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どんよりとした雲の夕暮れがじわじわと
濃淡のある紺色の闇夜に覆われていく・・・・
このままだと今夜は雨かもしれない・・・
ジュンはユリアのマンションの前で彼女を
待っていた
献身的な犬のように・・・・
足を舐めその足に蹴られたくてたまらないとでもいうように
ひまつぶしにこうして待っている時間で
できるだけもっと建設的なことを考えてみた
そのネタがつきるとこれまでの人生で
やらかして来た事を思い返し
そのバカさ加減と他の男と
結婚するという女を待つ事と比べてみた
バカだとわかっていながら
ここまで自滅的な事をしたことはない
もちろん女で過ちを犯したことは
あるかもしれない
経験ミスによる女の本性を見抜けなかったことなども
けれども今日のこれはあえて崖から自ら
飛び降りるようなものだ
他の男と結婚すると言う女を追い回すのは
薄気味悪い犯罪行為だ
ストーキングというものだこれは
気持ち悪いし魅力的でもないそろそろ気付けよ
ジュンの心は矛盾するいくつもの事実の
回りをぐるぐると回っていた
1、ジュンはユリアの恋人にはなれない
2、ユリアはあのクソ良ちゃんと結婚する
3、そのことでは屈辱を感じる
4、ユリアとキスをしてから
常時半勃起の状態が続いている
5、ユリアは何らかの化学物質を放出し
ジュンの体がそれにどうしようもなく
反応する
6、もし近いうちにユリアを
抱けないのなら自分は
爆弾のように爆発してしまうだろう
7、ユリアの厨房ではジュンの自制心は
根こそぎ燃やされてしまった
あれ以上彼女の傍にいたら彼女の服を
ビリビリに破り襲い掛かっていたはすだ
8、ああ・・・・
これを考えると憂鬱になる・・・・
今日は彼女に本当の事を言おう
ここ数日の電話の相手は
クソ良ちゃんじゃなくて
僕だという事を・・・・
望みはない・・・
それでもあの目眩く電話で交わした
二人の愛を思い出してもらえば・・・
もしかしたら彼女は良ちゃんとの結婚を考え直してくれるかもしれない
いや・・・それは無い
余計彼女に嫌われるだけだ
淡い期待は持たないでおこう
だけどこうしてここで待っている
また拒絶されるのが待ち遠しいぐらいだ
やはり署のストーカー改善プログラムでも
受けたほうがいいのかもしれない
通常生活回復のための
12ステップとかなんとか・・・・
もちろん署の連中には
大笑いされるだろうが
ジャンキーみたいだどうしようもない
完璧にユリア中毒だ
あの唇、あの体、あの声・・・・
しかし待つ理由は彼女の
美しさだけではない
ユリアといると心が温かくなる
そして二人でもっと価値観を共有したくなるふっと湧き上がるあの感覚は愛おしさだ
そしてきっと二人のセックスは
絶対最高だ!
それも今では儚い夢に終った
午後一杯つかってジュンは自分の欺瞞行為を告白する練習をした
思い切って事実を打ち明けよう
しかしどうやって?
プラン1 (軽い口調で)
やぁ!ユリア!笑っちゃう話だけど
ちょっと良ちゃんに電話をかけてくれるかな?
プラン2 (土下座する)
本当に申し訳ない!
君を騙すつもりじゃなかったんだ!
責任とるよ!
プラン3(そのどちらでもない)
最初にパンチの届かない所まで後ずさりする・・・
・・・ユリア・・
きっと信じないかもしれないけど
君はずっと間違い電話してたんだ・・・
僕に・・・
間違いついでに僕と一回やってみないかい?
絶対後悔させないっっ!
プラン3は無しだ!
絶対殺される!
何か飲んでとにかく落ち着かなければ
マンションの自動販売機にコインを
落とし缶コーヒーのボタンを押した
懸賞が当たりますように
すると通りの向こうから
女性がこちらに向かって歩いてくる
ユリアだ!
帰ってきたんだ!
途端に体が緊張に硬直する
ユリアがコツコツとヒールを鳴らしながら
こちらに向かってくる
その瞬間ユリアの周りに特別な
オーラが漂っているように見えた
あれは自分にしか見えていないのだろうか?
胸をぐさりと刺されたような気分だった
心臓が肋骨を破って飛び出しそうで
ジュンはそっと胸を押さえた
ユリアはジュンの姿を目に止めると・・・・
固まった・・・
じっと見つめ
そして今にも逃げ出しそうな鹿のように
警戒態勢に入った
威嚇しないように気を付けよう
そう思って心の中で笑ってしまった
子供でも相手にしているつもりか?
ユリアが何か言った
なんと彼女は泣いている
ごくっと唾を飲みこんだ
そんなに嫌われているのかな?
プラン1か?2か?
それでも逃げるのなら追いかける
やっぱり彼女を諦められるわけがない
今の自分を止められるのは
特殊部隊のSWATぐらいだ
やれるものならやってみろ
また彼女が何か言った
自分も何か言った
思考は口に付いて行かない
彼女は・・・・ああ・・・
綺麗だ・・・・
すると信じられない
彼女は自分の胸に飛び込んできた
おおっっ!!マジか?
ものすごい強さでしがみついてくる
もっとやってくれ
ジュンも負けじと彼女を抱きしめる
途端に辺りに彼女の香りが
漂ってくる
ジュンはユニコーンを捕まえた気分だった
お父さんありがとう
お母さんありがとう
人生で出会った人全員に感謝したいぐらいだ
タツの借金も帳消しにしてやろう
今までの人生はこの時のために
有ったようなものだ
いやそこまでは大げさか?
絹のような髪に手を入れ
そっと彼女の顔をこちらに向けさせた
彼女の瞳が涙でキラキラ輝く
ただ美しいだけじゃない
生き生きとしているのだ
やっぱり彼女のオーラはハチ鳥が
人間の耳には聞こえない周波数を
出しているのと似たようなものだ
そしてそれに恐ろしくジュンの
体は反応する
彼女は静かに目を閉じた
最高だ
ジュンはありったけの思いをこめて
ユリアにキスをした
:*゚..:。:.
あらゆる感覚が研ぎ澄まされている
ユリアは自分の感受性の強さに
驚いていた
ジュンに抱きしめられ
全身にぬくもりが広がっていく
何も考えなくていいのだ
生まれて初めて衝動的な行動に出た
彼の腕に飛び込んでいくという
いつものように考えすぎていたら
何もできなかっただろう
ユリアのこれまでの人生は
ほとんどの時間
実際の行動よりも
理性や頭の中の思考に意識が向いていた
今は思考は付いていかず
ただ・・・・感じるのは
パラパラと温かい小雨と・・・・
それに合わせるように降り注ぐ
ジュンのキスの雨・・・・
目に・・・頬に・・・口に
耳に・・・
浮いているみたい・・・・
地上で感じるはずの重力がジュンに
支えられているおかげで
まったく感じられない
羽が生えたみたいに思える
このまま飛んで行ってしまってもかまわない
彼がつかまえていてくれる
重なる唇で彼とつながっている
やがてジュンの甘いささやきを
ユリアは抱かれながら耳で聞いた
「君の部屋に僕を入れて・・・・ 」
.:*゚..:。:. .:*゚:.。:.:*゚ ..:
:*゚..:。:.
カチャリと部屋のドアの鍵が閉まる音がした
ジュンがユリアを抱きしめながら
後ろの手で閉めた音だった
狭い自分の部屋の玄関には
持っていた荷物が転がっている
投げ出されたカバン・・・・
そして・・・・・
玄関いっぱいに広がったジュンがいる!
ううん ジュンがこの玄関には
大きすぎるのよ!
次の瞬間背中をドアに押し付けられ
彼の全体重がのしかかってきた
激しく唇を奪われ
以前のキスよりもっと熱烈だ
待っていたわ
まるでユリアを呑み込みそうに
その舌の形をユリアに
刻印しようとでもしているかのように
ジュンの舌は少し苦いコーヒーの味がした
ああ・・・
なんてステキなのだろう
そして彼はあらゆる角度から迫ってきた
するりとマフラーを外され
コートがはぎ取られた
これで心ゆくまで彼に抱き着けるけれど
本当にしたいことを考えたら
抱き着くなんていう表現では足りなかった
彼の中に潜り込んで
硬く引き締まったその魅惑的な肉体を隅々まで
自分の体を使って触れたかった
ユリアも負けじとジュンのMA1を肩から
はぎ取り玄関に落とした
彼の首に腕を回し背中をそらした
筋肉が盛り上がっている胸に
自分の胸をぴったりと引っ付けたいのに
大柄な彼とは高さが足りない
驚いたことにユリアは純粋に快楽を
求めて自分から体をすり寄せていた
燃え上がった炎を消せるのはこの人しかいない
硬くそそりあがった彼の一物が
おなかに当たる
その脈動を感じた
ああ・・・
どうしよう・・・
その素晴らしい一物を腰でぐりぐりやった
すると彼がキスをしながら
切ないため息をついた
感じている・・・・
さらにユリアは震える指で
ジュンのシャツのボタンを外し
ジーンズから裾を引き出す
するとジュンがユリアのお尻に
腕を回して抱え上げた
信じられない!
日本人の男性でこんなことが出来るなんて
持ち上げられて顏の位置が同じになった
これでキスがしやすくなった
フレアスカートが太腿まで垂れ下がっている
ユリアは外国映画のラブシーンように
両太腿をジュンの腰に回してしがみついた
まるで子供が丸太に木登りをするように
そういう体制なのでジュンを
触りまくりたいのに
シャツを全部脱がせることができない
肩からシャツが落ちて
盛り上がった胸と乳首と筋肉が
触れる程度にはだけた
全部脱ぐよりこっちの方が色っぽい
彼の前髪が一房ハラリとおでこにかかって
粋な感じになった
男性をこれほどセクシーだと思った事はない
なんてこと!
それにぴったり自分の濡れた股間が
ジュンの股間にひっつけられている
見つめ合いながら腰をわずかに揺らした
すると彼は呻きながら股間を押し付けてくる
それだけでユリアに快感が襲ってくる
硬い・・・・
そしてものすごく大きい
自分の愛液でジュンの股間のジーンズに
シミを付けないかと心配になったぐらいだ
すっかり硬くなってる
まるで鉄パイプのようになって上を向いてユリアの大切な部分をこすっている
薄手のパンティ越しにその形までハッキリわかるもういちどユリアの小さな
柔らかい割れ目をこすった
興奮のあまり二人は同時にあえぎ
酸素を求めた
それだけで頭の半分が
吹っ飛んだみたいになる
これで肌と肌が直接ふれあえば
どれほど気持ちが良いのだろう
「しっかり僕につかまって 」
ジュンがユリアの耳を舐めながら
ささやいた
その声に背筋がゾクゾクする
彼はユリアの体重をものともせず
キスをしながらリビングを通り寝室に入った
運ばれながらユリアもキスを熱心に返した
ジュンはためらうこともあたふたすることも
どの部屋かと確かめることもしなかった
まるでこの部屋になじんでいるように
不思議なほど正確に寝室に入っていった
寝室のドアは少し開いていたので
ジュンが足で強く蹴った
ドアはバンと音を立てて壁に当たった
音は静かな部屋に銃声のように聞こえた
外はすっかり夜になっていて雨の音がした
そっとベッドに降ろされ
ジュンが自分のシャツを脱いで
上半身裸になった
自分のお気に入りの寝室に
裸の彼が視界いっぱいに広がり
ふたたび彼にキスをされ視界が
消えてなくなった
彼に何をどうされたのかわからないけど
いつの間にかユリアは裸にされていた
ジュンは落ち着いていて
経験豊富にも思えた
ユリアがうっすら目を開くと・・・・
ジュンがゆっくりとシャツを脱ぎ
ジーンズをボクサーショーツごと脱いで
一始まとわぬ姿になった
ユリアはしばらく彼の体を見つめた
寝室は暗いが窓の外から入ってくる灯りで
ジュンはうっすらと金色に輝いている
いわゆる筋骨隆々という体は見たことがある
ジムでも映画スターが沢山載っている雑誌でも
ただ・・・・
今ベッド脇に立つ
力のみなぎるこの存在と比べると
そんなものは今目の前にいる彼とは
比較にならなかった
ジュンの体は男性モデルとは
似ても似つかわない
もっと強くて
たくましくて
荒々しいもの・・・
ジュンの筋肉はジムのマシンで
作り上げられたようなものではなく
生活の中で戦闘によってつくられたものだった
そして股間に目が行った
彼のものは・・・・
ああ・・・・巨大だ・・・
今まで数少ない経験で見た中でも圧倒的
太くて
長くて・・・
先はプラムのように膨らんでいる
割れ目からしずくが出ているのがわかる・・・
ユリアの心臓が激しく高鳴る
ジュンの肘が曲げられ
その上の二頭筋がこぶのように盛り上がる・・・
ああ・・・あそこをいつか舐めてみたい
ユリアは裸の彼に力いっぱいしがみ付き
柔らかな自分の体を擦り付けた
なんて彼は大きいのだろう
なんて硬くて温かなのだろう
ものすごく気持ちがいい・・・・
冷え性のユリアの体を彼の温度が温めてくれる
興奮でユリアの体が3度ぐらいあがる
熱にうなされている気分
ジュンは慎重にキスをつづけ
気を配りながら触れてきた
片方の肘をついて
ユリアを見下す顔はうっとりとそれでいて
何かを押さえているような顔だった
「綺麗だよ・・・・・ものすごく・・・」
ジュンが囁いた
うれしい・・・・
息をしようと口をあけると彼が頭をさげた
脚の間がこれ以上ないほど濡れている
彼の顔に笑みは無い
緊張して強張った表情で
ユリアを見下ろしている
彼の黒い瞳の中で炎が燃えキラリと輝いた
ユリアの心臓は大きく鼓動を打っている
彼はそれをじっくり観察しているかのように
じっとユリアを見つめていた
「キスしてジュン・・・
私に触って・・・・ 」
ユリアは彼が欲しくてたまらなかった
:*゚..:。:.
前戯、前戯、前戯、前戯、・・・・・
ジュンは呪文のように心の中でその言葉を唱えながら
ユリアにキスをした
ユリアの服をビリビリにはぎ取ると
すぐに壁に押し付けて
立ったまま彼女の中に入る・・・・
そんなことは絶対しないからな
しない、しない、しない、しない
まだ頭がきちんと機能しているあいだに
そのことをしっかり叩き込んでおなかければ
あくまで紳士に、優しく・・・だ
キスをしながら後ろ手で
カチャリとドアの鍵をかける
ジュンは血圧が上がっていくのを感じた
股間の物は勃起してはちきれそうで痛い
今すぐ彼女と仲良くさせろ!とジーンズの
中で抗議している
ダメだ!
キチンと順序を踏むんだ!
洗練されている男性のように!
余裕を持って!
理性がある所を見せるんだ!
そりあえず部屋の中までは侵入できた
しかし思考は彼女の体に自分が
のしかかっている所しか浮かんでこない
このほっそりとした脚が自分の腰を
挟んでいる所
この体の中に入っていくと
どんな感じなのだろう・・・
きっときつくてよく締まっているに
違いない
おもいっきり激しくやってみたら
どんなふうに・・・・
いやいやだめだ!
欲望にまかせてしまえば彼女を
傷つけてしまう
そんなことを考えてはいけない
非常に美しくて料理の天才な彼女を
大切に扱わなければ・・・・
ユリアはおそらくゆっくり優しく・・・
ロマンティックなのが好きなはずだ
そういう顏をしている
彼女のすべてが繊細だから
口説き文句もいろいろ用意したほうがいいし
たくさんキスして
ゆっくり服を脱がせて
前戯もたっぷりするといいだろう
入れる時もそろそろと・・・
少しずつしないと僕のは大きいから
用心しないと痛い思いをさせてしまう
ちゃんと収まったら
ゆっくりそっと突くべきだ
紳士的にふるまわれるのに
慣れているはずだ
奥の方までめいっぱい体を押し付けて
マシンガンのように腰を打ち立てるのではなく浅くしてもらいたがるのに違いない
そうだ!
コーヒーをごちそうになるんだ!
彼女の入れてくれたコーヒーを飲んで
ゆっくり二人で話をしよう
彼女の好きな映画とか小説とか
一緒に料理をしてもいいし
何かテイクアウトをとってもいい!
ジュンは心の中で命令する
右手!
今すぐユリアの尻を触るのをやめろ!
左手!あつまかしいぞ!彼女を放せ!!
だがその瞬間
ああ・・・・
彼女は僕の舌を吸った・・・・
こんなに強く・・・・
頭がふっとんだ!
コーヒーなんかくそくらえだ!
ジュンも舌を差し入れて返す
すると彼女がジュンのジャケットを脱がせ
シャツのボタンを外した
僕に触りたがっている
望むところだ!
二人で裸になろう!
僕らの間で遠慮はいらない!
ジュンはユリアを抱え上げると落とさないように自分の腰にユリアの脚をかけさせた
できるだけ近くにもっとぴったりと身体を寄せ合いたい
ジュンの理性とは裏腹に彼の下半身は
すっかり硬くなりまっすぐ上を向いて
彼女の温かい大切な部分とぴったり
合わさっている
ジュンはうめき声を上げて唇と
腰をこすりつけた
彼女はしっとりと濡れていて
とてもやわらかい・・・・
パンティ越しに形がハッキリとわかる
マジ!やばい!
ジーンズの一物は突き破りそうだ!
彼女ともっと仲良くさせろと訴えている
パンティとジーンズがジャマだ
だがここは玄関だもしここで奪ってしまえば彼女につらい思いをさせてしまう
ベッドだ!
欠け無しの思考で何とか思い直す
ベッドが必要だ!
ジュンはユリアを抱えたまま寝室に向かった
寝室までたどり着けただけでも
信じられない程の自制心を発揮できたと
思えるほどだ
本当はその場で彼女の服をはぎとり
すぐさま激しく強く彼女の中で動きたい所だった
ベッドに彼女を横たえると
彼女の服、ブラをはぎ取り
そのあとで唇を重ねた
何も引きちぎってしまわないように
するだけでも大変な努力がいった
睾丸が盛り上がり下半身が
痛いような気さえする
彼女はもうすっかり準備は出来ている
彼女の体すべてがそれを伝えてきている
飢えたように絡めてくる舌
できるだけ沢山ジュンに接触していたいと
体をよじるように反応する
さらにしっかりとジュンの肩をつかむ
彼女の手の力の入り具合が語っている
間違いない・・・
彼女も僕を待ち構えている・・・・
えっと・・・・
何か言った方が良いのかもしれない・・・
「綺麗だ・・・・・ 」
頭の中はいろんな言葉が
ぐるぐる回っているのに
こんなことしか言えない
アホか俺は!
熱いキスをしながらジュンは
初めてユリアの乳房を下から持ち上げた
ああ・・・いいな・・・
大きい・・・・
柔らかくて丸くて弾力がある
指が頂の周辺を撫でると
ユリアはジュンの口の中で小さくあえいだ
手のひらに乳首が硬く突きだしてくるのを
感じる
と同時にジュンの一物にも
同じような反応が起きる
優しくもみしだき
乳首をもてあそぶ
ユリアが可愛い声をあげて
さらに体をすり寄せてくる
そうだ・・・・大切な事を忘れていた
危なかった
ジュンは固く決意して体を引いた
:*゚..:。:.
「ゴムを取ってくる・・・ 」
そう言うとジュンは
ユリアのおでこにそっとキスをした
彼が視界から消えると途端に寂しくなった
重なっていた体が部屋の空気にさらされ
冷えてぶるっと身震いした
彼は自分が脱ぎ捨てた
ジーンズのポケットから
銀色の包みを取り出し
ユリアに向かってウインクした
まぁ!
用意周到ね・・・・
もちろんこの部屋に避妊具なんかなかった
ジュンが用意していてくれて
ありがたいぐらいだった
彼は銀色の袋を歯でちぎり
すばやく片手で装着する
なんて手際が良いの!
コンドームは特注かしら?
ジュンはベッドの足元に移動しユリアの脚をベッドの幅いっぱいに押し広げた
「あっ!」
ユリアの抗議の声もむなしく
あいだにひざまずいた
「・・・・足の・・・つけねに
ハートのアザ・・・ 」
ジュンが一言つぶやいた
マジマジと恥ずかしい部分を見られ
一気に体がカッと熱くなった
こんなにじっくり今まで
誰にも見せたことが無い所だ
ユリアはあわてて言い分けした
「あ・・・あの・・・
生まれた時からなの・・・・
母は整形手術した方がいいって
言ったんだけど
父が誰にも見せることはないから
無理に体を傷つけなくてもいいって・・・
それで・・・・ 」
「お父さんが正解だ 」
「ああっっ! 」
ジュンの唇が触れた!
最初は痣にそしてどこよりも敏感な襞に
舌を這わせている
ジュンは口にキスするように
そこにキスをした
今すぐここに舌を這わせて奪わないと
死んでしまうと言わんばかりの熱心さだった
恐ろしく敏感になっていたユリアは
彼の唇や舌の感覚に身もだえした
知らず知らずのうちに彼の髪をつかみ
悦びにのけぞった
ジュンは親指で入口を開いて
キスの雨を降らせている
自分の股間の間にジュンの黒い頭が
ある姿にひどく興奮する
おそらくしばらくは
この光景は忘れられないだろう
さらに奥まで舐めやすいように
両脚を折り曲げられて
舌でじっくり舐め上げられる
静かな部屋にユリアのあえぎ声と
彼が口でたてる微妙なる音だけが響いていた
自分の部屋で!
考えられない!
「君はあまりにもきれいだ・・・・ 」
彼がかすれ声で言うと
指でその部分をぐるりとなぞった
ユリアの太ももがわななき始める
「ここもピンクでふっくらしている・・・
毛も・・薄くて・・・
痣が興奮すると赤くなるんだ・・・ 」
「ああ!ジュン! 」
今や彼の髪が抜けるほど強く掴んでいる
「僕しか知らないんだね・・・・ 」
一番敏感な芯を軽く歯で噛まれ
指を二本奥まで入れてぐるりと回された
その瞬間ユリアの内部が腹筋もろとも
激しく恐縮した
ジュンはその瞬間を逃さなかった
観察眼に優れていたからだ
目は閉じていたけど
まぶたの裏側に火花が散り絶頂感で
体に電流が走った
「すごい・・・・・ 」
「うん 」
まだ絶頂に体がひきつっている時に
ジュンが割って入ってきた
ああっっっ!
動けなかった
身を引けなかった
入ってくる感覚と絶頂でただひたすら
ユリアの体の内部は麻痺を繰り返していた
ーなかに彼のものがあるー
あり得ないほど硬く
熱いものが
二人の動きが止まった
ジュンに挿入されたまま
それを受け入れようともがいた
少しだけ腰を動かすと
中のものがグッと伸びた
敏感な芯に彼のゴワついたヘアがあたるほど深く入れられている
なんてこと・・・・これでも感じている
熱い下半身全体が熱をおびている
ジュンは動いていない
彼の心つもりがわかる
時間をかけて大きさに慣れさせているのだ
それもそのはず彼の物は今まで遭遇した
ことがないほど大きい
大きすぎて広げられて
少し痛くなってきた
ユリアは顔をわずかに傾け
自分からジュンにキスした
そしてわずかに腰を揺らして
彼の物をキュッと締め上げてみた
「こらっ・・・
人が必死で我慢してるのに」
彼の物が中でピクンと跳ねた
ジュンは大きな体をぶるっと震わせて
唇を噛んだ少し笑っている
めくるめく快感がユリアの体を
突きぬけている
先ほどの絶頂の瞬間に挿入された時に
失神するかと思った
ジュンがゆっくり腰を動かし始めた
ユリアもジュンの首に腕を回し
ジュンの揺れに合わせる
腰の動きと同時にジュンの舌も入ってくる
ああ・・・・
上も下もジュンでいっぱい・・・・・
体の奥が快感でキュンキュンしている
このままずっと続けていてほしいと思った瞬間
ジュンの筋肉に力が入り
一気に奥まで貫かれた
ユリアはあっと息を飲んだ
「痛いっ!! 」
ジュンは動きを止め
息を切らせて言う
「しまった!!大丈夫?」
それでも奥まで貫かれている力は緩んでいない
痛さで涙が溢れてくる
ユリアはポカポカとジュンの肩を叩いた
「バカっ!嫌いっ
私から出て!! 」
ジュンが半分腰を引いた所で
やっと一息つけた
でもまだ半分はユリアの中にいる
オロオロしながらジュンが
ユリアの涙を拭いた
「ゴメン・・・・ゴメン・・・
ユリア・・・
一つ聞くが君は処女なのかい? 」
「・・・・違うわ・・・・ 」
ジュンがユリアをあやすように
髪を撫でながら言う
「じゃぁ・・・最後にしたのはいつ?
こういうことを・・・ 」
「ああっ! 」
ぐっと腰を深く押し付けられた
でも先ほどよりも優しくけだるく
入ってきたので痛みよりも快感の方が勝った
「え~っと・・・・
5年前? 」
ジュンは信じられないとばかりに目を大きくしてユリアの顔をまじまじと見つめた
そしてフッと顏が優しくなった
ユリアの頬にキスをする
「もう・・・
それを早く言わないと・・・
悪かった
名誉を挽回させてくれ・・・ 」
ジュンは優しくユリアにキスをしながら
途中までひき抜き敏感な芯を親指で弄び
ユリアの乳首に舌を這わす
緩やかな動きでもう一度
ジュンがそっと奥まで入って来た時は
ユリアは甘い喘ぎ声を上げていた
うねるように螺旋をかくように
奥まで入ってくる
ユリアをかき乱す
もう一度外へ
それからまた中へ
そしてもう一度
これ以上ないほど濡れてつるつるだ
まるでユリアの中を確かめるように
ジュンの探求は止まらなかった
「君は浅くて狭いね・・・・
さぁ・・僕にあわせて動いて・・・ 」
「ああっ!ジュン!ジュン!」
懇願するような声
「でも僕たちはいずれぴったり合うようになる」
息をしようとしたけれど肺が震えている
両手でジュンの首を抱き
両足をジュンの腰に巻きつけ
爪をジュンの肌に立てる
「ああ・・・気持ち良いよ・・・
それだ 」
ジュンはつぶやいて
ユリアを強く抱き寄せた
ジュンがしなやかに腰を振るたび
よくなっていった
より熱く
よりすべらかに
よりたやすく
すでにジュンはユリアの奥まで突きはじめ
ユリアの今まで知らなかった
性感帯を呼び覚ましていた
いつしかユリアはゆらめきとろけ
思いもよらない程深い所から
湧き上がる快感に再び爆発させられた
ああ・・・
絶頂ってこういうことだったのね・・・
ユリアは意識を失う寸前で冷静に思った
:*゚..:。:.
「もう動いてもいい?」
ジュンの言葉が官能の熱いモヤを
突き破って耳に到達するまでは
しばらく時間がかかった
ユリアは目を開けた
その言葉も口調も許しを求めるものでは
なかったけどジュンが動いたのはユリアが
うなずいた後だった
さっきまでの優しく計算された
腰の振り方は見る影もなく
すこぶる強く
すこぶる激しく
すこぶる速く
のしかかられて
荒々しく強く打ちたてられた
ユリアは圧倒され
ひどく濡れた
信じられないものすごい速さで
何度も何度も突かれる
怖いほど気持ちいい!
キスはできない
彼の突き立てる動きがあまりにも激しく
口を重ねたままでいられないのだ
それに今はキスをしても大して変わらない
ユリアの意識のすべてがジュンに
出し入れされている一カ所に集中している
ジュンのギアがまた一つ上がった
これ以上なんてあるの?
何これ?何これ?何これ?
ああっ!
両手でユリアのヒップをしっかり抱え
荒々しいクライマックスのリズムに
一気に引き込まれていく
突き上げるたびにジュンの美しい体が
変化する
筋肉の割れた腹筋
彼の頬と肩や首筋が動く
ああ・・・なんてセクシーなの・・・
彼は赤く頬を染め険しい表情を浮かべているそれすらも快感を引き出す
ああっ!くるっっっ!!
断崖絶壁の淵に行く体をジュンがつかまえ
さらに奥まで激しく打ち立てる
体の奥から
爆発するような鋭い恐縮を繰り返す
その強烈な動きに痛みさえ覚えるほどだ
その間もずっとジュンは動きを止めない
ユリアは感じる波の大きさに圧倒された
これほどまでの快感を味わったの
は初めてだ
あまりに強烈で今起こっていることすべて
体が処理しきれないでいる
こんなSEXを覚えてしまうと
他では物足りなくなるだろう
いや絶対だ!
ユリアは今大声で叫んでいた
隣近所に聞こえているかもしれない
でもそれがなんだっていうの?
こんなに気持ちいいんだもの
今 私は天国にいる
涙も溢れてくる
でもやめて欲しくない
するとジュンがユリアをギュッと抱き寄せた
息ができないほど強く
彼が引きつりながら大きく高く腰を突き上げ彼女の中で彼の一物がひときわ
大きくなった
彼のものがまるで別の生き物のように
何度も彼女の中で跳ね上がった
そして彼は何か叫んでユリアの髪に
顏を埋めた
一時の静寂
ああ・・・
終わったの?・・・・・
なんという自制心・・・・
重なり合ったまま
しばらく二人で息を整えた
ぴったりひっついたお互いの胸から
激しい鼓動が聞こえる
誰が誰の鼓動かわからない
ユリアはあまりにも激しい絶頂を
何度も向かえてクラクラした
頭の中がからっぽ・・・・
叫びすぎて喉が痛い
でも全身清々しいほどの倦怠感・・・・・
お風呂上がりの10倍
気持ち良い・・・・
耳元で彼の荒い息が聞こえる
二人とも間違いなく満足している
「・・・・すまない・・・・ 」
しばらくしてジュンが言った
体はまったく動いていない
その言葉に訳がわからずジュンの
方を向いた
「え?何が? 」
「最後は自制心を失った・・・・・
痛い思いをさせた・・・・
大丈夫? 」
ジュンはユリアを抱きしめながら
厳しい表情でこちらを向いた
悪い知らせを覚悟してるみたい
そしてゆっくり彼はユリアの中から自分の物を抜いた
それだけで快感が走る
いったい私の体はどうなっちゃったの?
ゴムを始末して
再びユリアの横に来た彼はしゅんとしている
かわいそうに嫌われたかと心配してるんだわ
こんな表情を今すぐ消し去ってあげたい
二人は・・・・
すばらしい時間を分かち合った
恍惚の体験だった
そう伝えようとした時に
ジュンのお腹がぐうっ・・・・
と音を立て
静かな部屋に大きく響いた
それがおかしくて
ユリアは思わずおなかを抱えて笑ってしまった
ジュンは途端に真っ赤になって
うつ伏せになった
「もう・・・・死にてぇ・・・・ 」
耳まで赤くなってる
なんてかわいいの
クスクス・・
「私もお腹ペコペコ 何か作りましょう」
「チェっ! 」
ジュンはベッドサイドに
あぐらをかいて座っている
股間のものは布団で隠している・・・・
う~ん・・・残念
ユリアはクローゼットにあるガウンを羽織り
キッチンに向かおうとしたが思い直し
ベッドでふてくされている
ジュンの頬にそっと両手をあてた
そしてじっと彼の瞳を覗き込む
ジュンが少し緊張した
体がこわばっている
「SEXでイッたのは初めて・・・ 」
色っぽくしとやかに軽く鼻の頭にキスをした
途端にジュンはノックアウトされた
ボクサーの様に大の字になって
ベッドに倒れ込んだ口元は緩んでいる
ユリアはクスクス笑って
バスルームに向かった
シャワーを浴びてナイトガウンを着ると
すこし落ち着いた
でも股間は先ほどの激しい愛の行為の
おかげでまだ震えている
タオルの毛羽がひりつくほど
敏感になっていた
リビングに行って周りを見渡してみると
特に玄関がひどかった
脱ぎ散らした服が散乱している
まるで泥棒に入られたみたい
買ってきた食材は冷蔵庫に入れられず
そこにほったらかしにされている
たいへん!
小さな玄関にジュンの大きな靴が存在感を示す
そしてその横には脱ぎ散らかした自分のヒール
赤い顔であわてて整えると
どれだけ自分達が
切羽詰っていたかを思い出す
ここで壁に打ち付けられて
持ち上げられた・・・・
途端にぼーっとして股間が熱くなる・・・
ああ!だめだめ!
かたずけないと!
冷蔵庫に買ってきたものをあわてて詰める
彼のために食事を作る・・・・・
楽しくなってきた
ユリアの顔は緩みっぱなしだった
彼は何が好きかしら
前に食事をした時は好き嫌いは
あまりないように思えた
せわしなく動き始め
ボウルと調理器具を引っ張り出す
こんなふうに忙しくしていると気持ちが落ち着く
冷蔵庫から卵を取りだした
自分一人ならいつもは二つで十分だ
でも・・・・それからチラリと振り返った
シャワーを浴びたジュンが
上半身裸でユリアのリビングをプラプラしている
首にユリアのピンクのタオルを下げて
ジュンのがっしりした肩と背中が
ひきしまったお尻にむかって逆三角形を
描くさまをうっとりと見つめた
想像していたよりも
ものすごい存在感ね・・・・
この人がいるとリビングがとても狭く見える
卵!4個追加!
ユリアは計6個の卵をボールに割った
彼はソファーに長い脚を投げ出し
テレビをつけた
カチャカチャとチャンネルを変え
特に自分が気を引く番組がないと思うと
テーブルに置いてあった
ノーラ・ロバーツの新刊をパラパラとめくりだした
愛しさがこみあげてくる
彼のような男性に見合う食べ物を作らないとあの体を維持するにはきっと沢山
食べるに違いない
ふふっ・・・楽しくてたまらない
するとすぐ背後に人が立っている気配に驚いてユリアは飛び上がった
「まぁ!ジュン!驚かせないで! 」
「君がそばにいないからつまらない」
かまちょなの?
かまちょなのね!
こんな図体デカいのに!
ユリアはおかしくて笑い出した
「それじゃ一緒にお料理しましょ!
あなた パセリ刻んでくれる? 」
「やった!任せて! 」
ジュンの笑顔が眩しくて胸が苦しくなった
あわてて視線をそらし鉢からパセリをもぎ取り
包丁とまな板をジュンに渡した
5分後まな板が血の海になった
ユリアは奇声を上げた
ジュンが人差し指をざっくり切ったのだ
「ジュン!あなた料理したことあるの?」
あわてて指に止血剤を振りながらジュンに言う
「ない!でも出来ると思ったんだ」
ジュンはユリアにかまってもらって嬉しそうに言った
ユリアは手のかかる子供を
一人抱えたような気分になった
「大人しくお料理が出来るまで
座っててちょうだい! 」
ユリアは腰に手を当てて
ジュンに人差し指をかかげて言った
それから再び料理を開始した
それでも背後の彼が気になって
チラリと振り返る
窮屈そうに椅子に座っている
ソファーに置いてあった大きな
すみっこぐらしのぬいぐるみを抱えて
こちらをじっと見ている
上半身はだかの彼はきっと寒くないんだわ・・・
彼を無視するなんて
到底無理
もう・・・・かわいいんだから・・・
ユリアはため息をついて言った
「コーヒーは淹れられる? 」
ジュンの顔が輝いた
「豆を入れてボタンを押す!
それなら僕にもできそうだ! 」
:*゚..:。:.
ユリアの家は清潔で新鮮な匂いがする
実際に見た目も清潔だ
そして非常に女性的で
いろんな飾りが飾ってある
テレビはさほど大きくはない
あまり必要ないのだろう
リビングにハーレクイーンロマンス小説を
見つけた
こんなのが好きなんだ
可愛いなぁ・・・・
そして料理人らしく
部屋の半分以上が一人暮らしには
似つかわしくない程巨大なキッチンだった
きっとユリアはここのキッチンが
一目で気に入って契約したんだろう
磨き抜かれた大理石のカウンターには
小さな鉢植えが沢山置かれていた
それのすべてが料理用のハーブだった
ジュンはまったくハーブに詳しくない
でもこれから勉強することになるだろう
何せ優秀なシェフが先生なのだから
カウンターに流し台も大理石だ
電化製品もジュンが見たことも無いような
機械が揃えてある
大きな木製ブロックのナイフ置き場は
沢山の包丁が突き刺さっていた
その切れ具合ときたら
身を持って知る事になった
彼女は鼻歌を歌いながら
これまた巨大な冷蔵庫から次々といろんな
ものを取り出しはじめた
冷蔵庫の中がチラリと見え
ジュンは自分が恥ずかしくなった
ジュンの家の冷蔵庫は
この半分にも及ばず
中見はビールと干からびた
宅配ピザの残りしか入っていない
食事はいつも外食かテイクアウトだった
でもユリアのために大きな
冷蔵庫を買ってもいい
賭けてもいいが彼女はブランドバッグよりも
性能の良い冷蔵庫を選ぶタイプの女性だ
ユリアの冷蔵庫には新鮮な食品や
ル٠クレーゼの深皿にラップのかけてる
料理済みの食べ物
さらにはミルクや外国のフルーツジュース
などがぎっしり詰まっている
コロナビールのボトルも何本もあり
これから自分もこれが好きになるだろう
コーヒーを淹れる命令がシェフから下されたが
なんとそれすらもここでは困難な事だった
ユリアの棚から出された
コーヒー豆は7種類あった
綺麗に瓶詰めにされているコーヒー豆は
ラベルにタイプ打ちで名前が書かれている
キリマンジャロ・・・モカ・・・
ハワイコナ・・・
驚いて固まっていると
ユリアがクスクス笑いながら言った
「蓋を取ってすうっと香りを嗅いでみて・・・・
その日の気分で豆を変えるの
あなたのお気に入りを探してね 」
なるほど
これから一つずつ試してみよう
僕のお気に入りを見つけるまで
あと6回はここに来れることになる
豆をデロンギのコーヒーメーカーに
入れてボタンを押した
「ハワイ・コナにしたよ!」
そう言うとユリアは微笑んで
食器棚からコーヒーカップを用意した
バラ模様の卵の殻のように薄い綺麗なカップは
いかにも海外のブランドだ
ジュンもカップは持っていたが
ドラゴンボールのアニメの
キャラクターが描かれていた
ここにはそんなものは似つかわしくない
いそいそとテーブルセッティングをする
彼女はごく自然に振る舞っていても
気品にあふれていた
キッチンで動く彼女を見守る
どう動けばいいのかちゃんとわかっている
ジュンが拳銃や自分の道具を
使いこなすのと同じように
キッチン道具をうまく使っている
すべてが完璧な位置に置かれている
動線に無駄が無いように配置し
それぞれが理想的な状態に手入れされている
ユリアは今までジュンが付き合ってきた
どの女性の中でも洗練されて美しく
頭が良い人だ
しかも料理の腕は抜群ときている
途端に胸が締め付けられそうになった
彼女が好きだ・・・・
好きだけでは言い表せない・・・・
この気持ちはいったい何なんだろう・・・
これが日常的になったらどうだろう?
自分の家もしくは彼女の家にいつも二人でいる
ずっと毎晩自分のベッドに彼女がいる
この美しい存在が気品と輝きを放ちながら
自分の物になる・・・・
そう思うとジュンはゾクっとした
いやいや・・・・
今はまだ早い・・・・
絶対口に出してはいけない
ちょっと落ち着け!
ジュンはコーヒーを淹れるのに
全神経を集中した