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菜乃葉たちが普段通りに昼食をとっていると、特選クラスの生徒たちが食堂に入ってくる様子が目に入った。以前とは違い、あからさまに周囲を威圧するような様子は見られない。精々が、周囲の一般クラスの生徒を睨みつける程度だ。
美音
「特選クラスの人たち、あの決闘が終わってから随分大人しくなったね…」
氷流
「たしかに。表立って突っかかるようなのは減ったかも」
夏菜
「滑稽なザマだな」
菜乃葉
「コラ」
こうなったのは、モブクズの態度が豹変した影響が大きい。特選クラスの中でも大きな発言力がある彼が、全く一般クラスを攻撃しようとしなくなった。自然、取り巻きたちも手を出しにくくなっているようだ。
莉愛
「こんな簡単に大人しくなるなら、始めからこうしておけば良かったのに。いや、まだ十分ではないね。夏菜、特選クラスに片っ端から決闘を申し込もう。全員倒して、誰も逆らえないようにして仕舞えばいいんだよ」
夏菜
「そうですね、片っ端から脳みそにロケランぶち込みましょう」
きんとき
「この王女様と一般人、発想が物騒なんですけど……。大体、決闘なんてもう誰も受けないって」
しれっと隣に座っている副会長のきんときの言葉にはかまわず、莉愛は笑顔で言葉を続ける。
ちなみに、きんときはシャークん経由で知り合った者。しれっといるので注意すべし。
莉愛
「そうだ、いい事を思いついた。夏菜、私と決闘をしよう。私が勝ったら、貴方は選挙管理委員会に入る。どう?」
夏菜
「いや、その決闘私にメリットないよね?」
莉愛
「私が負けたら、何でもひとつ言うことを聞きく」
夏菜
「冗談でもそういうこと言うの良くないからね!?」
夏菜の反応に莉愛は笑い声を漏らした。
莉愛
「ふふっ、あながち冗談でもないけど……。じゃまた明日。またお誘いに来るよ」
夏菜
「何度誘われても生徒会には入らないけどね……」
美音
「またねー、莉愛さーん!」
手を振り去っていく莉愛を見送り、菜乃葉たちは午後の講義に向かった。講義の時間中、菜乃葉は教師の話は聞き流し、別のことを考えていた。莉愛のことだ。あんなにしつこく一般人に執着するなんて、何か裏がある。そのことが脳裏にちらつく。
菜乃葉
(今のところ問題はなさそうだけど……)
菜乃葉は使い魔に貴族や王女の周囲を監視させているが、まだ何も不審な動きは見られていない。それも当然か、と菜乃葉は思う。王女や王子がただの一般人(?)に手を出すと、それがメディアに公開されたとき、地位は一気に没落するからあったとしてもリスクが高そうだ。
菜乃葉
(このまま何も起きない……ってわけにもいかないだろうなぁ……めんどくせぇ…)
モブクズにかけられていた精神魔法の件もある。あれはおそらく、入学前に仕込まれていたものだ。高度な洗脳魔法をかけられた状態では学校の結界に感知され、中に入ることできない。しかし、あの程度の低級な精神魔法ならぎりぎり感知されない範囲だ。あの術式は、わざとその程度に調整してあった。学校の中でかけられたわけではないのは確かだ。
そして、入学前から精神魔法まで仕込んでいるなら、もうそう遠く無い内に動き出すはずだ。それなのに、今のところさっぱり動きが見られない。一応、何かの機会を待っているのだろう、と推測はできるのだが……。
菜乃葉
(しかし、一体何を待っているんだ……?)
そんな身の入らない講義を終えた放課後。部活に向かう氷流や夏菜を見送ると、残るは瑞夏と菜乃葉の二人きりだ。そんな帰り道、瑞夏が心配そうな顔で菜乃葉に問いかけた。
瑞夏
「ね、え、菜乃葉…さん。もしかッして、何か心配事とか…?」
菜乃葉
「………いや……うん、実は少し。よくわかったね?」
菜乃葉は驚いていた。感情や考えていることを表に出さないというのは、いつも真顔の菜乃葉にとっては当たり前だった。莉愛の件に関して、菜乃葉は表に出さないよう、完璧に制御していたつもりだった。それなのに、ただの学生である瑞夏に見破られるとは。はっきり言って、想定外の事態だった。
瑞夏
「なん…となく、だけ、ど。わかる…。だッて、ずっと、菜乃葉…さン、と、イルカら…」
菜乃葉
「……そういうもん?」
はにかむように笑う瑞夏に、つられて菜乃葉も少し笑う。
瑞夏
「ね、菜乃葉…さん。菜乃葉、さん、が何を心配してる、のかは知らないッけど……でも、きっと、、菜乃葉さんなら大丈夫…だよ」
菜乃葉
「…そう?」
瑞夏
「ぅん、うん、だって、菜乃葉、さん、はすごい、と、おもてる」
瑞夏の言葉に根拠は無かったが、その笑顔だけで菜乃葉には十分効果的だった。
菜乃葉
「…起きてもいないことをあれこれ心配してても仕方ないか……ありがと、瑞夏。元気出てきた」
瑞夏
「本当っ? よかた…」
そう瑞夏が大げさに言ったあと、二人は目を合わせ、くつくつと笑いながら寮に戻った。
□
それからの数日間は、また何事もない平穏な日々が続いた。菜乃葉は警戒を怠ることはなかったが、しかし心中も穏やかに日々を楽しんでいた。
しかし、そんな日々もやがて予想外の形で終わりを迎える。仮初の平和に終わりを告げたのは、魔法生物学の博神先生の言葉だった。
博神青紫
「そろそろみんな座学ばかりにも飽きてきたことだろう。というわけで……来週はクラス合同校外実習を行う。みな、野営と戦闘の準備をしっかりしておけ」
教室中の生徒が驚きと喜びの声を上げる。そんな中、菜乃葉だけは他の生徒と違う反応をしていた。
菜乃葉
「……なるほどね。狙うならこれか」
誰にともなく、菜乃葉は真剣な口調で呟いた。
_____________
菜乃葉の使い魔
光の天使
マイクラのアレイを想像していただければ…
アレイの金色版です
作者はちょっと最近睡眠不足が酷すぎるのでちょっともう寝ます…睡眠導入剤に浸っています…もう戻れぬ…
コメント
5件
たくさん寝た方が健康的でもあるから、たくさん寝てねん