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焼肉を食べ終えて、プチ同窓会はそのまま解散となった。森田くんとは会話ができないまま、友達と家まで帰った。家に帰り一息ついた頃、突然、着信が入った。
携帯を手に取って画面を見ると、表示されていた名前は――まさかの森田くんだった。
こんな時間に、いきなり、森田くんから……?中学生の頃は一度も連絡を取ったことがなかったのに。
戸惑いながらも、わたしは恐る恐る画面をタップした。
『もしもし……?』
『もしもし、嶋村さんですか』
『はい、嶋村です……』
緊張で、声が少し震えてしまう。
『えっと、どうしましたか?』
『今から、来れる人だけでもう一回集まって、公園で遊ぼうと思ってるんですけど、嶋村さんは来ませんか』
ああ、なんだ。みんなに順番に電話して誘っているだけなんだ。
そう思った瞬間、ガッカリした。電話口の話し方も、どこか事務的だった。
(あまり話したことなかったし、そりゃあそっか)
距離感のある言葉遣いに小さな落胆を覚えたが、 森田くんが行くなら参加したい。しかし、ほかに誰が参加するのかが気になる。
『ほかには、誰が来る予定ですか?』
『今のところ、佐藤と土屋です』
佐藤くんと土屋くん。どちらも、中学生の頃はほとんど話したことのない男子だ。
(ちょっと、気まずいかも……)
男子3人の中に、わたし一人。参加するには少し勇気のいる顔ぶれだった。
『わたしも、女の子を誘っていい?』
『もちろんです』
わたしは通話をミュートにして、仲の良かった女子にメッセージを送った。
運よくその子も暇だったらしく、参加できるという返事がすぐに返ってきた。
黙々と画面に文字を打ち込んでいると、ミュートの向こう側から、微かに声が漏れてきた。
『かわいい、嶋村さん』
……え?
思わず手が止まる。
『まじでかわいい、ほんとに』
さっきまでの業務連絡のような口調とは違う、くだけた声だった。それは、はっきりとわたしの耳に届いてしまった。