電源がつく。目が覚める。
ここは…?辺りを見回すと、所長室のようだ。
『何か御用ですか?』
〔いや、何も。君は部屋に戻りなさい。〕
『…わかりました。』
とは言ったものの、部屋に戻ってもまた1人…何かが引っ掛かる。1人…?
通りかかった実験室。4体が話を聞いていた。ちらっと見る。
〔お前たちは、廃棄さ。〕
あ…あの人たち、失敗したのか。
通り過ぎようとする。でも、一言が足を止めた。
「おんりーに…No.877に会わせてくださいっ‼︎」
〔無駄だ。奴は記憶が消されている。そう、お前達が来てからの記憶が、ね。〕
『…何か御用ですか…?』
4体は、驚いた顔でこっちを見てくる。
記憶が…消されている?
『何か御用ですか…?』
こちらに向かってくる、おんりー。でもあのおんりーは、今のおんりーではない。5ヶ月前のおんりーだ。
嫌だ。思い出してくれよ。
「おんりー⁉︎忘れたの⁉︎」
〈そんな…僕達一緒に逃げて楽しく暮らすって言ったじゃんっ⁉︎〉
【嘘じゃない…のかよっ⁉︎】
《おんりー…思い出してくれよ…》
全員はそう願う。でも、おんりーは困っている。
…記憶がない。この人達の事…何にもわかんない。でも。
うっすらとした何かがある。
俺は…
この人達の事、思い出さないと。
翌日の朝。目が覚めて、実験室に向かう。やはり4体がいた。
『……あの…』
「おんりー⁉︎」
『名前だけお聞きしたいのですが…』
「ぁ…えっと…」
〔無駄だぞ、No.877〕
目の前に所長が現れる。
『でもっ、名前くらいは…』
〔聞いたところでお前はわからないんだから。あと、こいつらは破壊するしな。〕
…この顔、どこかで見たような…
黒い、何もない場所。ただノイズがしているだけ。
その中にパッと想い出が映される。全部、自分と…あの人達が映っている。
うっすらと声が聞こえる。
〈ちょっとぼんさん〜?ww〉
【おらふくん後出ししたでしょ〜⁉︎】
「じゃんけんに本気に…」
《ぼんさん…後輩に気使いましょ?》
【うっ…】
『ドズルさん、men、一緒にじゃんけんだっ‼︎』
くだらないけど、輝いている記憶。でも…そんな事…あったっけ…?
いや、でも。
この手首に巻かれたミサンガは、確かに昔はなかった。じゃあ…
この人達は…
記憶が蘇る。
『…ドズルさん、ぼんさん、おらふくん、men。』
ボソッと呟く。
〈おんりー‼︎思い出してくれたの⁉︎〉
《最高かよおいっ‼︎》
「よかったぁ…」
【おんりーチャァァァァァン‼︎】
抱きつかれる。幸せな気持ちになっていたのに、 所長がその幸せを切った。
〔おい、お前達は破壊命令が下されているんだ。さっさといくぞ。〕
『は…?』
「そうなんだよ…おんりー、ごめん…」
『いやいやいや、冗談ですよね?』
〔冗談なんて言わない。〕
『…』
思わず俯く。ハッとして、所長に問う。
『所長、本当に、破壊するんですか。』
〔ああ。〕
そう言われ、無言で着ている服をまくり、不自然なカバーを開く。そこには、一つのボタンが。それを、自分は押す。
〔緊急事態、研究室似て爆弾の起動…直ちに避難を…〕
え…?全員がこちらを見てくる。
『あ、これ、体についている時限爆弾です。』
コメント
3件
あぁぁぁぁやばいやばいやばいやばい!
え、なんかサラッととんでもないこと言うじゃん… マジで心臓バックバク(笑)
うわぁぁぁぁ!なんか見た事あるあの流れ!やだ!もうこの結末は見たくない...( > <。) (なんて嘆いても、運命は変えられないからまた...)