ長くなるけどいっか。」
そう言って、話し始めた。
「いじめられたのはね、中学のとき。おんりー含めた四人は、すごかったからね。ドズさんとおんりーは賢かったし、めんとおらふくんは運動が得意。四人とも努力って言うのはわかってたけど、やっぱり俺はみんなより下だった。」
俺は、そのときのぼんさんもとても凄かったと思っていた。ぼんさんの話は続く。
「そんな四人とはつるんでいる俺は、みんなの反感を買ったよ。そりゃ、そうだよね。誰にも相談できずに、学校を休んだ。2週間くらい、休んだ時あったでしょ?」
確かにあった。病気かと思って、お大事にって送った記憶がある。そのときが、いじめられてた時なのか。
「簡潔に言うと、先生たちにいじめはバレてて、いじめの主犯格が退学になったことで、いじめはなくなった。そのときはね、俺は正直しんどかった。学校に行くことも憚られて、吐いてしまいそうになるくらいだった。誰も家にあげなかったよ。親は、仕事で帰ってこなかったしね。」
じゃあ、どうして来れるようになったのだろうか。
「来れるようになった理由は、めんのおかげ。なんでか、いじめに気づいたんだ。家に無理矢理にでも入ろうとしてきて、仕方なく鍵を開けたよ。久しぶりにめんの顔みたら、泣いちゃった。なにもないのに、ボロボロと涙が出て止まらなかった。めんは、そんな俺をみて、優しく抱きしめてくれた。」
あ…俺は、気づけなかった。めんは、気づけたのか。
もし、来ないことに、違和感を覚えていたら…?
「気づかなかったことに罪悪感は抱かないでね。俺が隠したんだよ。前のおんりーみたいに。それでめんはね、俺にいつも通りで接してきた。『まじ、今日の体育シャトランでさぁ辛すぎたw』とか、普通に話してくんの。身構えてたこっちとしては拍子抜けだったなぁ…。でも、そのおかげで心は少し楽になった。気を遣われない、ただの親友として扱ってもらえることがとても嬉しかった。でもやっぱり、わざわざ来て、心を救ってもらったことに罪悪感を抱いたよ。迷惑かけちゃったなって、申し訳なくなった。おんりーも同じでしょ?」
そう問いかけられて、頷く。ぼんさんも一緒だったんだと理解すると同時に、今はその気持ちがあるのかと疑問に思う。
「今もね、思い出したら恐怖でいっぱい。めんへの感謝と申し訳なさが溢れてくる。けど、めんに一回それをお礼したら、『ん?あぁ、いいっすよ〜。てか、今日遊び行きません?』ってさ。気にしてるのがバカらしくなるくらいいつも通りでさ。そうしてたらなぜか、俺も前のように会話できるようになってさ、しばらくめんが来てくれて話して、で回復ってかんじ?」
そう、何かを隠すように笑ったぼんさんに、俺は何も言えなかった。
回復ではないだろう、って
まだ心を蝕んでいるんだろう、って
めんとの間に、何があったの?なんて
二人の仲は仲間や親友であるのに加え、特別な関係なんじゃないのかなんて、そんなの聞けないなぁ…。
でも、ぼんさんはこの話をして俺にどうしてほしいのだろうか。
「まあ、ようは気軽に考えなよってことよ。いじめた奴らは羨ましかった、妬ましかったって言うこと。三人は、それも相談してほしいと思うよ。そんなに、胸に溜め込んでたら…学校に行けなくなるよ。仲間がいる。助け合いだ。守られたなら、次守ればいい。ただ、それだけでしょ?」
そう言われて、ハッとした。守られてるだけにならなければいいのか、と。
単純なことなのになぁ…
いじめられてから、難しく考えすぎる癖がついたように思う。
「ありがとう。ぼんさん」
「どーいたしましてー」
そう笑うぼんさんは、眩しかった。暗い過去を胸に隠して笑っていることは、きっととても辛いのに、その上で助けてくれた。
ごめんね、よりもありがとう、を優先させた。
その方がぼんさんは望んでいるだろうと思ったから。
みんなの元に戻って改めてみんなの顔を見た。
三人とも心配そうな顔をしている。
ぼんさんと話したことは隠しておく。みんなに言うような内容でないし、言うとしたら、ぼんさんの過去を言うことになってしまうから。
そう考えていると、ふわりと爽やかな匂いが広がった。おらふくんの匂いだ。
って、ぇ
抱きしめられ、?!
「ねえ、おんりー。頼ってね…?僕ら、仲間でしょ?親友、でしょ?…お願い。一人で溜め込まないでね…?」
きっと、何も言わずに離れたから心配させたのだろう。
けど、もう大丈夫だ。
「うん。これからは、頼るよ。仲間だから。」
その言葉にほっとしたような顔をするおらふくん。
「俺は、ね。対等でいたいんだ。だから、頼りたくなかった。守られるのは、嫌だったんだ。」
そういうと、三人は何か思うところがあるのか顔を歪めた。
「守られてるだけなのは辛かった。今回だって、結果的に解決したのは四人のおかげ。だから、とても虚しかった。今さっきね、ぼんさんと話したんだ。具体的な内容は言えないけど、でも、これからは俺もみんなを守ればいいってそう気づいたよ。」
おらふくんの目には涙が溢れていた。
ドズさんは顔をくしゃくしゃにして笑顔を浮かべていた。
めんは、ぼんさんの方をじっと見てふにゃっと笑いかけた。
ぼんさんは、やっといつもの笑顔を浮かべた。人を揶揄うような、見れば楽しくなるような、周りを明るくする笑顔を。
おらふくんもドズさんもめんも、ぼんさんも掛け替えのない大切な、一生の親友だと言うことを、改めて感じた。
こうやってまた、いつも通りを過ごすために笑い、助け、守り合う。
そんな、変わらぬ日々を歩んでいこうと誓う。
文字数約9500字。そんなに長い訳でもないですが、楽しんでいただければ幸いです
では、また
コメント
9件
とても面白かったです ストーリーの展開の仕方が好みです
こむちゃん!お久しぶり! 今回も最高だったわ.°(ಗдಗ。)°. めちゃくちゃ感動した✨ こむちゃんの作品、長いから読むの楽しい🙌 こむちゃん大好っき!!🫶
こむちゃぁぁあん!!おひさぁ~✨️ めっちゃ感動した(༎ຶ⌑༎ຶ)やばい…こむちゃんの作品もう大好き(???)