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ある日のことだった。
「ギザルム」
セフィロスに呼ばれ、ギザルムは振り返る。
「なんだ」
「これをやろう」
差し出されたのは二つの箱だった。
どちらも美しく装飾されている。
「……?」
ギザルムは警戒する。
セフィロスから渡される物で普通だった試しがない。
まず一つ目を開く。
そこに入っていたのは。
真っ赤な革の首輪だった。
「……」
沈黙。
さらに中央には。
小さな金色の鐘が付いている。
手に取ると。
りん。
澄んだ音が響いた。
まるで楽器のように美しい音色だった。
「……」
「どうした」
「どうしたではない」
ギザルムは真顔で答える。
「首輪だが?」
「首輪だな」
「私は犬でも猫でもない」
「猫だろう」
「半分しか合っていない!!」
セフィロスは不思議そうな顔をした。
「嫌か」
「嫌だ」
「そうか」
意外にも素直に頷く。
だが次の瞬間。
「だが似合うぞ」
「聞け」
二つ目の箱を開く。
そこには美しいブレスレットが入っていた。
ただの銀ではない。
水銀のようだ。
輪の中央には翡翠色の宝石。
どこかセフィロスの瞳を思わせる色だった。
「これは……」
ギザルムは思わず見入る。
こちらは純粋に美しい。
「そちらは眷属用だ」
セフィロスが説明する。
「危険な目に遭った時、私へ知らせが届く」
「知らせ?」
「どこにいても分かる」
「……過保護ではないか?」
「当然だ」
即答だった。
セフィロスは続ける。
「それだけではない」
翡翠が淡く輝く。
「私の神力を少し借りられる」
「何?」
ギザルムが目を見開く。
「使い方次第だがな」
「それは……」
さすがに驚いた。
神の力。
しかも最高神の力の一部。
普通なら世界中の魔術師が欲しがる代物である。
「そんなものを渡していいのか?」
「問題ない」
「だから基準がおかしい」
セフィロスはブレスレットを手に取る。
そして。
ギザルムの左手首へ装着した。
翡翠が淡く輝く。
まるで最初からそこにあったように馴染んだ。
「綺麗だな」
セフィロスが言う。
ギザルムは思わず視線を逸らした。
「それで」
セフィロスが首輪を持ち上げる。
「こちらも付けよう」
「付けない」
「付けよう」
「付けない」
「付けよう」
「断る」
数分後。
天界の廊下を歩く二人の姿があった。
ギザルムの首には。
真っ赤な首輪。
金色の鐘。
歩くたびに。
りん。
りん。
美しい音が鳴る。
「……」
「似合うな」
「帰ったら外す」
「外れないぞ」
ギザルムが止まる。
「は?」
「私以外外せない」
「は?」
「眷属保護用だからな」
「今すぐ外せ!!」
りんりんりんりん。
鐘の音が響く。
その様子を見た天使たちは。
「あっ」
「セフィロス様の眷属様だ」
「可愛い……」
「似合ってますね」
などと微笑ましく見守っていた。
ギザルムは天を仰ぐ。
誰も助けてくれない。
最高神の眷属になった瞬間から。
その運命は決まっていたのだった。
コメント
1件
ああ、もう最高でした……!セフィロスさんの「当然だ」の即答と、首輪をめぐる押し問答のテンポが良すぎて、思わず声出して笑いました。ギザルムが「半分しか合っていない!!」ってツッコむところ、めちゃくちゃ好きです。鐘の音が歩くたびに鳴る描写も可愛くて、天界の廊下が目に浮かびました。眷属保護用って言い張るセフィロスさん、絶対楽しんでますよね(笑)。続きが気になります!