テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
放課後。
六人で寄り道をしていた。
なつ「何食べる?」
こさめ「俺、甘いの!」
いるま「またかよ」
こさめ「いいじゃん!」
らん「俺も甘いの食べたい!」
いるま「お前までかよ」
みんなが騒いでいる横で。
すちはメニューを眺めていた。
みこと「すっちーは?」
すち「んー……」
すちはしばらく悩む。
すち「これにする」
みこと「それ好きなの?」
すちの手が止まった。
すち「……」
みことはすぐに気づく。
みこと「あ、ごめん」
すち「いや……」
すちはメニューを見る。
すち「好きかどうかは分かんない」
みこと「そっか」
それ以上、みことは聞かなかった。
すちは少しだけ安心した。
注文を終える。
しばらくして、料理が届く。
すち「いただきます」
一口食べる。
すち「……美味しい」
みこと「ならよかった」
すちはみことを見る。
すち「みこちゃんは?」
みこと「俺?」
すち「うん。これ好き?」
みことは少し笑った。
みこと「俺は好きだよ」
すち「……そっか」
すちはもう一口食べる。
「好き」。
その言葉を聞くと、やっぱり少し不思議だった。
自分には分からない。
でも。
みことが「好き」と言ったことは分かる。
それでいい。
そう思った。
帰り道。
みんなが先を歩いている。
すちとみことだけ、少し後ろにいた。
みこと「すっちー」
すち「ん?」
みこと「さっきのことなんだけど」
すち「うん」
みこと「好きが分からないって、どういう感じ?」
すちは少し考える。
すち「……分かんない」
みこと「そっか」
すち「嫌いとか、嫌だとかは分かるんだけど」
みこと「うん」
すち「好きだけ、よく分かんない」
みことは黙って聞いている。
すち「だから、誰かに『何が好き?』って聞かれると困る」
みこと「なるほど」
すち「でも、楽しいとか、美味しいとか、そういうのは分かるよ」
みこと「うん」
すち「だから、変な感じだよね」
みことは少しだけ笑った。
みこと「別に変じゃないと思う」
すち「……そう?」
みこと「うん」
みことは前を向く。
みこと「分からないなら、分からないままでいいんじゃない?」
すちは少し黙る。
そして。
すち「……そっか」
その言葉が、少しだけ嬉しかった。
でも。
「嬉しい」と「好き」は違う。
それは分かっている。
すちは隣を歩くみことを見る。
(……みこちゃんと一緒にいるのは、嫌じゃない)
それだけだった。
コメント
1件
「好き」が分からないっていうすちの感覚、すごく繊細で苦しくて、でもちゃんとそこにある感情なんだなって思いました。「嫌い」は分かるけど「好き」だけが分からない——その違和感をみこちゃんが「変じゃないよ」って受け止めてくれたのが、本当に優しかったです。最後の「みこちゃんと一緒にいるのは、嫌じゃない」って、すちにとっての精一杯の答えなんだろうな。じんわり沁みました🌙
68
みこまめ
573