潔視点
「ワンフォーオール、オールフォーワン。」
監督の言葉に僕は縛り付けられていたのかもしてない
「試合ではチーム全員で参加し、協力してやってくれ」
中学校時代の僕だったら
ふと、そんな事を考えてしまう
「潔こっち!どフリー!」
「多田くん…!」
フィールドを走る中、そんな声が聞こえた
ワンフォーオール、オールフォーワン。
監督の声が頭で流される
パスを出さなければベンチになってしまうかもしれない
悩むのなら、いっそのこと
思いっきり…
多田くん。頼んだよ
君のシュートで決まるんだ
ゴォン!
ゴールポールに当たる音がなった。
それと同時に試合終了のホイッスルが聞こえた
負けた。
あぁ。僕がシュートをしていたら
あそこで違う選択をしていたら
思考が巡る
「お前らはよく頑張った!」
監督も、チームメイト達も皆泣いている
僕だけ泣いていない
否。泣けない
涙が出ない。悲しいという感情が分からない
昔からこうだ
皆悲しんでいる時。僕だけは何も言えずにオロオロしている
そんな僕をフォローしてくれるのが多田くん
「潔〜ごめんな〜」
泣きながら抱きついて来る多田くん
僕はそっと背中を撫でた
「だ、大丈夫…!」
「潔!やっぱお前サイコーだ〜」
抱きしめる力が強くなる
痛い
「ってか潔ってホセーよな!」
「そ、うかな?」
よく言われること
男の子だけど、女の子だと捉えたら女の子の声、女の子の体、女の子の髪型に見える
「う〜、じゃーな〜」
また、泣きながら監督の元に行っている多田くん
「またね。」
僕はメガネをかける
試合の時は余りつけない
けど、ホントに見えなくなってきたし、メガネをかけたままやるのもありだな
と考えながら自転車を押し、帰る
悔しい
そんな気持ちもあるに決まってる
ただただ。
悲しいという感情が感じられないだけ
次の日。
この日から僕の人生は変わったのかもしれない
コメント
4件
なんか、あれだよね、あれ、(物忘れしたおばあちゃんお同じ)友達が隣でコケて、それで自分がオロオロしてるのと同じ感覚かも…?
ワ … ;; 感情 が ないのか … 最高でした … 続き楽しみ に してます !!✨️