火は姉弟の仮設住宅に移る寸前だった。大地は急いで雫を逃がそうと仮設住宅に入ろうとすると、
「やめろ!入るな!死ぬぞ!」
そう仮設住宅の住民から言われた。
「はあ…はあ…はあ」
大地の呼吸は荒くなっていた。
「ダメだ!俺は死んで良い。姉ちゃんは生かさないと。」
そう大地は言い、仮設住宅に入ろうとした。しかし住民はそれを許さなかった。
「やめろ!姉を助けてもお前が死んだら元も子もない!」
そう言われ大地は反論ができなかった。
「あんな笑顔久しぶりに見たよ…。」
雫は交通事故で何箇所も骨折をした。そのため、大地は雫の笑顔を見ることはそうそうなかった。大地の目には涙があった。
「はあ…はあ…」
大地は仮設住宅に火が移るのを見ながら地面に倒れてしまった。大地の力が一気に抜けたのだ。大地はそのまま寝てしまった。この日寝ていない大地は疲れ切ってしまったのだろう。すると、突然どこからか「プープー」という音がしてきた。そして、重たいまぶたを開く。
「ん…。あ~夢か…。」
大地はそう言い「プープー」という音がするものを手に取り耳に当てた。それは電話だった。
「もしもし。西条です。はい。はい。わかりました。では後ほど連絡しますね。」
そう言い電話を切った。
「ああ〜なんかすごい長い夢だったなあ…。姉ちゃんの笑顔か…この現実でも見れる日が来るのかな。悠次もいつか会いたいなあ。」
そう言い、大地は家の窓からのマンションだらけの景色を見た。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!