テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
―安易に怪異と関わると、怪異に 取り込まれちゃうんだって ―
誰がいつ
そんなことを
言ったのだろうか。
そんなの分からない。
気がつけば
怪異と隣り合わせの日々だった。
なぜ今も俺は
怪異に取り込まれず無事でいられるのだろう。
答えはすぐ分かった。
幼き頃に聞いたことがある。
怪異を祓う巫女、祓い屋巫女の家系に生まれた子供は
怪異と関わっても
逃れる術がある。
そして
怪異に取り込まれそうな者を
救う手段もある。
いくつか存在した
怪異を祓うための神社
そこで育てられた巫女達は
今の今まで
怪異をひたすら祓い続けてきた。
己の命が尽きるまで。
俺はその巫女達の中の
誰かの息子ということになる。
そして俺の兄もまた
巫女の息子ということになる。
それを理解してからは
怪異と向き合う日々になった。
幼き頃初めて見た怪異は
見つめることしか出来なかったあの怪異は
当時の俺にとって
ひどく恐ろしく思えた。
第一怪異 「古き神社の黒い鳥居」
「ん………………。」
「やっと起きたか。って…なんで俺が起こしてるんだよ。俺はアンタに助けられたってのに。」
「…………。」
「………まさかさっきあったこと忘れたとか言わないよな…?」
「…??????????」
寝てたのか。俺は。目の前にいる同い年くらいの少年は呆れた様子で俺を見てる。向かい合うようにして座っていたのか。いつの間に…。…いつの間に…?いや違う、確かに座った記憶はある。この目の前の少年を助けたという記憶もある。
「…アンタ変な奴だな。」
「申し訳ない。少し疲れていたみたいだ。」
最近やたらと怪異と関わっていたからか、疲れが無意識のうちに溜まっていたらしい。少年を助けて事務所に来てから寝落ちしたのか。…よりにもよってなんでそんなタイミングで…じゃあ俺は見ず知らずの少年に寝顔を晒し続けてたのか。なんだそれ。
「えっ、と………怪我はないみたいだな。 」
「今かよ。」
「…すまん。」
「いきなり現れたと思ってここ連れてこられたと思ったら寝落ちして……ほんとなんなんだよ。……でもまぁ助けられたことは感謝する。」
「それに関しては本当に申し訳ない…少し、昔の夢を見ていたんだ…君は……えっと、先に名乗るのが礼儀だな。俺は夏乃屋(なつのや)剣(つるぎ)。18歳、高校3年だ。好きなように呼んでくれ。」
「同い年か。じゃあ剣で。…俺は折旗(おりはた)月華(つぐか)。好きに呼べよ。」
「じゃあ月華で。」
「おう。」
「………。」
「………。」
「……自己紹介したはいいが、俺達これから会うことはあるのだろうか。…月華が巻き込まれそうになるというのなら俺は助けに行けるが。そう何度も巻き込まれに行くことなんてな
「あるぞ。」
………え?」
「俺は自分の意思で怪異に会いに行った。」
どうやら月華は思ったよりも肝が据わってるらしい。俺は困惑のあまり開いた口が塞がらなかった。
「……ずいぶん度胸があるんだな。…なんで怪異に会いに行ったんだ…?」
「…気になったからだ。」
気になっただけで自らわりと危険な怪異に会いに行ったのか…。物好きなんだな月華は。
「…俺が怪異に興味を持ったのはほんとに最近だ。」
「…。」
「俺の友達は神社巡りが趣味なんだよ。…変な話ではないだろ?でもなんかその日はなんとなく嫌な予感がして。俺も一緒に行ったんだよ。そしたらアイツがたまには人気(ひとけ)のないような神社も悪くないんじゃないかって。…いざ着いてってみたら黒い鳥居があったんだよ。その神社。…遠目からだったからよく分かんなかったけどよ、お札(ふだ)みたいなのが見えた気がして。変だと思ってアイツの手引いて逃げた。」
「…賢明な判断だな。その怪異はおそらく…」
「「第一怪異、古き神社の黒い鳥居」」
「…!?知ってるのか、あの鳥居の名前を…しかも第一怪異ということまで知ってるなんて…月華、もしかして相当調べてたのか…?」
「まぁ…黒い鳥居見てからお札(ふだ)のことが気になって行きつけの図書館行ったんだよ。なんか、そういう異質なモンについてまとめてる本がないかとか…古本のとこも探して、やっとの思いでそれっぽいの見つけて。調べたら怪異がやたらと乗ってて、黒い鳥居のことも。…そこで第一怪異って数字が割り振られていることを知った。」
昔から怪異は存在していたから本があることも予想はしていたが、いつの時代かも分からない本をよく見つけたな…。
「…載ってたのは第七怪異までだった。俺の予想ではもっと怪異は存在してると思ってたけど。…あと、古本だからか字が若干読みにくくなってるとこあって。結局借りずに帰った。」
「……それで、帰り道に怪異に遭遇して俺に助けられたと。」
「そういうことだ。」
「………月華お前、あの怪異については?」
「確か渡ってはいけない横断歩道だったか?」
「…そうだな。」
第七怪異まで載ってる本を読んだなら、記憶の片隅には残るか。
「……月華の予想通り、怪異は第七以上も存在する。お前、一人暮らしか?」
「…そうだけど、それがなんだ?ってか第七以上も存在するって、それの説明でもしてくれんのか?」
「一気に説明しても頭に入り切らないだろ。しばらく家に帰らなくてもいいのなら怪異についてゆっくり話す。ここまで怪異に興味を示す奴なんて、俺みたいな祓い屋巫女の家系に生まれた奴くらいだしな。」
「…分かった。必要なモン持ってここ戻って来りゃいいんだよな。…お前はしばらくってのは数時間のつもりなんだろうけど、俺はそんなんじゃ足りねぇ。怪異を知り尽くして、アイツみたいに怪異に巻き込まれかける奴を減らす。」
…とんだ正義感の持ち主なこった。月華も言ってたが、月華の友人は月華が手を引いて引き返したから黒い鳥居をくぐらずに済んでいたようだ。
ここから、俺と月華の怪異調査が始まることになった。
62