テラーノベル
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──────めめさん視点──────
死んだ悪魔のカード───ルカさんのカードを手に取る。魔法耐性に物理耐性。物理特化の近接アタッカーに見せかけて魔法を兼ねあわせた中距離アタッカー。仲間思いで、人情に熱く、悪魔らしくないやつ。50年程度の間仲間として手元にいれば、愛着が湧くものだが、約100年前に天使に攫われ、生死不明。まあ、悪魔としては実質死んだものとして認識しているが。
まあ、もう駒としては使えないだろう。このカードを燃やそうかとも思ったが、せっかく手に入れたコレクションを壊すのは野暮か、と考え直し、テーブルに戻す。
「…ルカ関係ならこの悪魔もいい駒では?」
いえもんが差し出したカードには赤ピンクのような髪色のショートヘアに血のように赤い瞳、フリフリの服を着てはいるものの、表情は感情を失ったかのように無であった。たしか、ルカがいなくなってから10年後に入隊した悪魔で、ルカを探しに来た、という自称妹のはずだ。なんて思いながらカードを見ていると、いえもんの補足が入る。
「…実際ヒナさんとルカさんは兄妹関係であったと血を確かめて出ましたよ。そこは疑うべきじゃないって、前言いましたよね?」
「私はどこまでも疑い深いんです。自身の確かな情報すらも信用に値しない。全て疑って生きる。それが私の信条ですから。」
私がそういいながら、ヒナさんのステータスを見る。完全に魔法型の典型例、と思っていたが、異常なサポート能力に悪魔名が面白い。
「へぇ…『復讐の悪魔』ですか。」
「復讐中は自身のステータス全て2倍以上に膨れ上がり、復讐心の重さや長さによって様々な恩恵が得られる、というもの。あまり見かけない悪魔名ですね。」
「悪魔なんて他者の感情なんて興味無いですからね。だから簡単に殺されるんですよ。」
「はいはい、他者の悪魔を低く見るのはいいですから。さっさと次のカード確認しますよ。今回は悪魔で戦力の確認なんですから。」
「わかってますよ。」
そういいながらカードを確認していく。他にもある様々なカード。全て契約した悪魔たち。裏切りは絶対にできない唯一信頼できるもの。契約は偽装できない。口約束だとしても、悪魔は必ず契約に従う必要がある。守らなかったら悪魔という種族そのもの、いや、概念がその悪魔を殺す。だから、裏切りなんてできないし、そんな発想すらもさせない。
ま、私の所有物になった時点で全て掌の上である。大人しく、私の言うことを聞いてくれればそれでいい。私がこの戦争の盤上を動かす。そして、自由を手に入れる。
自由を手に入れたい、という欲望が強欲だなんて言われるのは心外ではあるが、七つの大罪の1人になれるというのは悪くない。七つの大罪。悪魔の最強の7人の称号。その称号を手に入れたい、という悪魔は少なくない。けど、その前になれないという諦めがある。だって、なれるのは圧倒的強さと才能と魔力の塊だからだ。
私なんて最たる例だろう。絶対に死ぬことがない能力。悪魔の中で最も死んだから与えられた死の悪魔という名前。七つの大罪になるために何回もしんで、何回も殺した。そこまでして手に入れたのはなぜか?
───この戦争を終わらせるためだ。戦争に縛り付けられた呪いを解呪するには、戦争を無くすしかない。無念の死を果たした悪魔が未練たらしく魔力なんて寄せ集めて作った悪魔。そんな自分の過去が恥ずかしくてたまらない。自分では勝てないから他者に頼る。弱者の発想で生まれた私はこの一種のコンプレックスを抱えながらも最強の座を手に入れてみせた。
全ては過程に過ぎず、最終目標は自由。これだけは見失ってはいけない、私の欲。そのために私は───。
「───さん。めめさん。聞いてますか?」
呆れた声にようやく自身の思考を手放し、いえもんに視線を向ける。いえもん。私が10の頃から隣にいたライバルであり相棒であり、部下。
彼とも契約を交わしており、その内容はなんだったかと昔の記憶を手繰り寄せようとしたが、またしてもいえもんの声で遮られた。
「それで?どの悪魔をほかの大罪にさせるんです?今や3席が空席。天使側は2席しか失われてない。穴埋めが必要です。」
「…いえもんは」
「俺は強欲以外の席につくつもりはありません。穴埋めにしたいならその席をどけ。」
「…ケチ。」
「お好きに。あんたを殺せるならすぐにでも殺してその席を奪うんですけどね。この親殺しが。」
「…はぁ。契約した通り、お前はどんな手段を使っても私を殺せやしないよ。」
「死なないやつが何を言ってるんだか。…本題に戻します。誰を推薦して、穴埋めをやらせるんですか?」
そう、戦力を確認するために開かれた会議。それにプラスしてやるべきことは七つの大罪の穴埋め。無論実力が伴っていないといけないし、生半可な気持ちでその席につくのも困る。また、残っている大罪に当てはまりそうやつがこのカードを見ても少ない。強いて言うなら───
「ヒナ、憤怒。とかいけそうですかね?」
「…復讐心=怒りだと?たしかに言えなくもないですが…。それは」
「実力は伴っているし、あいつは兄のためなら命すら投げ出すほど欲に忠実。大罪に座れればこれまで以上に情報を得る手段が増える。メリットしかない。あいつならできるよ。」
「…あんた、いつか刺されますよ、それ。それに、ヒナさんには手を出さない約束じゃ」「ルカを見殺しにしたのは?」
私が一言、呟いてやればいえもんは押し黙る。そりゃそうた。この手の話題においては私より上手に出ることはできない。何故ならばそれが、いえもんの弱点であり、欲を縛り付ける鎖なのだ。
こいつは、1度だけ友達というものを作った。いや、親友、と言っていたか。それがルカである。しかし、いえもんとルカが戦争に行った際、帰ってきたのはいえもんだけ。常に一緒にいたいえもんはルカを見殺しにして帰ってきたのだ。親友から言われた最後の約束が妹だけは守って欲しい、というもの。
だけど、それは私には関係ない。使える駒がそこにあるというのに情を優先するのはあまりにも悪魔らしくない。それに。
「契約を破ったとしてもその契約者がいなければ破ってもいいんですよ。死んだ時点で契約は破棄だ。」
「…俺とルカがしたのは約束だ。」
「なら、尚更。約束にはなんの効力もない。そんな情に縋るから強欲の座を逃すんですよ。」
私がそう皮肉ってやれば、いえもんは苦虫をすり潰したかのような顔を浮かべ、心の奥底に溜め込んでたであろう鬱憤を私にぶつけてくる。
「…俺の育ての親を───前、強欲の悪魔を殺したやつの言うことは違いますね。俺の欲はとっくのとうに捨てた。今生きるのはルカとの約束のためだ。」
皮肉返しをしようとしたのか、はたまたそう出ないのか。しかし、いいかたら明らかに私を侮辱するために吐き出された言葉だった。そんな言葉程度なら私の精神に掠りすらしないのだが。
逆に私はまた、煽って言葉を返す。
「だから昔より弱くなるんですよ。欲を捨てたらそれは悪魔じゃない。せいぜい私との契約通り、戦争のために命をかけてもらいましょうか。」
「…ヒナを巻き込むな。」
「安心してくださいよ。戦力外になったら解放します。───『死』をもって、ですけど(笑)。そ、れ、に。ヒナと契約したのは私だ。『ルカを探す代わりに私を自由に扱ってもいい』その契約を交わしたのはヒナ本人の意思ですよ?私の命令があるまで指くわえて黙ってな。」
そこまで言ってやれば、いえもんは少しばかり押し黙った後、八つ当たりをしてくる。
「失望したよ。心の底から。少なくとも数百年は一緒にいる俺の願いが聞けないってか?」
「あぁ、聞いてやりますよ。それが戦争を終わらせる目標に近づくなら、ですけど。」
「…自由のために目の前の他人の自由を踏み潰すつもりか?お前が!自由がないことに苦しんでんなら!!他のやつもそうならないようにするべきだろ!!」
いえもんが強く主張する。相棒、ライバル、相手から見たら親の仇。それが私といえもんの関係であり、そして、相容れない思想を持つ二人でもある。
「お前、天使ですか?他人に配慮するなんて悪魔らしくもない。強いから生かしてますし、契約してまで駒にしてあげましたけど、そろそろ茶子さんみたいにしてもいいですね。」
昔、全く違ういえもんの思想に面白い、と思っていたのに、今じゃ綺麗事を吐き散らかすめんどいやつになってしまった。これは唯一の私の落ち度か、なんて思いつつも、私はヒナに声をかけにその部屋を後にしようとする。
その瞬間、私の真隣に槍が突き刺さる。いえもんが投げたのだ。こんなもの、日常茶飯事で。でも、今やることか?なんて思いながら私は目だけを彼に向けて
「欲を捨てるから感情に熱くなるんだよ。感情は冷静な判断力を奪う。初歩的なミスを犯さないことだ。」
そう忠告し、私はその部屋を去る。
ここで切ります!今日で毎日投稿終わりです!!
てことで、3月まで私は不定期投稿になると思います。さすがに受験勉強優先で…。投稿ペースも落ちると思いますが、できる時はしていきます。
それではおつはる!
コメント
6件
受験勉強頑張ってください!!!!
いいね〜情報量が多くなってきた