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キスを交わし互いの身体を抱き締めて、
ふと窓に目をやると、外は雪が降り出したようだった。
「雪……」
「ああ…君といると、よく雪が降りますね」
そういえば前にここを訪れた時にも、帰りに雪が降り出したのを思い出す。
「せっかくのホワイトクリスマスだから、外に出てみたいな」
「寒いですが、大丈夫ですか?」
そう気遣ってくれた彼に、肩を抱かれると、オフショルダーの服のために、じかに手の温もりが触れ、ドキッとさせられる。
「少しだけ、一緒に雪が見たいです」
「では、私の上着を羽織ってください」
ふわりと肩にジャケットが掛けられて、
「それじゃ先生が寒くなってしまうから、」と、脱ごうとすると、
「私は、君にもらったマフラーがあるので」
言う彼に、「なら私に、巻かせてください」と、首にそっと巻いてあげた。
「あったかいですね…君に包まれているようで」
頬に手が添えられて耳元に甘く囁きかけられると、照れくささにくすっぐったくも感じられるみたいだった……。
……降る雪は、初めはちらちらと細かく舞い、次第に一片が大きな牡丹雪のようになり降り積もった。
手を差し出すと、雪の結晶が手の平に落ちて、淡く溶け出す。
山の樹々を雪が白く染めて、まるでクリスマスツリーのようにも見える。
「こんな景色を、あなたと見られて嬉しい……」
口にすると、
「私も、嬉しいですよ…」
片腕に肩先が抱えられた。
「雪は、都会ではあまり見られないので、こうして眺めるのもいいですね…」
「はい…」
そうして二人で、空から舞う雪をいつまでも見ていると、
やがて吐く息が真っ白になって、冷え込んでくるのを感じた。
自らのマフラーをほどいて、くるむように彼が身体を抱いてくれて、
腕の中は暖かかったけれど、彼に風邪をひかせたらいけないと思って、手を引いて部屋に戻った──。
「もっと暖炉に火を入れますね」
彼が暖炉に薪を足して火の勢いを強めると、あたたまった空気が部屋に緩やかに満ちた。