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HAYA.
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東京。大量の人で溢れ、高層ビルがまるでジャングルのように所狭しと乱立している地。
今日はそんなところに行ってみたくなった。
電車に揺られ、川のように流れていく景色を眺めながら、東京を目指す。
時間がたち、ついたところはパンダとアメ横が有名な都市、上野。
扉が開き、電車から降りると、一番に見えたのはビル群ではなく、木だった。
東京にしてはさわやかな空気と東京名物の人の波にのまれ、気づいたらアメ横の入り口についていた。
中から聞こえてくる売り文句とおいしそうな香り、そして謎の魅力に惹かれ中に入った。
「安いよ安いよ~!ホラ、新鮮なエビにカニ、美味しい貝!何でも売ってるよっ!」
「ハローフレンド!おいしいケバブうってるよ!ヤスイヨ!」
「ママーー!!おかしかってよォ~~!!」
様々な方向から様々な声が聞こえてくる。情報量が多すぎて頭がパンクしそうになる。
声だけでなく視界も大変な事になっている。暖かい太陽光を反射してキラリと光るフルーツ飴や、水槽の中で動くカニ、眩い光を放つゲームセンター。
行き交う人々もまた、多種多様だった。家族連れや友達と来ている人、一人で散歩のように歩き回っている人、ビニール袋がぎちぎちになるほど何か物を詰め込んでうれしそうな顔をした人。彼らの感じているしあわせがこちらにも伝わってくるようだった。
あまりにも多い情報に、いまにも頭から煙が立ち上りそうになっていると、ふと一つ中華料理店の看板が目に入った。地下へ向かう階段の横に建てられた、すこし古い看板。そこには看板メニューらしい料理の写真も印刷されていて、その食欲湧き出る見た目で私を磁石のように惹きつけた。
長時間の電車移動でちょうど空腹だったので、中に入ってみた。
「いらっしゃいませ!」
中に入ると一人の女性が対応してくれた。人数を聞かれたので「一人です」と伝えると、奥の落ち着く角の席へと案内された。
店内は混み過ぎず空き過ぎずのちょうどいい量の人がいて、皆幸せそうに料理を口に運んで笑っていた。
壁には中国の絵画が貼られ、それが何とも言えない雰囲気を醸し出していた。
メニューを手に取り、読んでみる。餃子、炒め物、麻婆豆腐に小籠包。どれも食欲そそる写真で脳に「食べろ」と訴えかけてくる。そんな中、一つの料理が目に入る。ラーメン。看板に印刷されていた看板メニューや期間限定メニューではなく、ごく普通の、ラーメン。それが妙に魅力的に感じた。
店員さんに声をかけ、ラーメンを注文する。ついでに餃子も注文した。
数分後、ラーメンより先に餃子が白い湯気をもくもくと上げ、香ばしい匂いを漂わせながら届いた。
「いただきます。」
箸を手に取り、熱々の餃子を一つつかむ。タレに付け、口に運ぶ。一口噛むと、やけどするほど熱い肉汁が強烈なうま味と幸せを乗せ口になだれ込んでくる。程よい塩味と肉の味、パリッと焼けた皮に合わさったタレ、すべてが組み合わさり強烈な刺激を生む。こうなってはもう手は止まれない。ひとつ、ふたつと餃子が皿の上から消えて行き、気づいたときに残っていたのは白い皿とタレがほぼなくなったタレ皿だった。
餃子もなくなりまだ満たされない空腹を感じていると、湯気を立ち上らせながら、待ちに待ったラーメンが運ばれてきた。
チャーシュー、メンマ、ネギというザ・町中華なラーメンの見た目が、猛烈に空腹で狂ったように食べ物を求める胃と体を刺激した。意識をする前に反射的に箸をとり、麺を取る。見た目は普通のたまご細麺で、周りにスープをまとった姿は実に美しい。この時だけ、ラーメンが美術館に飾られてないことに不満を抱いた。
一口すする。なんてこった。一口噛むごとに程よいコシのある麺が顎を刺激し、昔ながらの醤油スープの味が脳を幸せで埋め尽くす。これでは脳みそが焼き切れてしまいそうだ。
次にチャーシューを取り、かじりつく。程よい肉の繊維の食感とまるで爆弾のようなうま味が舌を駆け巡り脳みそを突き抜け体を満たす。なんだこれは、これほどおいしいチャーシューは食べたことがないぞ、と思った。
メンマも食べてみる。塩味と甘みが組み合わさり、メンマ独特の香りを作っている。やはりラーメンにはメンマがないとだめだ。
次に、メンマと麺を一緒に食べてみる。信じられないほどのおいしさがついに脳の理性を取っ払い、すべてのリソースを食へと集中させた。スープの絡んだたまご麺のうま味爆弾がメンマの食感と組み合わさり爆発する。
こんなものを食べてしまったらもうやめられない、止まらない。某有名えびせんの数億倍あろう中毒性により手が止まらず、無我夢中でラーメンの湯気に顔を覆われながら麺をすする。麺、メンマ、チャーシュー、麺、メンマ、チャーシュー、美味しすぎる。
気づいたころには具と麺が消え、スープだけが残っていた。ここで普段は絶対にやらないが、スープを飲み干すという蛮行に出た。喉を伝い落ちてゆく熱いスープと醤油の香り、溶けだした具のうま味が最後の攻撃をかけてくる。この味も飲み干してしまえば終わりと思うと寂しいが、それよりも今の幸せを優先したいので飲み続ける。最後の一滴まで残さず飲み終えたら、箸とどんぶりを机に置き、一口水を飲んで、少し落ち着く。
「ごちそうさまでした。」
席を立ち、レジまで行く。お金を払い、店員さんの優しくも威勢のいい声を聴きながら店を出る。外に出るとまた、売り文句と話し声、広告音声が耳からなだれ込んで来ようとする。ただ今は、来た時ほどなだれ込んではこなかった。幸せで体中が埋め尽くされて、ほかの情報が入ってくるスペースなんてなかったのだ。また来ようと思いながら、昼飯時終わりの上野を後にした。
沢山の幸せと、美味しさを抱えて。
コメント
3件
うわ、めっちゃ美味しそうに書けてる!ラーメンの一口目で脳みそ焼き切れる感覚、めちゃくちゃわかるわ。あと餃子の肉汁描写が細かくて、読んでるだけでよだれ出てきた😂 町中華行きたくなったし、次も読みたい。続き投稿されたらまた見に来るね!