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──2日後。
「これくらいだね」と言い爆発現場に近づいていくリヨク。
「結構やばいな」ルエロ。
「当たったら死ぬんじゃない?」クロスケ。
「……」黙って目を見開くタカシ。
リヨク以外の3人は、爆発の威力に肝を冷やしているようだった。
「うん、当たったら死ぬと思う」
リヨクは平然と答えた後、計画した図をルエロたちに見せた。
「大丈夫。例えばここに[ウオラトトマ]を置いて、ここにシユラをおびき寄せるんだ」リヨクは、自作の大庭の図を指差しながら言った。
「ほんとに大丈夫?」と心配そうに言うクロスケ。
「うん、ぜったい大丈夫」リヨクは自信たっぷりに言った。
「……じゃ、おれ、そのおびき寄せる役やるよ」とルエロ。
「わかった。間違って踏んだりしないでね」リヨク。
「大丈夫」ルエロは、グッドポーズをした。
──「ついに明日だね」リヨクは3人の目を見て言った。
「なんか緊張するなぁ」とため息をつくルエロ。
「……大丈夫!」とタカシ。
「成功したらぼくらのムカつきは吹っ飛ぶよ! シユラと一緒に」とニヤッと笑うクロスケ。
ルエロは3人の目を見つめながら話し始めた。
「明日は、シユラが終わる時。みんな、絶対に成功させるぞー!」
「おー!!」
4人は、拳を合わせ気合いをいれた。
──次の日。
今日は長い間待ち望んだ、《《作戦決行の日》》。
リヨクとルエロは、誰にも見られていないかを確認し、入念に場所を決め、そこに[時間引力]を作った。
──芝生を成長させ、[時間引力]を隠した。
「よし、準びおっけいだな」と言い、ルエロは血が入った石の小瓶をリヨクに渡した。
リヨクは、「ぜったい成功させようね」と言い、その小瓶を受け取った。
「周りに人もいなくて、シユラを連れて行けそうなタイミングが来たらこうするよ」
ルエロは、手の甲をおでこに付けてピースした。
「わかった」とリヨクは頷いた。
──石学終わり、大庭。
ついに実行する時が来た。
ルエロは、いつものようにシユラたちのところへ行った。
リヨクは影に身を潜め、ルエロからの合図を待っていた。
──作戦はこうだ。
リヨクが観察し導き出した、広い大庭で唯一人が通らない場所。
そして、4人が実験を繰り返し導き出した、シユラに、音と爆風だけを浴びせられる場所。
さらに、その近くにシユラがいる場所に、[時間引力]を作っており、
リヨクは、タイミングを見てそこに移動し、血を垂らし、[時間引力]のタイマーをオンにする。『10分』
そして、オンにすると同時に、[爆発石ウオラトトマ]をその中心に置き、10分に近い時間になったら、ルエロが自然とシユラをベストな位置に誘導する。
といった流れだ。
リヨクがいま背負っているリュックの中には、
分厚い植物の皮でできた箱が入っており、その中には、ソフトボールほどの大きさの[爆発石ウオラトトマ]が入っている。
ベッドの綿を引きちぎって敷き詰めているため、
多少の衝撃なら爆発しないだろうという考えだ。
──ルエロは、手の甲をおでこにつけピースした。
リヨクは、「よし…」と小さく言い、リュックの中から箱を取り出し、[爆発石ウオラトトマ]を綿ごと取り出した。
そして、服の中に隠し、ゆっくり立ち上がった。
爆弾を抱えて歩く恐怖がリヨクを襲う。
リヨクは、心臓が破裂しそうなほどドキドキしながら目的地に向かう。
(ふぅ…落ちつくんだ…)
リヨクは、ルエロが出したタイミングを信じて、周りを見ず、前だけ見て、進んだ。
そして、[爆発石ウオラトトマ]を[時間引力]の中心にそーっと置くと、ポケットからルエロの血が入った石の小瓶を取り出し、タイマーをオンにした。
リヨクは、行きと帰りで自分がゾウから蚊になったような感覚になっていた。
10分に近い時間になり、ルエロがついに動き出した。
──シユラをベストな場所に誘導していく。
しかし、ルエロはベストな場所を超え、シユラを[爆発石ウオラトトマ]がある方向に近づけていく。
(え、やばいよ、それじゃシユラ爆発にあたるよ…。
え、なんで……そっちは……ちょ、ルエロ! まさか!)
「ヴォオカァアアアアン」
空気が揺れるほどの爆発だった。
リヨクはしばらくして伏せていた顔を上げた。
すると、大庭を歩く生徒たちが集まってくる。
──先生たちもすぐに駆けつけ、シユラを拾い集め出した。
──先生たちが集まり周辺を見回っている。
吹き飛ばされたルエロは、シユラが壁となり、一命を取り留めた。
──ポピュア村、その日の夜──
ベンチに座りながら、リヨクは、今も止まない心臓のドキドキに苦しんでいた。
──ルエロがやってきた。
「ルエロ! なんで!?」
リヨクは、声を大にして叫んだ。
「ざまぁみろだぜ。あー、スッキリした。おれをバカにした罰だ!」ルエロはニヤリと笑いながら言った。
「え、わざとだったの?!」
リヨクは、眉間にシワを寄せて言った。
「うん。リヨクもスッキリしただろ? ユウマもオウエンもあいつのせいで消えたんだぜ?」
「……」リヨクはただ黙って、ルエロを見ていた。
「絶対バレないって。おれも被害者だし、ほら、右腕真っ赤だぜ」
ルエロは、火傷痕を見せつけながら、にやりと笑った。
リヨクは無言で立ち尽くし、その場から動けなかった。
そして、重い沈黙の後、リヨクは何も言わずにその場を去り、家へと帰っていった。