テラーノベル
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転生前に投稿したもののリメイクです。
ご賞味ください。
俺には運命の赤い糸が見える。 物心と共に見えてきたソレは全ての人間の小指に付いていて、大体の人間は2、3メートル程で途切れているが、稀に2人の人間の糸同士が腰あたりの高さで結ばれていることがある。それは決まって夫婦や恋人といったパートナーがいる人間同士で起こることだった。
10歳の頃運命の赤い糸の存在を知り、糸の正体が分かったため、それ以前はよくハテナマークが頭に浮かび、他人には見えないと知った日には益々疑問が深くなった。
周りの大人に相談しても寝ぼけてるだのふざけてるだの理解されない始末だ。
小学生の頃、当時好きだった子と嫌いだった子の糸が結ばれていたことがあった。無性に腹が立った俺は手で鋏を作り、糸に掠れる距離でゆっくりと刃をとじた。
プツリと軽い音が鳴り、それはもう簡単に糸が切れ落ちた。
──これは面白い。
自分の事ながら幼い子の純粋さとは恐ろしい。無邪気、純粋な好奇心と言えば聞こえは良いがつまりは無自覚の悪意だ。
それに気付いてから──気付いてしまってから嫌いな人や友達、酷いときには見知らぬ大人の糸を面白いという理由で切り落とし続けてきた。
善悪の区別が漸く付くようになった高校生の春和、ある人に出会った。黒と言うらしい。入学式、教室の席が共に隣だった彼に惹かれていった。幼稚園小学生特有の憧れも含んだ淡い恋心とは違う濁り気の無い純粋な恋慕だった。
ストーカー紛いな事を繰り返し、彼の行動パターンや趣味や休日の過ごし方まで全て把握した頃、いつも垂れ下がっている彼の糸がクラスの女子と結ばれていた。
勿論躊躇なく切り落とし無様に切れ落ちた糸と彼を想い口角が上がる顔を抑えられずにいた。
ふと小指にくいっと引かれた感触があった。見ると、いつもは床を引き摺る糸が 腰の辺りにまで持ち上がっていた。
コメント
3件
遅れた!!! 破れ鍋に綴じ蓋ってことは黒も糸が見えてたのか、? というか無意味に他人の仲を引き裂いちゃうの...なんて恐ろしい子... 適当な表現がどこにも無くて、一言一言丁寧なのが好きよ🫶
変更があったので上げ直しましたお久しぶりです✌️ タイトルを使いたいが為だけに書き直しただけなのでタイトルに合うものが書けたら以前のタイトルに戻るかと思われます。 黒視点も書いていたのですが無い方がええなとなりましてこうなりました! それとサムネを一新させました!結構気に入っております。