テラーノベル
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──────Iれいまり視点──────
退屈しのぎに買った本が存外面白く、しばらく部屋に籠っていた日のこと。
我ながらセンスのある本を買ったな、なんて買った時には1ミリも考えてなかった思考を褒め称える。ゼンは隣で退屈そうに本を読んでいた。本、と言ってもそれは絵本との中間的な本で、イラストが沢山描かれ、内容も子供向けの本。ジャンルは道徳に近しい内容だ。無論、こんな本をゼンが選んでいるわけがない。あげたのは私である。最低限の常識とマナーを教えようと思っても、忘れっぽいゼンは簡単に忘れ、そのせいで何回頭を下げたか分からない。ここは私、主人として、徹底的に仕込むことにした。その第一段階が絵本、というわけである。絵本をバカにしてはいけない。イラストと文字が結びつけやすく、ふとした時思い出した時イラストともにその常識も頭から引っ張り出せるので役に立っている。
どれ、あと数ページ読んだらお菓子休憩を──────
そう思った時、扉を強く叩く音が響いた。明らかに緊急性を有するもの。何があったのかを聞くためにも扉をすぐに開ける。
そこにいたのは汗一つかいていない悪魔の姿。その表情は焦りでゆがみきっているが、それでもなおこいつイケメンだな、と思わせる顔面の強さを持っていた。
緑髪のサラサラヘアの短髪。悪魔特有の角と羽。あと──────
「すみません!!ヒナ、ヒナさんがどこにいるか知ってますか!?」
焦った声。ただ事ではない緊張感。時間が迫ってきているか、もしくは足りてない。ゆっくり聞いている余裕はない。
私は必要最低限の問いかけを行う。
「どうして、なぜ、どれくらい緊急?」
「めめさんがヒナさんを憤怒の悪魔にしようとしている!!それを止めたい!緊急も緊急だ!!」
「…これ以上は聞きません。でも、私は知りません。お引き取りください。」
「…っ!」
私が淡々と聞いた後、断るとそいつ───いえもんさんが唾を飲み込む。最低限聞いて、情報を得た。そして、私は関与しなくてもいい問題だし、関係のないことだった。なら、断る。
それに、相手はめめさんだ。契約により危害は加えられない。つまり、武力交渉は不可能、ということだ。口の説得?無理だ。興味のないことで、なぜそんなことが起きているかも分からないのに説得することも、その権利すらもない。
いえもんさんは私が協力しないことを理解したのか、私をギロリと睨みつけられる。
失礼なやつだな、と本心で思う。メリットも提示せずに誰かの協力を煽るなんて、それを受けてくれるやつはよっぽどのお人好しだろう。そんなことを思いつつ、部屋に戻ろうとすると、なにかにぶつかり、ぶつかったものを見ようと前を見ると、そこにはゼンがいた。
「ぽれ!手伝いますよ!!なにか話せないわけがあると思います!けど!協力はできます!!」
「は!?バカ!!危険性を考て!明らかに厄介事だし、リスクとリターンが───!!」
「でも、誰かを助ける時には理由はいらないって本にも書いてありましたよ!なら、ぽれの自由にさせてください!」
「〜〜〜〜っっ!!」
圧倒的盲点。やらかした。そういえばそんな感じの内容だった気もする。自分がそれをやらせたばっかりに変なことに巻き込まれた。
…こうなればゼンの勝手にやらせるべきか?いや、私がいないところでめめさんの機嫌を損ない、部下として私の近くにいなくなったら…非常に後味が悪い。
私は、仕方なく、魔法を発動する。この世界のヒナさんには会ったことがない。けど、今までのルートの中でなら会ったことがあった。
「『サーチ』」
『サーチ』。それは私が必死こいて覚えた魔法の1つ。顔さえ分かれば相手の場所が発光して見えるという優れもの。しかし、この魔法は魔界において存在を忘れられかけられた魔法でもある。…大体の悪魔は派手さと美しさにこだわるためこういう地味な魔法はだんだん消されていくものだ。こんな有用なのに、もったいない。
そんなことを思いながら私は発光した場所に向かって翼を広げ、羽ばたく。これの弱点。それは1人にまでしか使えないこと、また10分間のクールタイムが必要なことである。これさえなければなぁ、という気持ちを抑えつつその場に向かうため、勢いよく羽を動かす。
だが、壁をすり抜ける魔法を使おうとしたが、ほか2人がつっかえたところを見てやむを得ずやめて、わざわざ扉から外に出て、飛び出す。
飛行速度はさすがにいえもんさんに負けるが、ゼンが追いつけないようだし、道案内は私がしないといけないため、全速力で移動することはできなかった。
雲を突き抜け、噴火を乗り越えた先には見たことがない、魔界では珍しい、影を落としたかのような暗い世界。そこには荒く削られた高さの低い石の柱が何本も何本も建てられていた。これじゃ、まるで───。
その場の名称を言おうと思った時、発光した少女が目に入る。私たちに背を見しているため、その姿を見ることができないが、私は魔法と、そして今までの経験から彼女の正体を確信する。
───私より先に言葉を口に出したのはいえもんさんだった。
「───ヒナ!!」
その姿を認めるや否や、彼は高度を飛んでいたというのに、いきなり下降してその少女に声をかけた。その危機迫った声からか、その少女はゆっくりと振り返る。その赤とピンクの中間色のような髪色は先程から見えていたが、その美しく整った顔立ち。しかし、どことなくあどけない、儚い雰囲気が漂うその異質なオーラとその物憂げな表情。美化して描かれた歴史上の人物の絵画を見ているかのような、または自身の顔を加工しているのではと思うほど。美しすぎて、逆に恐怖を抱くほど顔が整っている。
極めつけはその存在を全世界が釘付けにさせるために生まれたかのような赤い瞳。透き通っているけれど、見方によれば濁りきった瞳にも見える。その矛盾した瞳が私たちを捉える。けど、どこか上の空にも見える。いえもんさんの呼びかけすら、聞こえてないのでは?と思うほど反応がない。
「───なんの御用でしょうか?」
その少女はようやく一言放つ。
その言葉は我々の間に波紋を呼んだ。
ここで切ります!今日は時間があったのでかけました!
まあ、もう既に時間がないんですけどね…。これからも時間があれば不定期ですが投稿していきます!
それでは!おつはる!
コメント
4件
敬語なんだ…