「……好き…」
「私も、好きですよ…」
重ねられた唇の間から、しっとりと濡れた舌先が挿し入れられる。
「キスも…好き…」
口にすると、彼は「ふっ…」と笑って、
「好きなら、いくらでもしてあげます」
より深く口づけられて、そのまま身体が倒される。
「……私を、誘ってみてくれますか」
「……誘うって、」どういう風にしたらいいんだろうと思う。
誘いかけたようなことはあんまりなくて迷っていると、
「……こうして、キスをねだったりとか…」
片手で背中が抱え上げられ、唇でちゅっとわざと音を立てて吸い付かれた。
「それから、舌でこうやって……」
口の端から合わせ目が舌でなぞられると、んっ…と唇は開いた。
「ほら…君にもできるでしょう?」
そう促されて、首を横に振る。
「……そんなこと、できないから……先生が、誘って……」
首に手をまわして抱きつくと、
「仕方ありませんね…」と、ため息が吐かれて、
やっぱり私の方で誘えたらよかったのかなと、心もとなくも感じていると……
「こちらから仕掛ければ、私の思うままにもなりますが、それでもいいんですか?」
そう囁きかけられて、くすりと口角が笑みが引き上げられた。
「……やっぱり、意地悪…」
なんだかそんな風に誘導された気もして唇を尖らせると、
「意地悪な私は、嫌いですか?」
耳元へ低く声が吹き込まれた。
ふーっとかかる吐息に、腰がビクンと震える。
「嫌いなんかじゃ……」
首を振って言うと、
「では、好きと言ってみなさい」
服のボタンが一つずつ外されていく。
「好き……」
「もっと……」
「……好き、大好き……」
「……まだ、もっと……」
「好き……愛してる……だから……もっと、抱いていて……」
引き出された言葉に、
「……もっと抱いて、愛してあげますから……」
艶かしい微笑をその顔に浮かべると、服を脱がされて半裸になった私の胸元に、薄い唇を熱く押し当てた──。