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ただならぬ殺気を感じてハッと目を覚ますと眼前に拳が見えて咄嗟に避けるとギシリとベッドのスプリングが悲鳴を上げる。

「起きちまったか〜」

「!・・・君は」

ーー確かX一派の楽。ーー

もし目覚めずに殴られていたら鼻の骨は確実に折れていただろうし、下手をすれば殴り殺されていたくらいの殺気を放っているのは殺し屋殺しのXの仲間である楽という青年だった。

何故この青年が目の前に?そしてなんで僕は寝ていた?拉致されたのか?と疑問を浮かばせながら周りを見るとホテルのような部屋だ。

「ここ、どこ」

「は?俺が聞きたいんだけど」

「?」

どうやら楽も何故かこの部屋に連れて来られたらしい。見たところスマホもなければ六徳ナイフも銃もない、楽も棍棒のような武器を持ってないから没収されたのだろう。

そして室内にはもう一人の気配がして、僕は自然とベッドの方に視線を向ける。

キングサイズの大きなベッド、僕が端っこで寝ていたところから少し離れた真ん中で眠っている金髪の青年は見覚えがあった。

ーー朝倉シンくんだっけ?・・・なんで坂本くんの部下とXの仲間と同じ部屋にいるんだ?ーー

恐らく楽が最初に起きて僕とシンくんを見た時に最初に明らかに強い僕から殺そうとしたのが分かる。

室内は一見ホテルのような内装だけど妙な点が幾つかあった。窓がひとつもない、そして天井には幾つかの監視カメラ、出入り口の扉は頑丈な鉄製の作りは明らかに普通のホテルの一室ではない。

ふと、出入り口前に紙切れが落ちていることに気づいて近づいて拾うとメモ書きだった。

『3Pするまで出られない部屋』

「何だこれ」

僕ら三人を閉じ込めたのはこの為か?そもそも力尽くでなんとか扉を壊せるんじゃないかと考えていると楽も同じことを思ったのか徐に扉の前に立って僕を殴ろうとした時より遥に強い力で扉を殴る。

大きく派手な音を立てると鉄製の扉はヒビひとつ入るどころか包帯が巻かれた楽の手が血塗れになって「開かねーな」と舌打ちをして楽はベッドに戻った。

「なぁ、その手紙なんて書いてあんだよ。三人で殺し合って最後のひとりになったら脱出できるとか?」

「・・・まだそっちの方が良かったかもね」

「?」

僕が浅い息を吐くのを楽は眉を寄せて訝しげな表情を浮かべるからメモ書きを渡す。

「3Pっつーことは三人でヤれってことか」

「そうらしいね〜。信じたくなーい」

どうかこれが悪い夢であってくれと願うも残念ながらこれは現実だ。楽がメモ書きを握り潰してから視線がシンくんに映る。

さっきから大きな物音も話し声もしているのに一切起きる気配がないシンくんに僕も楽も違和感を覚えた。もしかして殺されたのか、と思うも平らな胸元は上下に規則正しく動いているから死んではいないけど妙だった。

彼も元殺し屋の端くれなら物音に敏感な筈だけど、こんな場所で熟睡できるか?試しに近付いて上半身を抱き上げるとダラリと脱力した腕が垂れる。

その腕には真新しい注射痕が残っていてサイドテーブルには真空パックに入れられた注射器が入っていた。

同じく紙切れが置いてあったから手に取ると『睡眠薬。お好みの量で楽しんでください』となんとも身勝手な内容が書かれている。

シンくんは事前に睡眠薬を投与されて眠っているから起きないらしい。何が目的だ?と考えなくても明白で無意識に監視カメラを睨み付けた。

「無抵抗なシンくんを使ってヤれってシュミ悪すぎ」

「は?じゃあチンコをコイツのアナルに挿れるってこと?」

「そういうこと」

「ウワ」

流石に同性とのセックスは楽にも躊躇いがあるらしい。そもそもシンくんは坂本くんの愛弟子だ、そんな子を今から敵である楽と犯すのはかなり非現実味があって僕としては避けたいけど、正直現状を打破できる案は思い浮かばない。

ここで強引にシンくんを起こすことはできるけど、起こしたとろこで現状が更にややこしくなるだけだ。

それに三人でセックスをしない限り出られないとすれば僕か楽が抱かれる側になるのは世界がひっくり返ってもありえないだろう。

幸いシンくんは寝ているし起きたら注射して眠らせれば無駄な労力をかけずに終われる可能性がある。

そんな考え事をしていると、楽の殺気を感じたと思えばシンくん目掛けて拳が振りかざされたから抱き上げて避けた。

「何するつもり?」

「コイツ殺せば3Pできないし出られるんじゃね?」

「それはあまりに現実味がないね。僕は死姦の趣味はないから御免だよ」

──こいつ、本気でシンくんを殺すつもりだったな。──

殴り殺せば出られると思っている楽観的な発想に苛立ちつつ、ここでシンくんを殺して出られたとしても坂本くんのことを考えてしまう。

死姦、と聞いて楽は眉を寄せて「俺も死姦の趣味はねぇ」と二度目の舌打ちをする。

「仕方ねぇ、ヤるか」

「ちょっ・・・本気?」

「それしかねーじゃん」

今度は殴らずにシンくんを僕の腕の中から奪うように引き寄せて着ていたパーカーとカーゴパンツを脱がしてきた。

あっという間に全裸にされたシンくんを楽はうつ伏せにして眠らされて無抵抗のシンくんの秘部に指を突っ込み出す。

「ゔ・・・っ」

「そのまま指挿れるバカいる?」

「は?慣らそうとするだけ有り難く思え」

強引に濡れてもいない指を秘部に突っ込まれてシンくんの苦しそうな声が漏れた。このままだと強姦に近い乱暴な性行為になりそうで僕が楽の腕を掴んで力尽くで引き抜く。

──見る限りコイツも同性のエッチはしたことなさそうだな。──

興味本位で学生時代に一度見たネットの知識を思い出しながら「僕がする」とうつ伏せにされたシンくんを抱き寄せる。

人形のように無抵抗で今から僕と敵である楽に犯されることなんて思ってもいない幼さがある寝顔に罪悪感を抱く前に僕はシンくんにキスをした。

「ん・・・」

顎を指で掬うと薄く開いたシンくんの口に無遠慮に舌を捻じ込むと肩がビクリと震えるも起きる様子はない。

舌を絡めるキスをしながら胸元に触れると、また体が敏感に震えたから僕はシンくんに同性の性行為の経験が過去にあるんじゃないかと察する。

平らな胸元を撫でてピンク色の乳房を指で摘むとシンくんはキスの合間に甘い吐息を漏らした。

少し強めに指で乳房を弾くと「ぁっ」と喘ぐ声は控えめで可愛らしく感じる。

──結構イケるかも。──

普段の生意気なシンくんを知っているから今の無抵抗で素直に感じるシンくんに次第に興味を持ち始めた。キスをしながら愛撫を続けて、徐々に触れる手を下半身に移動させるとシンくん自身は反応していた。

「んっ」

片手でシンくん自身を握るとシンくんは眠りながらも感じている。その様子を胡座をかいて見ていた楽が興味深そうに近付いてきた。

「俺もやる」

「・・・乱暴にしたり傷付けないでよ」

「お前コイツの恋人じゃないなら別にいいじゃん」

「何かあったら後々が面倒なんだよ」

3Pしないと出られないのだから楽も混ざらなければならないが、さっきみたいにシンくんの体を傷付けようとするのに抵抗があるから事前に言えば渋々「分かった」と呟いた。

僕に支えられて上半身を起こしているシンくんの胸元を楽が触れてみる。僕よりも少し慎重な手付きなのは普段の馬鹿力を出さないように抑えているのだろうか。

「ぁっ」

ピン、と勃った乳房に触れると僕がシンくん自身を触れているのもあって更に喘ぎが漏れる。

「へぇ〜乳首感じるのエロ」

次第に楽もシンくんと性行為することに抵抗が薄れたのか触れるのをやめて顔を近付けて胸元を舐めてきた。

楽のザラリとした舌の感覚にシンくんは敏感に反応するのが何故か悔しくてシンくん自身を強めに握って上下に擦る。

「ぁ、あ・・・っ」

胸元以外に鎖骨、首筋に舌を這わせてシンくんの体に所有痕まで付けてくるから「ちょっと」と文句を言うも楽は無視してシンくんの体を舐めていた。

──この脳筋め。──

次戦闘で会ったら絶対僕が彼を殺そう、と考えながら勃起したシンくん自身を更に攻め立てると先端から先走りが溢れてシンくんの喘ぎも大きくなる。

「あぅ、う・・・っ・・・〜〜ッ♡」

一際大きくシンくんの体が震えたと思えば僕の手の中で射精した。耳まで赤くして息を荒げるシンくんはまだが眠ったままで、次第に僕も楽も加虐心が芽生えたのを感じた。

「俺たちも気持ち良くしてもらおーぜ」

「寝てる相手に?」

シンくんを仰向けにシーツに寝かせた楽が徐にズボンと下着をズラして反応してない自身を晒す。そしてシンくんの片手を掴んで楽自身を握らせるのを見て興味が湧いた。

サイドテーブルに置いてあるローションのボトルを見つけて、明らかに普段見たことない怪しいボトルだけど何もないよりはマシだろうと思って指で馴染ませてシンくんの秘部に指を這わせる。

もう片方のシンくんの手をとって楽と同じように反応してない自身を晒して触れさせるもシンくんはまだ起きる気配もない。

今ここで起きたら坂本くんの旧友である僕と敵である楽に犯されている状態でパニックになるだろう。面倒だけど、そんなシンくんを丸め込んでセックスするのも悪くなさそうだと思う。

「ん゛」

「ナカ狭すぎ・・・」

ローションで濡らした人差し指を秘部に押し込むと狭くて熱い中は異物を受け入れようと吸い付いてくる。

これは丁寧に慣らしてあげないと僕らの先端すら入らない可能性があるな、と感じているとシンくんの手を動かしながら自身を勃起させていた楽も「俺も挿れる」と言ってローションのボトルを奪って指を濡らしてからシンくんの秘部に挿れた。

「ぁ゛う・・・っ」

「乱暴はやめろって言ったじゃん」

「乱暴じゃねーよ。手伝ってやってんだよ」

突然2本目の指が押し込まれてシンくんの表情が苦しそうに眉を寄せる。僕と反した動き方をする楽の指が無遠慮に奥に入ってシンくんは自然と僕らを握る手の力を込めてきた。

「いい感じじゃん」

ローションを足して広げるように指を動かすと楽の指も同じように動くから秘部からクチュクチュとやらしい水音が聞こえる。

「は・・・っ、う、ぁ、あ゛」

「ナカ感じるのエロ〜。コイツ面白いな」

腰を僅かに浮かせてきたシンくんに楽の口角が上がって指を引き抜いたかと思えば体を屈めてシンくんにキスをしてきた。

僕よりも強引なキスにシンくんはくぐもった喘ぎを漏らすから僕は指を増やして前立腺をしつこく刺激する。

──挿れたくなっちゃった。──

シンくんの手で握らせた自身はすでに昂っているから僕は生唾を飲み込んで指を引き抜いてシンくんの足の間を広げて自身を当てがう。

「は?お前先に挿れるのかよ」

「うん。君はフェラでもしてもらえば」

想像通りに楽は僕が先に挿れることを嫌そうな顔をするも既に先端を秘部に押し込んで言い返すとシンくんの唇をチラリと見た楽が「チッ」と分かりやすく舌打ちする。

シンくんの眼前に跨って反応した楽自身はシンくんの顔より大きく見えた。僕自身も大きくて中に全部入るか分からないけど、正直かなり興奮材料になる。

赤く腫れた秘部に自身を押し込むとシンくんは敏感に反応したけど声を出そうとする前に楽自身を捩じ込まれた。

「ん゛む゛」

上は楽に犯されて下は僕に犯されているシンくんに今まで感じたことない興奮が生まれたのは僕だけではないだろう。

「うわ、コイツ寝てるくせに舌動いてる。喉まんこじゃん」

「ん゛・・・っん」

僕自身がゆっくり中に入ってくるから喘ごうとする舌が無意識に楽自身を奉仕しているのだろう。

──狭くて熱い・・・でもすごく気持ちいい。──

ローションのおかげもあってズプズプと僕自身を埋めていくけど奥に入る度にシンくんの腰が悩ましげにくねるから腰を掴んで逃げないように刺激を与える。

ビク、と一際大袈裟にシンくんの体が震えて僕はまた楽が強引に何かしたのかと思ったけど楽が「あ」と呟いた。

「起きた」

「え」

奥に自身を進めながら楽の体が邪魔でよく見えないけど目を閉じて眠っていたシンくんが薄目を開けている。さっきより中がキュウ、と締まった感覚も起きて異物感を抱いたのだろう。

しかしまだ夢か現実か分からないのか寝惚けた様子のシンくんは暴れたりしないで、まだ無抵抗だった。

「注射した方がいいね」

「俺は起きたままの方がコーフンすんだけど」

「言ったじゃん、後々が面倒なんだって」

密封された注射器を取り出して躊躇いなくシンくんの腕に刺して注射すると「ん、ん?」と不思議そうな声をくぐもらせるけど、すぐにまた力が抜けてシンくんは眠る。

「・・・危なかった」

「ていうかギリアウトじゃん?」

「君が強引に喉奥まで突っ込むからじゃない?」

「お前が奥まで挿れるからだろ。さっさと代われ」

お互い軽い口論を交わしながらもシンくんを犯すのは中断しなかった。律動を始めてシンくん自身も触れてあげるとすぐに勃起して前立腺を先端で刺激するとシンくんの喘ぎは大きくなる。

「やべ、イきそ・・・」

「・・・僕も」

目先の快感にお互い抗えず、せめてシンくんにも気持ちよくなってもらおうとシンくん自身を上下に動かして刺激を与えた。

楽自身がシンくんの喉奥に押し込まれる度に中が締め付けられて気持ちいい。程良く鍛えられた腹筋がピクピク震えるから優しく撫でてあげた。

「──っ」

「〜〜ッ!!」

シンくんが絶頂を迎えたと同時に僕もシンくんの中で絶頂を迎えて射精する。恐らく楽もほぼ同じタイミングで達したのか肩がブルリと震えたのを見ながら中での射精が気持ち良くて、ゆらゆらと腰を揺らす。

「顔射したらもっとエロくなった」

「うわ、顔射したのサイテー」

「お前は中出ししてんじゃねーよ」

楽自身がシンくんの口から離れるから僕もゆっくり自身を引き抜くと秘部からドロリと僕の精液が垂れた。

口淫を強要されていたシンくんの顔は楽の精液塗れで汚れていたけど普段のシンくんから別人のようにかけ離れて見える。

「次、俺挿れる」

予想はしてたけど三人で達しても部屋の扉は開いてる様子もなく、やはり僕と楽がシンくんに挿れないと開かないらしい。

射精したばかりなのに楽自身はもう勃起していてシンくんを四つん這いにさせて僕の精液を掻き出さないまま挿入した。

「ウワ・・・正気?」

「は?お前こそ良い子ぶってないでフェラして貰えば?」

後ろからシンくんの両腕を引っ張り上げるとシーツに沈んでいた上半身が起き上がる。

「あ、ぁ・・・っ」

僕自身を受け入れていた秘部は難なく楽自身を受け入れて新たな快感に甘い声を出すのを見て僕はシンくんの頬に自身を擦り付けた。

「お掃除フェラしてよ、シンくん」

「ん゛っ・・・」

薄く開いた口に強引に僕自身を捻じ込むとシンくんは眉を寄せるも抵抗なく受け入れる。

僕の精液とローションの水音で楽が動く度にグチュ、と音を立てて奥に挿れられると感じるシンくんが面白くなくてシンくんの後頭部を掴んで喉奥まで押し込む。

「むぐっ」

「正気か?かわいそー」

「思ってもない癖に」

仕返しのように言ってくる楽を睨むと暫く無言で睨み合いが始まった。間に挟まれているシンくんがビクン、と体を震わせてくぐもった喘ぎを漏らしている。

「まぁいいや。俺も中に出そ」

「早漏だね〜」

「お前だってお掃除フェラとか言いながら勃起してイきそうじゃん」

お互い口論を交えながらもシンくんによって感じているのは同じで、口内の僕自身も昂って口の端から僕の先走りと唾液が混ざった体液がシーツに溢れた。

──やばい、この子にハマりそうだ。──

もし眠ってない状態でセックスしたら今以上の反応が楽しめるのか?そんなことを考えているのはきっと僕だけではないだろう。

楽がピストンを繰り返す度に体が自然と前に出て僕自身を喉奥まで押し込まれて無意識に奉仕する形になる。

「ん゛っ、ん゛っ〜〜ッ♡」

甘い声をくぐもらせながらシンくんが絶頂を迎えてシーツに精液をポタポタと漏らすから楽が小さく笑って更に奥に挿入して中に射精した。

僕もシンくんの口内に射精するとシンくんは眉を寄せて苦しそうにしながらも無意識なのか舌で僕自身を吸ってくる。

「あ〜やば・・・コイツ上も下も名器じゃん」

楽自身が引き抜かれて腕を離されるとシンくんの体は僕に倒れ込むから自身を口から抜いて抱き寄せた。

僕と楽の精液が混ざって、掻き回されるように挿入されたから泡のような精液が秘部から溢れる姿は淫靡で楽も凝視する。

ガシャン、と扉の鍵が開く音に僕と楽は無言で互いを見た。今ならもう抜け出せるし殺し合える、しかし不思議と今はそんな気分じゃなかった。

「・・・シン」

「!」

「名前覚えた。次会った時は俺のモンにする」

ベッドから出た楽は軽く身なりを整えて欠伸をしながらさっさと部屋を出て行ってしまった。次、もしシンくんが偶然にも戦闘か何かで楽に会ったらと思うと僕は自然と抱き締める力を強める。

翌日、坂本商店を向かうと「げ!」と開口一番に僕を見るなり眉を寄せたのはシンくんだった。

いつも通り僕に対して塩対応のシンくんは何も変わっていない。まるで昨日のことが夢だったのでは?と思いたいけど汚れたシンくんの体を浴室で清めて商店近くの公園のベンチで寝かせたのは紛れもなく現実だ。

幸いシンくんが何か気付いている様子はないけど、もう僕と楽は眠っているシンくんを犯しているからいつも通りではいられない。

「何しに来た!」

「ん〜?君を揶揄いに?」

「はぁ〜?マジで性格悪いよな!」

警戒心MAXのシンくんが昨日ではあんな風に淫らに犯されていたなんてシンくん本人も知らないだろう。

ふと、シンくんが着ていたオーバーサイズのトレーナーから覗く鎖骨に赤い斑点が目に入って無意識に指でトレーナーの襟を引っ張る。

「わっ」

「この時期に蚊に刺され?」

これは所謂キスマークだ。昨日楽が付けた他に僕も浴室でシンくんの体を清めている最中に付けたのも幾つかあった。わざと聞いてみるとシンくんは訝しげな表情をしながら唇を尖らせる。

「し、知らねーよ。・・・あーでも昨日なんでか公園で寝てたみたいで、その時に刺されたのかも」

「プッ!公園で寝るとかシンくんは面白いなぁ〜」

「うっさい!」

僕の手を振り払って離れたシンくんが怒った素振りをするも怖くないから近付くと力では敵わないと知っているからジリジリと下がって逃げるとあっという間にシンくんを壁に追い詰めることができた。

「な、なんだよ」

もし今、僕が昨日の記憶をエスパーのシンくんに読ませたらどんな顔をするだろうか。

──いや、違うな。アイツに・・・シンくんを取られたくないんだ。──

いつの間にか芽生えた恋心は分かりやすいくらいに嫉妬に駆られている。楽に取られたくない、僕だけのものにしたいという独占欲が強くなって気が狂いそうだ。

壁に追い詰められたシンくんが不安そうな表情を浮かべるから頬を優しく撫でてあげて顔を近付ける。大きなネコみたいな瞳が見開いて僕を見つめるシンくんにまた恋をする。

──楽に触らせてあげない。シンくんは僕のものにするんだから。──

これからも、その先もシンくんは昨日のことなんて知らなくていい。僕だけに恋をして眠っていなくても繋がって睦言を交わしたい。

そんな欲望に塗れた心を隠しながら僕は真摯にシンくんを見つめて、わざと頬を赤らめてこう言うんだ。

「──シンくんのこと好きなんだ。僕と付き合ってみない?」

さぁ、これからが僕とシンくんと、アイツの恋の始まりだ。



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