テラーノベル
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開戦の鐘が轟いた瞬間、カミラの足元から破砕音とともに巨大な岩石の槍が無数に突き上がった。「死ね、出来損ないがぁッ!」
歓声を上げる観客たち。コロシアムを揺らす圧倒的な質量攻撃。
だが、俺の視界の中では、世界が静かにその速度を落としていた。
「――『局所遅延(ディレイ)』」
ほんのわずかなコンマ01秒。
カミラの突進と岩石槍の追従速度を自作の戦術理論で微小にずらし、その隙間を削り取るように滑り込む。
(魔法の構築速度、足元の重心移動、岩石鎧の接合部……すべてが甘い)
かつて地獄の地下室で、師匠が俺の胸元を蹴り飛ばしながら吐き捨てた言葉が脳裏をよぎる。
『技の華やかさに目を奪われるな、クロード。どんなに巨大な城塞だろうと、人間が作った一粒の鉛と正確な一撃の前に崩れないものはない。俺が叩き込んだ全てを使って、生き残れ』
顔も素性も明かさず、ただ俺に泥臭い実戦術と「真の勝利」を叩き込んで消えたあの男。
魔王が崩御したという噂の時期と、師匠が俺の前から姿を消した時期が妙に重なるような気もしたが……今はどうでもいい。あの男がどこで何をしていようと、俺がやるべきことは変わらない。
「な……ッ!? 姿が、消え――」
カミラの目が驚愕に見開かれた時には、すでに俺は彼女の死角――岩石鎧の肩関節と頚椎の接合部へ滑り込んでいた。
右手に握りしめた消音拳銃(サイレンサー)。
弾丸は、ハンスから仕入れた超高硬度の特殊徹甲弾。
「――終わりだ」
パンッ、パンッ!
至近距離からの二連射(ダブルタップ)。
鎧の接合部の微小な隙間を正確に撃ち抜かれたカミラは、魔導槌を振るうことすらできず、白目を剥いて巨体ごとリングへ崩れ落ちた。
静まり返るコロシアム。
350倍のオッズを叩きつけた観客たちが、何が起きたのか理解できず絶句している。
「……勝者、クロード・ヴァルネ!」
審判の狼狽した声が響く中、俺は静かに拳銃をホルスターへ収め、倒れたカミラを見下ろした。
(見てるか、師匠。俺はまだ、倒れていないぞ)
まさか自分に暗殺術を叩き込んだあの男こそが、つい最近まで魔界の頂点に君臨し、そして人知れず没した「前魔王その人」であったとは知る由もなく――俺は次の獲物を狩るため、気怠げにコロシアムの地下通路へと引き返していった。
コメント
1件
第15話読み終えたよ〜!!😭💕もうね、冒頭の岩石槍のド迫力から一気に引き込まれた!カミラの「♡♡♡、出来損ないがぁッ!」ってセリフだけで敵の圧がすごく伝わってくるのに、それを涼しい顔でかわすクロードがかっこよすぎる…!! 特に「局所遅延(ディレイ)」でコンマ01秒の隙を縫う戦術、めっちゃエモかった…!🧠✨ 師匠の「一粒の鉛と正確な一撃」って言葉も重くて染みる。あとラストの「見てるか、師匠」でグッと来たんだけど、まだ師匠が前魔王だったってクロードが気づいてないの、続きが気になりすぎる!!次話も楽しみにしてるよ〜🌸
n a ♡︎︎ *
124
蒼月
768
グリルタ
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