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〜〜1日目( 月曜日)〜〜
〇〇(……やっぱりこうなったか)
ペア決めで、なんとなく選んでしまったのは――碧樹もね。
無口で、ほとんど何も喋らない子。人と関わるのが苦手そうなその姿は、どこか俺に似ている。
もね 「……」
机の向かいに座ったもねは、じっと俺を見ている。
……怖い。いや、怖いというより落ち着かない。
会話の糸口を探しても、相手が反応しなければ空回りするだけで。
〇〇「……えっと、もなが言ってた“心理実験”って、何するんだろな」
もね「……観察」
短く、それだけ返ってきた。
〇〇「……俺を、観察するってこと?」
もね「……うん」
また視線が突き刺さる。まるで心の奥底まで見透かされているみたいだ。
普段から無口な彼女の“間”が、余計に俺を落ち着かなくさせる。
〇〇「……そんなに見るなよ。変なやつだな」
もね「……同じ」
もねが小さく口を開いた。
もね「……変なやつ。……一緒」
〇〇「……!」
一瞬、笑ったように見えた。けどまたすぐに無表情に戻って、黙り込む。
〇〇(……今の、笑ったのか?)
ただの勘違いかもしれない。でも――ほんの少しだけ、彼女の距離が縮まった気がした。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
そんなこんなで、月曜のペア実験は終了。
ほとんど会話はなかったけど……なぜか印象に残るのは彼女の視線と、たったひとことの言葉。
「……また明日」
帰り際、ぽつりと残して去っていったもね。
……彼女の言葉に、俺は妙に心をざわつかせた。