(……)
(…王馬くんを迎えにいかなきゃ…)
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(研究室って言ってたけど…)
コンコンっ
「王馬くん?迎えにきたよ」
「王馬くん?」
ガチャ
濃い鉄の匂い
鼻の奥にあったその匂い
不意打ち
ここでは二度と見ることの無かった
明らかな異常さ
「な」
な…んだ
なんだこれは
「う”っ」
「えぇ”…ぁ」
びちゃびちゃ
なんだよこれは
(なんで)
(だってコロシアイは)
(ここは平和なはずで)
「王馬くん…」
「ねぇ…王馬くん…」
なんで?
「王馬くんってば」
どうして…
「っ…」
深刻なエラーが発生しました
システムを初期化し
データを修復します。
「まったくボクはね、いまモーレツに怒ってるよ!」
「それはもう火山の大噴火だよダイナマイトだよ、
お茶の間ラブなのにこんなの世間に放送できないね!」
「なんてことしてくれたんだよまったく」
「えーでもさ」
「つまらなくなかったでしょ?」
「ゲロと鼻水まみれの最原ちゃん」
「データとわかった上でジサツするなんて普通の人間がすることじゃないよもー」
「酷いやモノクマ!オレがそんじょそこらの普通の人間だっていいたいの?
オレは超高校級の悪の総統なんだよ!」
「あーはいはいそれはいいけど」
「それにしても最原クン…カワイソウなことになっちゃって…」
「ねぇ…最原ちゃん」
「オレ面白くなかったんだよ」
「デートに誘ってるのも
一緒に過ごしてるのも
プレゼントを渡したり買ったりしてるのも」
「全部全部オレなのに」
「最原ちゃんはずっとオレを通して誰かをみてる」
「甘い空気もオレの嘘を暴くその姿も、
全部全部オレのものなのに」
「悲しくて苦しくて胸が張り裂けそうだったよ…」
「なーんて、そこまでセンチメンタルにはなってないよ?」
「どうにかして最原ちゃんを振り向かせてやろうと思ってたけど…」
「そんな時こんなもの見つけちゃったんだよねー」
「あ〜っ!モノパッド!ないと思ったらキミだったのか!かえせ〜」
「やっぱりモノクマのだったんだ、いいよもう使わないし!」
「はっ…もしかして中身みちゃったの…?」
「えーっ見るわけないじゃんこんな趣味の悪いコロシアイの映像なんて!」
「しっかり見てるね!」
「そのパッドにはバラエティに参加してる全員が写ってた、最初はオレもCGだと思ったけど」
「最原ちゃんの態度からしてこれは”本物”だ」
「少なくとも最原ちゃんの”中”ではね」
「考えてみれば最初からおかしかったよねー
根暗陰キャのくせに真っ先に女の子である赤松ちゃんに話しかけに行った最原ちゃん」
「自己紹介前なのにぴったりと名前をあててキモがられてたよね!」
「それと、オレとのファーストコンタクト覚えてる?」
「初対面であの顔はないよね!」
「それでようやく分かったよ、最原ちゃんがオレを通してみていたもの」
「…」
「…全然おもしろくねー」
「あの記憶があったらさー、オレの顔でずっとあのコロシアイのオレがちらつくじゃん」
「謎解き大好きな探偵最原ちゃんはさぁ
謎のまま死んでったオレのことずーっときになりっぱなしじゃん」
「あれはオレじゃない」
「だってオレ記憶ねーもん」
「…王馬く「ねぇ最原ちゃん」
「死んだやつのこといくら考えたって無駄だよ」
「だって答えはでないんだもん」
「そんなの謎解きでもなんでもねーよ」
「もう終わったものを今さら考えてんじゃねーよ」
「不確かな物じゃなくて」
「今目の前にいる
オレをちゃんと見ろよ」
よそ見は許されない
たとえ自分でも
「…ごめん」
(それでも王馬くんは、やっぱり王馬くんだったよ)
こんな事やってのけるなんてわかってたことだ
どんな人物かなんてわかってたんだ
だからそんなことは問題じゃない
あのコロシアイとは決定的に違うことがひとつある
それは
この王馬くんは僕が殺したも同然なこと
「ぅ”えぁ…」
「ぃ”ぇ…」
「あーらすっかり吐きぐせついちゃったねー」
「まぁいいや、そうなってるうちは
オレのことでいっぱいってことだもんね」
「さ、いこ最原ちゃん」
何事も無かったように君は笑う
「ねぇ最原ちゃん」
そして
「オレのことで頭いっぱいになってくれた?」
愛の言葉を囁くんだ
コメント
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よければ感想コメントしてね!! 読んでくれてありがとうございます¨̮