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なんだよ大好きって。彼にとっての好きなんて薄っぺらい存在なのに、ちょっと期待しちゃうのは何でなんだろう…僕は可笑しくなってるのか?いやそうに違いない。彼が僕に向けて言う言葉は、全てファンに言ってきた言葉と同じなんだ。
「はぁ…」
「どうしたの、ゴスフェ?」
「なんでもないよ。あと背中触るな、一番痛いんだから」
「ごめんね。でも君、今は誰かに支えてもらわなきゃ歩けないでしょ?背中を触れないなら腰を触る事になるけど…いいの?」
「何でそんな事聞くんだよ、気遣ってくれるのは有難いけどそこまで酷い状態じゃないんだ。一人で歩ける」
「そう?……ねぇ、何かあった?声からして怒ってるみたいだけど」
この鈍感が。自分のせいだって事に気づかないほど彼にとっての優しさはちっぽけな物なんだ。
「はぁ、なんでもないよ…あ、」
あれだ一人で歩けるなどと意地を張っていたのに恥ずかしい事によろめいてしまった。地面にぶつかる衝撃に耐えようと目を閉じるが一向に痛みは襲ってこない。ゆっくりと目を開けると彼が僕の腕を掴んで支えてくれていた。
「あ…ありがとう」
「ほら、やっぱり無理してた…ゴスフェって本当分かりやすいよね。もう見てらんない」
そうだ、そのまま腕を離せ。そうしたら君の見たかった地面にぶつかる無様な僕を見れるんだから。しかし予想は全く的中する事はなく、彼は驚きの行動を取った。
「え…ち、ちょっと!何するんだ!」
なんと彼は僕を抱えた。つまりお姫様抱っこというのを今僕は彼にされている状況という事だ。これは普通に考えて女性がされると喜ぶものだが、男の僕からしたら恥ずかしくて堪らない。ジタバタと暴れて必死に抵抗する。
「降ろせ!」
「やーだ。このまま君の部屋まで連れて行くからじっとしてて!」
「離せ!こんなの誰かに見られたら…は、恥ずかしいだろ!!」
「っ…はぁ、本っっ当に可愛いなぁ。意地悪したくなっちゃう」
「え、待て。何考えてるんだ」
「みんなが居る道から帰ろうっと!」
「やめろぉお〜!!」
結局部屋に戻るまで様々な人から注目を浴びてしまい、僕は生き地獄を味わった。