『あなたは、どうして________
置いていっちゃうの?』
舌足らずな声の少女が言い切った後、風が柔らかく、草原と少女を揺らした。
こちらを見ずに少女は続ける。
『私はあなたが、本当に大好きだったのに…』
少女は悲しげに声量を弱めて、肩をしぼめた。
『…置いていかないでよぉ…いかないで…!』
少女は崩れ落ち、ポロポロと出てくる涙を拭っていた
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「ん…んぇ?」
私は眠っていたのだろうか?
だんだんと霞んでいた光景がはっきりとし始めた。
「お?起きましたかな?おはよ〜、梨花(りか)」
そう起きたばかりの耳に通ったのは、友人の千夏(ちなつ)の声だった。
「いや〜、梨花みたいに授業時間は寝ないでちゃんと受けて、休み時間は寝れる…そんな能力ほしいわ」
「…え!?私、寝て…たの?」
ものすごくびっくりしてしまった。
確かに最近睡眠時間は少なかったが、まさか学校で寝てしまうとは思わなかった
「え?気づいてなかったの!?それほど無理してたんだね?ちゃんと睡眠時間はとりな〜?睡眠時間は大事だよ〜!」
「千夏に言われたら説得力がないよ…」
「えー?侵害だなぁ」
仕方がないと思う。
だって、千夏は睡眠不足故に授業中に寝て、先生からの叱りを良く食らっているのだから
「せっかく私が体を張ってまで寝るのが良くないことを表してるのに〜?」
「それ以外のやり方はなかったの…?」
彼女は意図して表してるわけじゃないだろうに…
「ん〜…ない!」
「声を張って言うことではないと思うよ千夏…」
「それはそうだけど〜…ね?」
ウィンクを決めながら、説得しようとする千夏。説得は全く効いてないけど
「ね?じゃないの!」
「だってだってぇ!先生全員の授業が眠くなるんだもん!!」
「わかるけど…!ゲームばっかりで眠らない千夏にも非があるでしょうが!」
「私は悪くなーい!!ゲームが悪いの〜!!!」
「じゃあ千夏のゲーム、没収しちゃうよ?」
私達は一緒に住んでいるため、没収だって簡単なのだから、こう言ったら千夏は…
「あわわわわ!!ごめんって梨花〜!ちゃんと睡眠時間取るから〜!」
「言質、取ったよ?」
「…あ…ぜんげんてっかーい!」
「だーめーでーすー!ちゃんと寝なさーい!」
「はーいママ〜!」
「誰がママじゃい!」
「「wwwww」」
くすくす、と笑顔で笑い合う。
________この笑顔がホンモノの笑顔だったらどれだけ幸せだったろうか?
私は千夏と話すたびにそう思う。
あぁ、やっぱり幼い頃のままでいた。
早く、早く治さなくては…
幼い頃ではなく今にしなくては…
そう理解したって、足は一歩たりとも進まない。動かなきゃ、動かなきゃ、そう思っていたって私は動けやしない。
________ごめんなさい
コメント
6件
すぅっっっご…めっちゃ好き…。
めっちゃ気になる!咲奈の物語の書き方好きやわ!
やっぱり私はこう言う系の方が書きやすいわ。読み手によって変わるのがいいんだよねこれ…