テラーノベル
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「日織さん、すごく可愛いです……」
修太朗さんが意地悪く私の耳許に、吐息まじりの声音を吹き込んでいらしっしゃるから。
「あ、んっ……」
その声にさえ修太郎さんの男らしさを感じて身体がビクッと反応して、誘うような声が口をついてしまった。
同時に下の方からクチュッと小さく濡れた音がした気がして。
私はその音を修太郎さんに聞かれてしまったのではないかとドキドキしてしまう。
なるべく足を動かさないようにしないといけないのですっ、と思うのに、意思に反して修太郎さんの一挙手一投足はおろか、その呼気にさえも全身が敏感に反応してしまって……身体がモジモジと動いたりしたから。
そのせいできっと、修太朗さんに勘付かれてしまったのだ――。
「日織さんは見かけによらず、とても敏感でいらっしゃる」
うっとりしたように、修太郎さんがつぶやいていらしたのだから。
私はそれが恥ずかしいことにしか思えなくて、思わず「ごめ、なさい……」と小さく謝罪する。
すると、修太郎さんがきょとんとした顔をなさって、
「どうして謝るんですか?」
と問いかけていらして。
私は思わず「……え?」ともらしていた。
私は品位に欠けることは良くないことだとずっと思っていたから。女性の身でありながら、些細なことにいちいち敏感に反応してしまうなんて……言語道断だ、と。
「……はした……ない、ので」
少しずつ、あやしかった呂律も元に戻りつつあって……それが逆にクリアになってくる思考と相まって、恥ずかしさに拍車をかける。
伏し目がちにゴニョゴニョと小声でそう言ったら、途端、クスッと笑われた。
「ほかの男がどう思うかは分かりませんが……」
ややしてそう前置きをして、修太郎さんが口を開く。
「僕は……こんな風に僕の与える刺激全てに敏感に反応してくださる日織さんが愛しくてなりません。もちろん――他の男には絶対に貴女のそんな姿、見せたくはないですが」
そこで修太郎さんは間を置くと、まるで私の反応を楽しむように、耳に舌を差し入れていらした。
そんなところ、今まで異性に触れられたことのなかった私は、初めての感覚に、全身が粟立ってしまう。
「しゅ、修太郎さん、そこ、駄目っ、れすっ、くすぐったいの、ですっ……」
修太郎さんと恋人つなぎをしていない方の右手で、彼の胸元を押し戻すように抵抗を試みるけれど、体に力が入らなくて全然ダメで。
「日織さん、そう言う時はね、ダメ、じゃなくてもっとして?……って言うんです。二人きりの時くらい、素直な貴女を……僕に見せて……?」
修太郎さんが敏感になった耳へ、切ない吐息まじりの声を吹き込んでいらした。
その熱い吐息に、私は思わず首をすくめてしまう。
そんなこと急に言われても……はい、そうですね……というわけにはいかなくて。
鷹槻れん

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#契約結婚
鷹槻れん

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私は涙目で修太郎さんを見上げる。
その視線で、私の無理です、という気持ちが伝わったのか、私の視線を受け止めた修太郎さんが、ふっと表情を緩めて小さく息を吐かれた。
「本当は……」
一旦まぶたを閉じて思案なさるような素振りを見せられたあと、私の頬を優しく撫でながら、どこか苦しそうに修太郎さんが声を紡がれる。
「本当は……このままキミを僕のものにしてしまいたいところなんですが……それではきっと、日織さんを困らせてしまいますね」
貴女の性格を思うと、それはあまりにも酷だ、と小さくつぶやいてから、修太郎さんは切なげな呼気を伴って、私の身体から離れられた。
「……修、太郎、さん?」
(彼の求めに応じ切れなかったから呆れられてしまったの?)
突然私の上から身体を起こしてしまわれた修太郎さんを見て、突き放されたように感じてしまった私は、途端、胸が苦しくなる。
それでも心の片隅で、健二さんとのことに何の解決も出さないままに修太朗さんと最後まで進まなくてよかった、と思う自分がいたのも確かで。
「日織さん。今、貴女はきっと、許婚のことを考えておられるでしょう?」
私をベッドから抱き起こしながら、修太郎さんが話のついでのようにそう切り出していらした。その言葉の内容に、私は思わず身体を固くした。
コメント
2件
はしたないとか自分で言う子がそんなふしだらなはずないよね༓٩(❛ั︎ᴗ❛ั︎ ๑)༊༅͙̥̇⁺೨*˚·
みぅです🤍 第19話、読ませていただきました…! 修太郎さん、あんなに昂ってたのにちゃんと日織さんの気持ちを考えて引いてくれるの、優しすぎて泣ける🥀「本当はキミを僕のものにしてしまいたい」って本音を漏らしながらも「貴女の性格を思うと酷だ」って自制するところ、もう…男の人としての余裕と誠実さを感じました。 それでいて日織さんが「突き放された」って不安になる心情もすごく分かる。許婚の健二さんのこと、まだ心の整理ついてない状態で進むの怖いですもんね。 重いのに優しい、この絶妙なバランスが好きです。続きが気になります…!