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コメント
5件
こがるん絵も文章書くのも上手いとか天才かよ…👏
普通にストーリーが好!!!どうしたらそんな上手くなれるのか…🤔腕一本よこしてください🙂。語彙力ないとか言ってたけどあるじゃないか!!キャラの口調とか掴み所が上手〜〜〜好です👍一いいね1マイリストセンキュー🙂🙂👍
いいねコメント等嬉しいです〜 リクエストとかあったら書いてくだされば書くかもです✍️
問題等があれば削除致します
キャラの口調等、呼び方が変な場合があります。
拙い文、起承転結ですが温かく見てくれると幸いです。
光は吸収されたり、干渉されたりすると一時的に見えなくなってしまう。
中々思い出せない黒井と 見えなくなってしまいそうな光
ほんの少しマサ光要素有
湿気が多く汗をかきやすいとある夏の夜。
現実世界から意識を落として寝ていた時に見た夢から始まった。
「名前…?■■■だけど。」
「帰るぞ黒井」
「何やってんだよ、お前…。」
「ちょ■と■■るだけだけど」
「お前能力使った?」
「……なあ、黒井、」
「ありがとうな。」
AM6:30 寝起き直後
「ねえなんで………っ!!!」
そう名前も知らない顔が黒く塗りつぶされた子にそう言われた途端、俺は悲鳴をあげながらがばっと起き上がってしまった。
夏のせいなのか、なんなのか分からないけれど、寝ている間に汗をかいていたらしい、じんわりと気持ちが悪い感覚になりつつも顔の額に着いている汗を拭う。
「…、俺って、こんな友達いたっけ…。」
うーん、と少し唸りつつ思い出そうとしても、あの子の顔、名前、声が更にもやもやになっていく。ただ、鮮明にわかるのはあの夢で話していたあの子と居るのがとても心地が良かった感覚だった。
「…夢で見た内容が楽しかっただけかなあ。」
そう考えつつ、この話を話題のネタにしようとスマホを持ち、メモ機能で忘れても思い出せれるようにする。
AM8:15 教室中
「おはよ〜!!」
と明るく元気な声で教室内に響く様にそう言う、大半の男友達に挨拶し返された後、ギャル女子二人にも挨拶される
「あ、マサおは〜」
「おは〜、今日も元気やね」
「へー子!みらい!おはよ〜、2人も元気じゃない?」
と明るい声で2人にそう言う、「え、そ〜?」と言い合う2人を見ていると今日の夢の事を思い出した。思い出した後ギャルふたりに視線を向けて話し出す
「あ!そう、今日の夢さ〜、ひかるが出てきたんだよね〜、ひかるって今日休み?来てないよね…、後…、夢で…なんか俺の事呼んでた!でも最後が不思議で〜…、えっと…」
「……え、ん?…ちょいまち。へー子、マサの言ってる事分かる?」
「…、いやうちも流石にわかんないわ」
「よね」
「…?」
「……マサさ、」
「”ひかる”ってだれ?ウチら知ってるみたいな口調だけど、知らないし、マサの友達的な?」
「……え?…ひ、か……」
無意識の奥底から出てきた知らない名前、自分自身でもみらい達の返答に困ってしまって、黙り込んでしまう。
そんな様子を見た2人は俺に心配そうに声を掛けてきた
「…マサ、大丈夫そ?」
「ウチらで良かったら話聞くし〜、てか休む?」
そう明るく2人は言ってくるのを裏腹に自分は表情を切り替えては二人にこう言う。心配をかけたくないし、そもそも自分自身の体調は良好で、ただ…さっき出てきた名前。「ひかる」という名前がとても気になる。そう思いながらも2人に返事を返す
「…いや!なんでもない、!てか夢の話だよ?俺体調絶好調だし!」
そう2人にパッと笑顔を向ける。
…今思えば、変だったかもしれないけれど、2人はこう言ってくれた。
「なら良いけど、無理はせんでね?」
「うん、分かってる!!」
そう会話し終わるとキーンコーン…とチャイムが鳴ってしまった。先生が来る前にササッと全員椅子に座って、そこからはいつもの学校生活…だった。はず。ただ昨日までは感じなかった、1つの違和感、休憩時間等はとある人物とずっと二人で話していた感覚が体に残っている。少し気持ち悪く、でもとても寂しく感じるその感覚を感じながら何とか放課後まで過ごし、ついに放課後になった。
「じゃあな〜!早川!」
「明日、火曜日遅刻すんなよ?笑」
「わかってる分かってる、てか俺ほとんど遅刻した事ないしー、するなら早川でしょ!」
そう友達の1人の早川に言うと自分の教室から出て、テンポよくタタタッと音を鳴らして階段をおりていく、今日は部活がない為下駄箱までそのまま直行していこうと思い歩いていると、新聞部の部室らしい所ら辺で歩く速度を緩めた。ずっと何故か分からないけれど、誰かが新聞部に所属していて、そこにたまに突撃していた気がしていたから、部室の中から声は聞こえるし、活動しているのかな?と考える。
通り過ぎようかと考えたけれど、部室の扉の前で足を止めた。今から自分がする事はただの変人になりうるかもしれない。それでも気になってしまったのだから仕方ない。そう思った後、ふー…、と深呼吸してから新聞部の部室の扉をガラッと音を鳴らして開ける。
「すいません!」
そう大きめな声で言うて全員驚いた様な顔をしてこちらを向いてくる。新聞部部員の中で先に声を出したのは青いネクタイをした先輩で、新聞部の部長…?さんだと思われる人。
「…ここ新聞部だけど、新聞部になんか用で?」
「…えっ、とー…聞きたい人物が居…て…?」
そう言ってる最中に後ろから女子の声が聞こえては、ずかずかと誰かが新聞部の中に入って部長さんに声を掛けてい。
「ちょっと新二!教室に忘れ物…ってきゃぁ!?」
「うわっ!?…ああごめんごめ…あ。」
「…どこ触ってるのよ!」
そう女性が怒った様に言った後、バチンッと肌が触れ合う大きな音が鳴る。…いきなりの状況に困惑しているけれど、何故かこういう光景も見た事があるような気がする。けれどもかける言葉が見つからず少し呆然と見ていると横から桃色のネクタイをした自分の後輩らしき新聞部の部員に話しかけられる。
「すいません部長が…、あの人能力がラッキースケベなんです。」
「えっ、そうなの?…なんか大変そうだね」
「まあ毎日あんな感じですね」
「…それより、さっき聞きたい人が居るって言いませんでした?」
「あ…!そう!聞きたい事があって…!えーっと…、変な事聞くかもなんだけど、」
「…”ひかる”っていう子、新聞部に所属してる?」
「ひかるさん?いや…、知らないです。苗字って分かりますか?」
「ごめん、わかんない…かも。なんか…気になってて、その子。」
「…副部長、ひかるさんっていう人知ってます?」
「話は聞いてたが…、俺もよく分からないな。…写真撮ってみるか?」
「え、写真?」
「副部長の能力は霊写なんです、撮った霊とかが見えるのでもしかしたらひかるさんも霊の類か分かるかもだし…、撮ってみますか?」
「じゃあ、お願いします!」
俺がそう言うと副部長さんはカメラを向けてきた為、いぇーい、とピースしたら カシャッ と音が鳴った。慣れた手つきで今撮った写真のフォルダを副部長さんが表示する。
「…、特には無いが…、なんでか周りが少しきらきらしてるな。」
「副部長、それただの霊の仕業じゃ?」
「えっ、俺にも見せてください!」
そう言うと副部長さんはカメラを自分に向けて写真を見せてくれた。…なんか周りに霊が1、2体居ることは気にしない方がいい気がする為、無視して自身を見る。確かにほんの少しだけ自分の周りがきらきらしてる様にも見える。
「…きらきら…、うーん、原因がわかんないなこれじゃ…」
「…そうだ、誠の能力で何とか出来たりしないのか」
「いや、流石に人を作る程になると俺の能力でも色々厳しいですし、もし居るならややこしい事になっちゃうので無理ですね…」
「あ〜…そっかぁ…」
「お役に立てなくてすいません…」
「いやいや!俺から言ってきたことだし全然大丈夫!てか俺の方こそごめんね」
両手をパチンッ、と合わせて自分なりに謝罪のポーズをする。…あれ、これ、なんか前にもやった事があるような感覚がある。中学の頃とかに…、そう思いつつも 分からないなら迷惑なだけだし帰ろう。と思い口をだす。
「…じゃあ…、俺は帰ろうかな、いきなり来て迷惑かけてごめん!」
「いやいや、毎日ネタ集めて新聞作ってるだけの部活なのでここ、あ、そうだ、最後に名前聞いてもいいですか?」
「俺?俺、黒井正義って言います!マサって呼んで!」
「正義さんですね」
「つれない!ひかるも俺の事黒井って呼んでくるんだよね〜」
「…ひかるさんが?あれ、友人さんですか?」
「…え?あ…、ごめん、俺もよくわかんない。たまに無意識でさっきみたいにひかる…っていう子の話が口から出て来ちゃうんだよね。」
「……あー、そうなんですね。じゃあ、また何か困ったら是非新聞部に来てくれたら俺ら居るので、何時でも」
「うん!誠くん…と副部長さん…と部長さんだっけ?ありがとう!じゃ、失礼しました〜」
笑顔でそう言いながら新聞部の部室の扉をバタン、と閉めては体を廊下の方へ向けて、歩き進める。
「…ひかる、かあ……」
矛先は家へと足を進めて、歩きながら小さく何度もその名前を呼んでみる。ひかる、ひかる。…ああ、やっぱり、毎日呼んでいたような、そんな感じに言い慣れてて、大事な親友的な、なんかそんな感じの人だった気がする。
……でも誰かわかんない。そもそも俺は夢で見た子を何故現実世界で追ってるのかすら、よく分かんなくなっていた。夕方の光に照らされながら色々と考えていたら、いつの間にか家の前へと着いていた。こんな寂しい帰り方って今までしていたっけ?と自分に問いながらドアノブに触れ、ガチャっと音を鳴らしつつ家の扉を開ける。
「ただいま〜。」
シン…と返事が無い家、そういえば母ちゃん、今日は用事があるとかで帰ってくるの遅いって言ってたな〜。と思いつつキッチンへと足を運ばせる。家族3人居るとは思えない量のカレーが置いてあって、俺はバスケ部でよく動く為お腹が空きやすく、そのために多く食べるからいつも助かっている、手などを洗ったり、皿にご飯を入れたりして、カレーを温めては皿によそってはもぐ。といつもの様に食べ始める。
「ごちそうさまでした〜っ」
そう食べ終わると皿をキッチンへと持って行って水に浸しておく、こうしないと母ちゃんに怒られるんだよな〜、カレーが皿に付くってうるさいんだよね。浸した後、今日は疲れたし早く寝ようと自室へ向かってはささっ、と私服に着替えてベットに ぼふっ と飛び込む。
「ん〜”……!」
そういえば今日は色んな事があったな、新聞部の子と話したし、ラッキースケベ?が能力の人は大変そうだし…、新聞部って案外騒がしい?とぼーっと色々考えつつ、意識は段々落ちていった。
忘れられないものを思い出と呼んで、それは美しかったり、悲しかったりする。
夢は蜃気楼だ。近付いたと思えば消えてしまう。
「もう2024年も終わるんだぞ」
「そのリテラシーでよくこの現代生きていけるなお前」
「…分かったよ。」
「セブンスオピニオンくらいあったけど」
「なに、これ」
「いや、なんで?」
「いや俺そんなソーラービームみたいな能力じゃない…し……」
「……ありがとな。」
AM 7:00 火曜日
ぴぴぴっ とアラームの音が聞こえ始める。
…むくっと無言のまま起き上がる、冷や汗も無く、気持ちがいい目覚めだった。その子の夢を見たからなのか分からないけれど、見れて嬉しかった。
…でもそれ以降、ひかるという子の夢は見なく、いや 見れなくなってしまった。最初は何故見れなくなったのかが気になっていたけれど、それも数日経てば意識も少しだけ薄れていった。
日は過ぎて金曜日の夜、椅子に座りファイルの整理をしていたらぺらっとハガキくらいのサイズでプリントされたものが床に落ちる。それを拾いを上げて見た途端、硬直した。
「…多々光?…え、ひかる……?」
拾い上げたソレは”多々光”という子の事が書かれたプロフィールカードだった。そのプロフカードには顔、能力、仲良い子の欄があった。
「あ…、俺、これ落書きした記憶ある。」
俺から見ても少し目つきが悪い目で、どういう感情の顔なのか分からない顔をしている。そのカードの能力にはちょっと光る。と書いてありそれを見た瞬間最初見た夢の内容をおもいだした。
「ちょっと光るだけだから」
夢で見た時は所々、モヤがかかったような感じだったけれど、今は鮮明に脳内で再生ができる。次は仲良い人の欄を見た。そこにはいないと書かれている上に二重線がぴっと引いてあり、その下に自分の文字で「オレ!!」と書かれていた。見た後、ソレを机に置いて両手で顔を覆う。
「…あー、最低…だなあ俺。」
「…ひかるの事、なんで俺全部忘れて…、」
でもまだ完全に思い出せた訳ではない、まだモヤがかかっている部分が多い。ただ…それは明日にしようと思った、明日は休みだから色んな情報を明日にまとめたい。そう思っては自室でごろんと寝転んではぼーっとする。部活後で疲れていたのかすんなりと意識が夢の中へと落ちていく。
夢の中に落ちた次の瞬間景色が野原に切り替わる。
この場所…、既視感があるな、と思いつつ周りをきょろきょろと見る。後ろから不意に少女の声が聞こえて自分も振り返る。
「黒井くん。」
「えっ…、あ、…”祝子”さん、?」
確か…同じクラスメイトで 会話した事が無いはずなのに 無意識なのか分からないけど口からそう少女の名前を呼んでいた。
「久しぶりね、黒井くん。」
「…貴方があんまりにもすぐ思い出さないから、腹たってここに呼んじゃった。」
「俺を…呼んだ?なんの為に?」
「……本当、なんも覚えてないのね、…黒井くん。貴方の大事な人は?」
「大事な人……、それ、は…」
本当はひかるだって言いたい。けれど少しだけまだ、ひかるは夢の子なんじゃないか、自分がおかしいだけなんじゃないのか。と考えてしまった。
「…あは、あははは!!ほんと…笑えちゃう」
そう考え込んでいたら祝子さんが高い笑い声を出してそう呟いてくる。
「”ひかる”くんの事、なーんも覚えてないの?」
「ひかる?…いや、覚えてるけど、それは夢…の……。」
言ってる途中で口を噤んだ、言ってしまうと 本当にひかるの事を夢の子だと確定させてしまう気がした、噤んでる俺を見て祝子さんは復唱してきた。
「夢の?」
先程笑っていた彼女は表情を変ジッと真剣に俺を見てくる祝子さんの瞳が目に焼き付く、その瞬間ずっと忘れていた、本当は忘れちゃ行けない大事な事を今、遅すぎる程にようやく思い出した。
ひかるは実在する。まだ完全ではない記憶だけれど、そう断言出来る。俺は間違えてたらどうしよう。と思う不安から逃げようとしてただけだ。
ああ、俺本当に最低だ、俺がずっと引っ付いて、仲良くしてくれてたのに、俺自身驚く程に あんなにも大事にしていた唯一の 大好きなひかる、”多々光”に会わなきゃ。
そう思うのと同時に祝子さんとの記憶も思い出した
絶対居ない事になんてさせない。俺が居る事にさせる。
そう決心づくと祝子さんの顔を見て、言う。
「俺、今嘘ついた、ひかるは夢の子なんかじゃない」
「ごめん、祝子さん、俺、ずっと隣に居るって言ったのに、また破った。馬鹿だ、俺…、」
「…気付くの遅いよ、黒井くん。」
「これで確信付いてなかったら、乗っ取っちゃってたかも。」
「…それは勘弁して欲しいかも、俺、ひかるに会いたいし」
「…ふふ、乙女の冗談なのに、つれないわね」
「あと黒井くん…、泣かないでよ。こっちも泣きたくなっちゃう。」
いつの間にかぼろぼろと涙を流す俺に祝子さんは はあ と溜息を付いた後困った様な顔でそう言ってくれた
「ひかるくんが今何処に居るのかは私にはよく分かんないけど、きっと黒井くんなら見つけれると思う。」
「…俺なら?」
「そう、黒井くんなら見つけられる。多分…黒井くんとひかるくんにとって大事な所だと思うから。」
「…あ、時間がもう来ちゃった見たい、それじゃあね、黒井くん。」
にへら、と祝子さんは笑ってくれた。本来俺の事が憎いはずなのにそう笑ってくれた祝子さんに向かって俺も笑顔でこう言った。
「…”またね”、祝子さん!」
AM 9:00 大事な休日
パチッと目を開ける。頭は寝起きとは思えない程とてもスッキリしている、夢…いや、祝子さんとあって話した内容もちゃんと覚えている。部活疲れでほんの少しだけだるめな身体を起こして考え事をしながらスマホを見る。
「…俺とひかるが大事な場所…、」
正直言って候補は沢山ある。俺が撮影を手伝ったパラの丸町を見渡せるあの店や、パラ高にある物置部屋。でもそれは多分違う。スマホのフォルダをスクロールしつつそう考える。
ただ、時間はまだある。どうするかと考えていままで撮ったフォルダを全部見返そうと考え、見始めてからかれこれ一時間程度が経った気がする。自分のLINEアイコンにもしている猫の写真や、部活の写真、それにフォルダにはちゃんと、ひかると一緒にいた写真があった。けれども、ひかるの顔が黒くモザイクが掛かったように見える。 ひかるに会わなきゃ、何故か存在されてない事にされているひかるを存在させないと、
この現象は治まらないのかもしれない。
「…行こ、ひかるに会うために。」
ぴた、とスクロールしていたフォルダを見る手を止めると確信した様に言い、スマホの画面を検索画面にしては何かを検索したあと、あの時一緒に行ったあの服に着替えた後、お昼ご飯を食べようと1階へ降りていき、キッチンへと向かった。
「ん、あマサ、ちょうどご飯できたわよ〜」
「ほらちゃちゃっと食べなさい」
「一々言わなくてもわかってるよ母ちゃん」
母ちゃんにツンケンした様にそう言った後に椅子に座り「いただきます」と言ってからもぐ。と食べ始める、幸い天気は晴れでほっとしつつ、数分後には食べ終わり「ごちそうさま」と言った後に食器を水に浸し、飲み物を飲んだ後すぐさま玄関へと向かう。
「どっか行くの?迷子になっちゃダメよ」
「中学生じゃないんだから分かってるって、…友達の所行ってくるだけだから、じゃあいってきまーす」
ガチャッと玄関の扉を開けて、外へ出てはパタン。と扉を閉める、矛先を駅へと変えて歩き始める。
「…あっつ〜…、!」
道中、自動販売機に寄って飲み物を買う、珍しくいちごオレとバナナオレが売っている自動販売機で、いちごオレを買おうとお金を入れてはピッと押す。ガタッと音を鳴らして出てきたのは…、バナナオレ。
「…えっ、俺いちごオレ押したよね!?」
「……あ、でも…」
過去にパラ高の自動販売機でお金が下に落ちて何とか取れた!と思ったら間違えてバナナオレを買ってしまった時がある。その時はひかるが代わりにいちごオレを買ってくれて、交換してもらった記憶がある。
「…いちごオレも買って二人で飲も!」
そう言うともう一度お金を入れてピッと押す。またガタッと音がして落ちてきたのを確認する、見たら今度はちゃんといちごオレだった。バナナオレといちごオレ2つともを持って一応持ってきた鞄にばっと入れる。
「あれ、マサやん、どしたん〜?」
「まさかの遭遇〜」
不意に後ろから女子二人の声が聞こえてくる。振り向くとそこにはギャルのへー子とみらいが居た。
「みらいとへー子じゃん!俺は今から駅行くんだよね〜」
「一人旅的な?」
「いや、…えーと…、ひかるに会いに行くの!」
「……あーね?」
少し間があいた後にみらいがそう言う、……なんで間が空いたんだろう?と不思議に思いつつも2人のことを見ていると聞いた事あるフレーズがへー子から聞こえてくる
「あ〜、見えちゃったか〜未来」
「そー、…でマサ、うちらもぴかるんの事忘れてた事、代わりに謝罪しといてくんない?」
みらい、未来視してひかるが居る事を認知した…?と考えながら俺はみらいとへー子に少し戸惑いつつも笑顔でこう返す
「えっ…、みら…、うん!わかった!」
「んじゃ、うちら新大久保行くからまたね〜」
「またね〜マサ、次はぴかるんと居る時に会お〜」
「…うん!またね、みらいへー子!」
そう言い合うとみらいとへー子はくるっと背を向けて歩いていった、自分も駅に向かおうと自動販売機から目を背けては駅へと足早に進めていく、しばらく歩くと駅に着き、切符販売機に立ち寄ってとある駅に行く為の切符を買う
「前乗った時と同じ時刻…、ってえっ?!もう来ちゃうじゃん!」
買った後時刻表を見るともうぎりぎりの時間だったらしく、急いで切符を通して電車の方へ走って向かう、丁度電車が着いたのか何とか乗り込む事ができた
「…はーっ…!!乗り遅れるかと思った…」
少し疲れた様に息を整えながらも、空いてる席が多かったので座る事が出来た、その後電車の閉まる音がしてからガタン、と発車して目的地の駅へと進み初めて行く
「…ふぁ〜……」
電車に揺られて数十分、眠気で欠伸が出てくる。目的地の駅までは結構遠く、恐らく2時間以上はかかる。この前行った時は空が明るかったのに着く頃には夕暮れになっていた、逆に暫く着かないのなら少しくらい寝てもいいんじゃ…?と考え思い立っては直ぐ様に目を瞑る。揺られてる心地がいいのか、直ぐ様すとんと意識が落ちていった。
「…で、今日はなんだよ」
「なんだよそれ…」
「はぁ〜?」
「これで病院とかだったらキレるぞ」
…久しぶりにこの夢を見た気がする、ひかるの為に寝ずに色々調べたの懐かしいな〜…
目的地、いや俺が確信に近付いて行く度にひかるの事がはっきりとしていく、声はもう完全にひかるの声で、顔のモヤも明らかに薄くなってきている、今なら夢でもひかるに何か伝えれる気がする。そう思っては口を動かして声を発してみる。
「…ひかる、会いに行くからね。」
自分でも驚いた、夢の中なのに言えるんだって。本当に言えるんだって。ひかるにそう言うとひかるは吃驚した様な顔した後「んだよそれ。笑」と言いたげな顔で少しだけ微笑んでくれた、その後ぼやぼやと意識が目覚めていく感覚になる。
ぼや〜っとまだ少し眠い目を起こしつつ耳を傾けるとアナウンスが聞こえて来ている事に気がついた。
「まも……土……中…〜」
「…んぁ…?」
「まもなく〜土井中丸〜」
「……やばっ…!!!」
“土井中丸”駅に着くというアナウンスを聞いた後、吃驚する様に起き上がって電車の扉の方へ行く、幸い乗り過ごす事はせず無事に降りれた。
「……彼処に居るんだよね、ひかる…」
改札を通り過ぎて、駅の階段をおりる、早く目的地へ…と思いつつ、進めようとした足が緩やかになっていく。
…これで違ってたらどうしよう?俺にとっては大事な場所だけど、ひかるはそうじゃないかもしれない。
「…、いや、ひかるは居るよ。」
自分に自信を持たないと居る者も居なくなっちゃう、ひかるは絶対居る!俺が沢山調べて見つけた所で泣いてくれたんだもん。…多分、あの時ひかるの支えになれてたと思うし!
そう思った後、タッタッタッとテンポよく走ってあの場所へと向かう。少し走る速度を緩めては息を整えたりしてなるべく早く着く様に工夫して走っていく。俺、こんなに走れたっけ?と思える程体が軽い。
「…っは……はーっ……、」
PM 4:30 目的地前
目的地の前で足を止める、…ひかるにようやく会えるんだ。と思ったら気持ちを整えたくなったから。この1週間、いやそれ以上、ひかるに会えてなかった。
「……ふぅ〜…、……よしっ…!」
気持ちを整理した後、ついに目的地に足を進めた。
足を進めてすぐ、視界をあげる。
「………、!」
踏み込んだ先にはフェンスに手を置いて少し持たれている俺と同じ高校生の子が居た。その子は足音で気付いたのか、夕暮れの光に照らされて少し髪が緑に見えるあの子はくるっと自分の方に振り向くと待っていたかのようにこう呟く。
「……遅せえよ、ばか。」
「……っ…、!!ひかるっ!!!」
ふ、と笑う様な顔をしているひかる、大事な多々光の姿を見て、そう声を掛けられた瞬間言葉に表せられない程の嬉しさで、ダッとぶつかりそうな勢いでひかるに近寄っては思い切り抱きしめる。
「会いたかった!!!ひかる”〜…!!!」
ひかるにようやく会えた嬉しさか、1週間以上誰もひかるを覚えていなかった、自分だけ覚えて会えてなかった悲しさ不安さからなのか溢れる様に涙が出てくる。
「再会して早々これかよ…。」
「落ち着けって…、こっちも泣けてくるだろ。」
「だってぇ…、」
ひかるは俺の事を困った様に見つつも落ち着かせてくれる為にすす…、と背中をさすってくれる。あ〜…ひかるの手だ、温もりだ〜…、と今まで感じてきた安堵感を感じた。
俺が落ち着くまでひかるは撫でてくれた、落ち着いた後ひかるの顔をじっと見てこう呟く。
「ごめんね、ひかる。」
「…うん。」
「…ひかるの事忘れてた。」
「だろうな。」
「でも、俺ちゃんと思い出したよ、みらいも思い出したのかごめんって言ってた、大事なひかるの事、ちゃんと思い出した。」
「見里が…?…後うるさ、しれっとそういう事言うな、恥ずかしいし」
吃驚した様に俺の事を見てはその後少し照れくさそうな顔になってひかるがそう呟く。
「…怒ってる?」
「怒ってない…」
「本当に?」
「本当に。」
「本当に……??」
「お前しつこいな、怒ってないって…」
「…あ、じゃあ、つけ麺奢ってよ、それでチャラって事で。それなら良いだろ」
丁度食べたかったんだよな〜。と言った後に俺の顔を見てくる、本来はつけ麺位で済まない事をしたのに、ひかるって本当優しいよね。
「…じゃーつけ麺奢りで!ひかるが望んだ事だし!」
にかーっと今まで以上の笑顔をひかるだけに見せて元気よくそう言う、…いや、多分これはひかるじゃないと見せられない笑顔だと思う。
「んは…笑、なんだその笑顔…笑」
ひかるが俺の笑顔を見た後にんはは、と少し笑っている、「笑顔で笑うなんてひかるひどいー!」と返しつつも自分もつられてまた少し笑い合う、ひとしきり笑い合うとお互い無言になり、フェンスに持たれてしばらく会話がないまま夕日を見つめる。声を発そうかと思った矢先に、沈黙を破ったのはひかるだった。
「……なあ、黒井」
「んー…?どうしたの」
「…普段こんな事、言えないんだけど…」
「……?」
恥ずかしいのか、少し照れくさそうな顔をしながら此方を見つめてくる、何か言うのに勇気が要るのか少し間が空いた後に遂に言ってきた。
「…ありがとうな。」
「…え」
「…見付け出してくれて、多分、黒井が見付けてくれなかったら…本当に居ない存在になってたと…思う…し……」
そう言うと光らなくなっちゃったあの日みたいにひかるは涙を零しながらそう感謝を述べてくる、そう聞くといてもたってもいられずにズっとブラックホールを出して吸い寄せてひかるを抱き締める。
「うわっ…、!」
「ひかるがもし今居ない存在だったとしても、時間かかってでも俺は思い出すよ!!」
「”絶対”に!」
“絶対”、これは嘘じゃなくて本当に本心からの物。そう言いきった後にいつの間にかブラックホールが強くなっていたのかひかるが困った様に呟く
「いや、あの…ちょ、嬉しいんだけどさっ…、」
「吸ってる吸ってる、吸ってるから…、弱めて、」
「…、ぁ!ごめん、…!」
そう咄嗟に謝ってはブラックホールを消す、でもこれで確信が着いてひかるにこう言い放つ。
「でも…、ブラックホールで吸えるってことは、ひかるはちゃんと存在してるよ、だから…泣かないで」
「……ん…、」
笑顔のままそう言いつつも、ひかるの目に溜まっている涙を手で拭って拭き取る、その行動にやめろ、とも言わずに受け入れてくれた。そうしているうちに夕日は段々と沈んでいく
「…つけ麺食べに行こ?ひかる」
「…そだな」
2人ともフェンスに持たれるのを辞めては駅の方へ体を向け、足を進める。
「あ…そーいや、ひかるにこれ!」
空いてる片方の手で器用に鞄をチャックを開けて駅に行く前に買ったバナナオレを取り出しては見せる。
「え、バナナオレ?…なんで?」
「駅に行く前に見つけちゃってさ〜、本当はいちごオレ買ったんだよ?でも出てきたのこれなんだよね〜」
「…状況が意味不明すぎる」
「笑いの神にでも愛されてんのかな〜…」
「だとしたらM-1出れるだろ。多分」
「…で、飲む?バナナオレ」
「…飲む。」
「突っ込んでくるのに結局貰っちゃうよね〜ひかる、はいどーぞ!」
駅に進む足を止めてからひかるの方へとバナナオレを差し出す
「…ありがと」
渡した後、バナナオレについていた付属のストローを指してひかるは飲み始めた、自分も鞄からいちごオレを取り出してはひかると同様の事をして飲み始めては足を更に駅へと進める、その間の談笑でひかるが居なかったこの1週間以上で何があったが嬉々として話していくが、ふと思い立ってはひかるに問い掛ける。
「ねえ、ひかる。」
「なに」
「…手、繋いでいい?」
「…、…いいよ。」
同意を得た後、すっと控えめに手を差し出された為ぎゅっとほんの少しだけ強く握り返す。
「なんか、照れくさいね」
「…黒井が言い出したんだろうが…、!」
「いやそうだけどさ!なんか、あるじゃん!!俺ら高校生だからほぼしないし!!」
「いやじゃあなんで提案したんだよ、そう言うなら辞めろよ……」
「それは嫌!」
恥ずかしいのかひかるは少し目逸らした状態でそう返事を返してくる。そんな姿を見てやっぱり光を見付けれて良かったと思えた。
「…大事な存在程大事だと気付けない、忘れられたものは破片で、儚かったり悲しかったりする。でも俺らの友情はそれ以上だよね。やっぱり友情は少し行きすぎなくらいがちょうどいいのかも。」
「あ。出た代償」
「…言わないで、!!ポエム欲抑えられないんだもん〜」
「そういやそうだったな〜…笑」
少し目逸らして ふ、と少し笑われてる感じの声色でそう言われた
「ねえ絶対からかってるよね?」
仕返し、と言わんばかりに繋いでる手の方に力を入れてぐぐっと握ってはひかるの反応を見る為、横を見る。
「ちょっ…、いった”、いたいからやめろ、まじで、ごめんって……」
「えへへ笑!ひかる痛そー!」
「お前馬鹿っ…、文芸部と運動部の差あるの知ってるだろ…!」
「まあまあ〜、ほらひかる、早くつけ麺屋行こうよ!」
「…誤魔化したなこいつ…、いや、行くけど。」
「ねえひかる〜?」
「…なんだよ…」
「もし仮に、また居ない事になりかけても俺が見つけるから!だから…俺が居なくなったとしてもひかるも見つけてね」
そうにへらとひかるに笑って告げる、言った瞬間は驚いた顔をしていたが直ぐ様顔が戻って少し呆れた様にこう言い返してくる。
「…当たり前だろ、言われる前からそう思ってるし。」
「そっかあ〜、じゃ、安心だね」
ひかるにそう言われ、心から嬉しくなった、ずっとひかると近くに居れたら嬉しいなって思えた、結構暗くなった夕日をバックに足を進めて駅へと着く。この後はひかるとつけ麺を食べに行く予定で、今はソレを楽しみに思いながらまた日常を送れるんだなって思う。
やっぱり、友情って少し行きすぎなくらいがちょうどいいのかも。