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無機質な金属の塊
鉄の匂いが鼻の奥までしみついて
聞くことのなかったその下がどうなっているのか
僕らはだれもみていない
「…ちゃん」
「…い…ちゃん」
「最原ちゃん」
「どうしたの?寝起きドッキリ仕掛けようとしたんだけどさー」
「さすがのオレでもドン引きレベルのうなされ方だったよ!」
「…」
「最原ちゃん?」
もし
あの時の王馬くんと話してたら
「王馬くん…あったかいね」
なにか違っていたのかな
「…変な最原ちゃん」
「生きてるんだから当たり前でしょ?」
「うん…」
王馬くんを通して
あの時の王馬くんに触れられそうで
僕はたまに考えてしまう
触れられるわけがないのに
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(…平和だな)
あの時は想像もしなかったな
今こうして王馬くんと過ごしていること…
「…なんかさ、最原ちゃんってたまにここにいないみたいだよね」
「…え?」
「オレを通して別の誰かを見てるみたい」
「…ーお「うわっ」
「なーんてね!最原ちゃんによそ見する余裕なんてないはずだよね」
「…うん」
王馬くん…
僕は今君の色んなことが知りたい
目の前の君はもちろん、あの時の王馬くんだって…
僕は気になるんだ
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「…あれ」
(王馬くん、いないな)
…食堂にもいない
……中庭にもいない
…研究室も図書室も
………
「王馬くん!」
「あれー?最原ちゃんだ
どうしたのこんなところで」
「…それはこっちのセリフだよ」
見覚えのある鉄の塊
無機質で残酷で思い出したくもないもの
「こんな場所あったんだねー」
「これなんだろうね!」
「お、うまくん」
「最原ちゃんいたい」
「…あ、ごめん…」
気がつくと王馬くんの腕を掴み走っていた
「……ひっでー顔」
「まるで死人でも見てるみたい」
「…」
「ごめん…僕ちょっと」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「モノクマ、本当に記憶があるのは僕だけなの?」
「うんうん、そうだよー」
「どうしたの?何か気になることでもあった?」
「いや…それならいんだ…」
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嫌な感じだ
死体発見アナウンスも流れない
血を見ることも死体を見ることもない
ただゆっくりと過ぎていく平和な世界が
逆に…
気味が悪くて…
「最原ちゃん顔色わるいよ」
「もう今日は帰って早く寝なよ」
「明日は卒業だね
一緒にここからでようね、研究教室でまってるから」
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