テラーノベル
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カミラとの対峙。殺気と嘲笑が渦巻く巨大コロシアムの真ん中で、俺はふと、手首の時計の秒針に目を落とした。本来なら、この『魔道王闘技会』が催されるのは数年先のハズだった。学園のカリキュラムを大幅に前倒しし、サバイバル予選から本戦へと雪崩れ込むような突貫工事のスケジュール。
脳筋のエリート候補生どもは「魔王様が次世代の台頭を急がれているのだ」だの「俺たちの実力を試すためだ」だの、能天気な解釈をして盛り上がっていたが――裏で人間界の闇商人ハンスから情報を買っていた俺には、その真相が最初から見えていた。
(前魔王の崩御……そして、直系の子息の不在)
そう、魔界の頂点に君臨していた絶対者が、人知れず没したのだ。
本来なら血統を継ぐべき直系はおらず、残されたのは権力争いに血眼になる大貴族どもと、空中分解しかけている魔界の統治組織。この混乱を覆い隠し、新たな絶対的象徴を打ち立てるために、奴らは『魔道王闘技会』を繰り上げ開催せざるを得なかった。
「……血筋も、正統な継承も知ったことか」
俺は静かに消音拳銃のグリップを握り直す。
直系がいないからこそ、魔力(破壊力)の強さだけを指標にして「一番強い奴が次の魔王だ」という力押しのルールで強引に誤魔化そうとしている。どこまでも大雑把で、愚かな魔族どもの思考回路。
だが、都合が良い。
権威も血統も意味をなさないこの混沌とした闘技会は、誰にも期待されなかったハーフの落ちこぼれが、泥臭い知略と鉛の弾丸だけで頂点へ駆け上がるには、これ以上ないお誂え向きの舞台だ。
「ハッ! 何をブツブツと怯えて命乞いの準備でもしているのかしら、ハーフの虫ケラが!」
正面で巨大な魔導槌を構えたカミラが、全身に極厚の岩石鎧を纏いながら嘲笑う。
「前魔王様が崩御され、新たな魔王を決めるこの神聖なる大舞台……貴様のような出来損ないの血で汚されるのは胸糞悪いけれど、一瞬で粉砕してゴミ箱へ叩き込んであげるわ!」
「……喋りすぎだ、カミラ」
俺はフードの影から、冷酷な光を宿した瞳で彼女を見据えた。
魔王が死に、世界が揺らいでいる? だからどうした。
俺が目指すのは、師匠から託された「絶対の勝利」――そして、あのルシアンの首元に銃口を突きつけることだけだ。
「さあ……350倍の払戻金、ありがたく回収させてもらうぞ」
コロシアムに開戦を告げる鐘の音が轟いた瞬間、俺はコンマ01秒の『時間干渉』を起動させ、岩石の鎧に覆われた彼女の「わずかな関節の隙間」へと一歩を踏み出した。
n a ♡︎︎ *
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蒼月
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グリルタ
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コメント
1件
第14話、めっちゃ重くてカッコよかった……! 魔王の崩御とか、直系不在っていう魔界の裏事情が主人公の目線で語られてるのが、すごく世界観に引き込まれた。ただの闘技会じゃなくて、政治的な混乱を覆い隠すための舞台ってのが切ないし、でも「だからこそ都合がいい」って言い切る主人公の覚悟が痺れる。 カミラの嘲笑と、静かにコンマ01秒の時間干渉で踏み込む対比がたまらない。350倍の払戻金、絶対当ててほしい……! 次も読みます🤍🌙