珠那 様より、日本と日帝立場逆転
※暴力表現有
子供というのは純粋なものであり、周りの大人、特に親の行動を見て成長していく。
片時として愛情を感じなかった子供が大人になると、一体どうなるのだろう?
幼い頃、日本と妹のにゃぽんはよく父親に殴られていた。
理由は色々。
テストの点が悪かったから、門限を破ったから、邪魔なところにいたから、イライラしていたから。または酒の勢いで。
力の加減ができないらしく…まあ、殴っている時点で加減をする気もないだろうが、いつも強く殴られては泣いていた。
そうすれば泣き声がうるさいなどと言ってまた暴力を振るわれ、昔ながらの日本家屋には子供の泣き声が大きく大きく響き渡る。
人の親だというのにひどく情緒が不安定で、けれど日本とにゃぽんに対しては常に厳しい。
氷のような視線に、凍てつくような冷たい声。愛情を感じたことはなかった。
日本たちにとってはそれが当たり前で、親という存在は天災にも等しき“こわいもの”。
しかし学校に行くと、周りの子はみんな親の話をしている。
誕生日にはプレゼントをもらい、クリスマスにはサンタさんがいて、遊園地へ行った、動物園へ行った、水族館へ行った、家族でピクニックをした、だなんて、 そんなことばかり。
自分はプレゼントなんてもらったことはないし、サンタさんなんて来たことはないし、どこへ行ったことも、家族で遊んだことすらないのに、だ。
みんなには痣なんてなくて、親を怖いと思ったことなんてなくて、自分の家は安心安全の平和な場所。
あぁ、僕の家っておかしいんだな。
小学生にしてそのことを悟り、日本は愛情を感じることなく育ってきた。
概念としては理解しているものの、実際に感じたことはないのだ。
「…許せないなぁ」
中学生の時、日本の中でふと出てきた思い。
「僕とにゃぽんの幸せを奪うなんて、いくら親でも酷いですよね〜」
幸せを知る機会を奪われた日本にとって、大日本帝国は親ではなかった。
感覚としては、むしろ宿敵なんかに近いかもしれない。
トントントン、とペンの先をノートに繰り返し当てていると、やはり怒りの気持ちが湧いてきた。
「…ムカつく」
ガンガンガン、と強く強くペンをノートに叩きつける。
自分はただ生まれただけだ。
ここに生まれただけなのに、なぜ幸せになることも、愛情を知ることも許されないのだろうか?
いつか、この報いを受けさせてやる。
怖い顔をしていた日本は、一転して人の良さそうな笑みを浮かべた。
「はぁ…良くないですね、殺意は知られてはいけないものです…さ、勉強の続きといきましょう!」
いつか、絶対に後悔させてやろう。
【僕が大人になったら】【3年×組 日本】
僕が大人になったら、まずは父上を反省させます。
僕たちを殴ったことを後悔させて、一生苦しめたいです。十五年も猶予をあげたので、僕は何も悪くありません。
そのために、僕は色々なことを勉強しています。 例えば薬品について──
数年後、日本は大人になった。
力は強くなり、背も伸びた。
「これなら…」
深夜、日帝の部屋を尋ねる影が一つ。
「父上、僕です。日本です。お部屋にお邪魔してもよろしいでしょうか?」
「…チッ、夜遅くになんだ」
苛立った様子の日帝が出てきた瞬間、日本は笑顔を絶やさず押し倒した。
「!貴様、何をっ…」
「20年」
抵抗する日帝の首を絞め、日本は静かに呟く。
「よく20年も無駄にしてくれましたね〜」
「ぎっ…に、ほ…ッ 」
「痛いですか〜?苦しいですか〜?僕も痛かったし苦しかったですよ、おあいこですね!」
優しい声と不釣り合いなまでに力を込める日本に対し、日帝は初めて恐怖した。
このまま首を折るつもりとしか言えないほどに絞められ、いよいよ意識が飛びかける。
「おっと」
「ッッはッ!ひゅッ…ひゅッ…」
「勝手に寝ないでくれます?すごく不快なので」
「げほッ…はぁ…はぁ…なぜ…こんな、けほッ…」
「言ったじゃないですか、20年分の恨みがあるんです。この恨み、晴らさでおくべきか…なーんてね」
「っく…わ、わかった、謝る…謝るから、やめろ…」
「嫌ですけど。ほらほら、休憩はおしまいですよ?出て行ったあの子の分まで復讐しなくては、気が済まない」
「ぁッ」
初めて見る日本の姿に、日帝は底知れぬ不安と恐怖しか感じなかった。
ある日の仕事中、 上機嫌でキーボードを叩いていた時、後ろから声をかけられた。
「〜♪」
「日本、最近機嫌が良いな。何か良いことでもあったのか?」
「あら、アメリカさん。はい、良いことありました」
にっこり笑顔で答えると、アメリカはそうか、と言って更に質問する。
「一体どうしたんだ?」
「かわいいペットができたんですよ。言うことも聞いてくれますし、観察するのも面白いんです」
「あー、犬とかその辺か?動物って見てるだけで癒されるよなぁ。俺も子供の頃飼ってたぜ」
ほら、と見せられた写真には、小さなアメリカと戯れる小型犬が写っていた。
「そうだったんですか?意外です」
「よく言われる。てか、生き物飼ってるんなら早く帰れよ?そろそろ定時だし、言うこと聞いてくれるくらい懐いてんなら寂しがるだろ?後は任せとけ」
自分にもできるなら他人にもできる、という思考で大量の仕事を割り振るクソ上司なのに、動物相手には優しいらしい。
「わあ、嬉しいです!それでは、お言葉に甘えて」
慣れた営業スマイルで返し、日本はそそくさと帰りの準備をする。
家で待っている父親をペットと称しているとも知らず、アメリカは良いことをしたとでも言いたげな顔だ。
これだから偽善者は、とクズの自分を棚に上げて軽蔑しつつ、日本は帰路を辿った。
かなり人がいるこの時間帯、電車の中はギュウギュウ詰めで息苦しい。
しかし日本は運良く座れたので、黙ってスマホを覗いた。
ペットカメラを家中に仕掛けてあるため、そこから自宅の様子を確認できるのだ。
「…あ、寝てる」
スマホの小さな画面には、布団に包まって眠る父親の姿。
前までなら本を読んだり酒を飲んだりしているはずだったが、昨夜殴った分がキツかったのだろうか。
他の位置のカメラから見てみれば、包帯だらけの腕や頭が布団から覗いているところがよく見えた。
自分で治療したらしく、近くには救急箱もある。
帰ったら叩き起こすのはもちろんとして、その後はどうしてくれようか。
そういえば小学生の頃、中身が入った湯呑みを溢したせいで熱湯をかけられたことがあった覚えがある。
妹は女の子なのに跡が残ってしまい、そのせいで袖が短い服を嫌うようになってしまった。
あまりに可哀想で仕方がなく、一晩中泣く妹を慰め続けていた思い出もフラッシュバックする。
今日は熱湯をかけることしよう。
あらかじめ冷やせそうなものを廃棄して、叫ぼうものなら殴って黙らせればいい。
今までそうされてきたのだから、それが正しい方法に違いないのだ。
駅からの道をルンルンで歩き、落ち着いた雰囲気の実家に辿り着く。
ガチャリ、と鍵を開けて中に入れば、家の中は既に真っ暗。
逃げられないように玄関の鍵を閉め、起こさないようにひっそりと台所へ向かう。
冷凍庫を開き、中から食材以外の冷やせそうなものを捨てた。
「…に、日本…?」
あまり隠す気もなくガサガサ大きな音を立てていたからか、日帝が起きてきたようだ。
「あ、おはようございます父上。呑気に自室で眠られていたようですが、どうかされました?」
「ひッ…あ、あぁ…す、少し、水を飲もうと思って、な…」
昔は大きく見えていた父親の背は、いざ大人になってみれば随分低かった。
無駄に力が強いだけで、体格で勝てる相手はいないとすら思える。
所詮、自分の子供にしか吠えることができない弱い犬なのだ。
「そうでしたか。お湯を沸かしますから、白湯でもいかがです?」
そう問いかければ、心底不思議そうな顔をして首を傾げた。
きっと問答無用で殴られるとでも思ったのだろう。
「…?わ、わかった…では、よろしく頼む…」
「はい。父上の部屋にまで持って行きますから、先に戻って待っていてください 」
「い、いいのか?」
「良くなければこんなこと言いませんよ。目障りなので早く行ってくださいます?」
「す、すまん…」
ビクッと身を震わせて台所から出ていく日帝を見送りながら、言った通り湯を沸かす。
飲んでいられないくらい、沸騰寸前まで水道水をやかんで熱していると、今からすることに少し興奮した。
なるほど、やはり蛙の子は蛙なのだ。
「父上、できましたよ。ここ開けてください」
「あ、ありがとう、日本…」
盆に乗せて湯呑みとやかんを持って部屋の中に声をかけると、日帝はおどおどしながら戸を開ける。
盆を畳に置いて湯呑みに熱湯を注いでやり、正座している日帝の顎を掴む。
「へっ?」
そのまま無理矢理口を開けさせ、抵抗させる間も無く熱湯を口の中に注ぎ込んでやった。
「ぁ゛ッ!ゃ、あ゛ぁぁ゛ああッ!!!」
湯呑みの中身がなくなるまでじっくりと。
上を向かせているために吐き出せず、吐いても熱さは変わらない。
「吐かないで飲んでくださいね〜、白湯はまだまだありますよ。やかんいっぱいです。あ、直にいきます?その方が時短ですね!冷める前に飲み切ってください!」
そう言ってやかんを掴み、口に直接突っ込む。
「あ゛あ゛ぁあ゛あああ゛ッッ!!!!」
ただでさえ熱されているやかんが肌に当たり火傷しているのに、人間の中で一番敏感だと言われる口の中を火傷させる。
涙を流し、半分溺れながらも飲まざるを得ずに苦しむ姿を見ながら、日本は心の奥から満たされる感覚を楽しんだ。
「ごぼッがッぁ…あ゛ぁあ゛ッ」
「情けないですねー、白湯すらまともに飲めないのですか?こんなに溢して、小さな子供じゃないんですから」
ようやくやかんの中身がなくなった頃、日帝は口の中や喉、口周りなどなど、日常で困るだろうなぁ、という部位を火傷して泣いていた。
「ひぐッ…あ、あぅい…ぃひゃ…ぁ、こ、ぉり…」
「氷ならもうありませんよ、さっき捨てたので」
「へ…? 」
「帰ってくる前からこうしてやるつもりでしたから。まあ少し形は違えど、火傷させようと思っていたので、冷やして応急処置ができないよう、全て捨てました」
「ひょ、にゃ…な、ないぇ、ひょんら…?」
「なぜこんなことをしたかって?あなたを苦しめて復讐したいから、以外にありません。毎日殴られてるくせに、まだ理解していないのですか?」
「ぇ…あ…」
舌を浮かせて話す今の日帝の話し方は、赤子のように幼く聞こえる。
「こちらに来てください 」
「ひっ…」
ぐい、と手を引っ張り、あの時と同じように押し倒す。
「や、やぇ…」
ギューッ…と火傷した喉を絞めると、苦しそうに咳き込んでいる。
「僕も、あなたのこれからの20年を恐怖で染めてあげますから」
痛みと酸欠でさっさと意識を飛ばした日帝を見て、日本は一言呟いた。
「あぁ、あはれだこと」
コメント
6件
犯罪者級にドSな日本が性癖に刺さって抜けない、、、!日帝さんはこれから骨が折れようが(あったら)耳が取れようが目玉が零れ落ちようが日本の拷問を受け続けるんやろうなぁ、少なくとも二十年。 日帝からしたら終わらない復讐で絶対恐怖ですね、、、ホント好き過ぎます。いつも必須栄養素をありがとうございます🙇母の味☆
ぬぁー!神作来たぁ!ほんとに最っ高です!ありがとうございます!もうこのなんて言うか小説からもわかる目にハイライトがなさそうな日本が好きすぎてもう……、あと日本は日帝に復讐してるけれど傍からそれを裏事情を全部知った上で見るとやっぱり日帝に日本は囚われてて黒いけど少し可哀想にも思える復讐劇でほんっとに最高でした、
スキーーーーー...._(:3 」∠)_💘 そして文才も相変わらず凄い...!!😇