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いつもの部屋に来たのはいいが、モネしかいない。確かこの時シーザーは外にいるんだったか。
「マスターならいないわよ」
「そうか、どこへ?」
「さあ? 趣味の悪い人だから表の戦闘の見物でもしてるんじゃない?」
「この島で見たいものは色々と見て回った。俺とジェディはぼちぼちここを出るつもりだ」
「そう、寂しくなるわね」
「ちょっとお前の能力を借りてえんだが……一緒にいいか?」
「あら、デート? 嬉しい」
ローは何も言わずに部屋を出る。
「ふふふっ、愛想のない人。あなたはいいの? ジェイデン」
「しばらく外にいて体が冷えたからな。しばらくはここにいるよ」
ソファに深く座り直し、モネに言えば、モネはローの後をついて行った。足音が遠のいたのを確認してから、俺はチョッパーの入っている袋を指でつつく。
チョッパーが袋から出て薬について書かれているものを探し始める。俺はここで誰かが来た時のための見張りだ。
……この後、物語が来るっていなければヴェルゴが来てローが捕らえられてしまうはずだ。この数か月の間で海楼石の錠はいくつかただの金属の錠に入れ替えることができたが……。
ちら、とチョッパーが入った扉を見る。チョッパーはちゃんと薬の製造方法が書かれた本を見つけるはずだ。
「烏融、気、張っとけよ」
鞘を撫でながら言えば、烏融はカタカタと震えて返事をした。
「…まずいな。誰か来る」
俺はチョッパーのいる研究室の方に入った。
「ジェイデン?」
「シッ、声を出すな。薬の製造方法と鎮静剤は見つけたな?
チョッパーがコクリと頷く。
それから少しして、捕らえられたローや麦わらの一味、そしてスモーカーさんとたしぎちゃんが1つの檻に入れられているのを見つける。俺も見つかったらあの檻行き確定だな。
俺はチョッパーと鎮静剤やらが入った袋を抱えて剃で物陰に移動する。ローの心臓がまだシーザー側にある今、俺は迂闊に動けない。
「……ローの心臓が取られてるからジェイデンは動けなかったんだな」
「…あぁ」
……だからあの時、俺の心臓にしろと言ったのに。
俺は緩く首を左右に振る。今過去のことを考えたところでどうにもならない。
「チョッパー、身体はどのくらい動くようになった?」
「もうほとんど動くようになったぞ」
「そうか、何よりだ」
そんな会話を繰り広げている間に、部屋が暗くなり、スクリーンが降りてくる。
映像電伝虫を通してスクリーンに映し出された映像は、毒々しい色のスライム、スマイリーが映っていた。スマイリーは巨大な飴を飲み込み、じわじわとその成分を体内に取り込んでいた。
「食った! 食ったぞ、餌を! 食ったな? スマイリー! シュロロロ……生まれ変われ…シュロロロロ……」
「あれ、何なんだ…?」
「4年前の爆発事故『そのもの』だ」
「事故…そのもの……?」
「ゾオン系の悪魔の実を食った殺人ガスだ、あれは」
スマイリーが取り込んだ飴がすべて溶け切ると、スマイリーは大きな唸り声をあげ、そして吠えていた。
ひとしきり吠えると、スマイリーの色が変わっていく。スマイリーとしては死滅し、また別のもの、〝シノクニ〟に変わった証拠だ。
「…………」
俺たちは機会を伺いながら、スクリーンにも目を向けていたのだが、機械の作動音が聞こえ始める。かと思えば、ローやルフィたちの入っている檻が外へと放り出された。
「ルフィ…!」
「ダメだチョッパー、まだ動くな」
「でも…っ」
「お前の船長はこんなところでくたばるのか?」
俺の言葉にチョッパーがぐっと堪える。そんなチョッパーの額に、何かが当たった。
「っ!」
「何が飛んできた?」
「紙だ……『なにもするな』って書いてある……誰だ?」
「ローだろうな、ひとまず俺たちはここでは何もしない。ただ俺とお前が逃げることだけを考える。いいな?」
「わかった」
「そんじゃまあ、脱出開始と行きますか」
「どこに向かうんだ?」
「R棟だ。R-66って書かれた扉が海へと続く通路の入り口なんだ」
「そうなのか。よし、道中で子供たちも回収していこう」
「そのつもりだ。行くぜ」
俺は刀を抜き、壁を斬って通路へと出る。