──────ガチャリ。
そんな音が先程まで静寂だった部屋内に響く。その音を出した張本人である私──────ガンマスは、部屋主であるめめさんを見つめる。
めめさんは、寂しげに瞳を揺らし、長いまつ毛も、それに合わせて揺れる。
「めめさん、行き先についてなんですけど…。」
そう、私は今、単独行動中にどこに行くかを報告しに、めめさんの部屋に訪れていたのだ。めめさんに報告しようと、言葉を発しようとするが、それはめめさんによって途切れる。
「大丈夫です。わかってます。」
めめさんは一言で、そう言い切る。どうやらごまかしや嘘は無意味のようで、大人しく、話の流れるがままに流れていく。「それでも」、とめめさんは少し下を俯いた後、ゆっくりと、私に視線を合わせる。その瞳の奥には強い意志を感じた。
「私は、あなたに死んで欲しくないんです。」
めめさんは、そう、言った。その言葉は私の核に迫ったかのような発言に一瞬戸惑う。しかし、1度決めた決意を簡単に覆せるほど、私も単純なものでは無い。
「いえ、私は、決めたんです。自分の決意を、自分の感情を、これ以上壊しはしませんよ。」
それに、と私はいたずらっ子のような笑みを浮かべながら、めめさんの顔の正面まで近ずき、緊張を、恐怖を解くように試みる。そして、数歩離れてから、マジシャンのようにうやうやしく一礼する。
「それに、私は死にませんから。」
私がそういえば、めめさんは困ったかのような笑みを浮かべる。やっぱり、誤魔化し通すのは難しくて、私は、そっと、耳打ちする。
「私には取っておきがあるので。絶対に死にませんよ。」
そう言い切れば、少しは安心したのか、いつものようにキレのいい返事がかえってくる。
「死亡フラグを着々と組み立てないでください?」
「フラグ回収枠にはれいまりさんがいるので回収は遠慮しておきますよ。」
そんな雑談をひとつまみしつつ、めめさんと約束を交わし、部屋を出る。その部屋から出れば、廊下は寒気を帯びていて、少しばかりの薄気味悪さを感じた後、理解する。…こんなにも早くに…。私は、急ぎ、決戦の支度を始める。長い前髪の横を束ねる。天狗のような服装から黒い布を1枚来た後、その上から赤い服を取り出し、そのまま着る。今まで毛嫌いをしていた赤いスカートをはき、中にはドロワーズではなく、黒い短パンのようなものを履く。スカートは1部破れているが、これも思い出、ということで縫い直すことは無い。そして、私の象徴、とでも言わんばかりの主張をしてくる赤いリボンで後ろ髪もたばねる。最後に、私が、私であるために落書きをされた布で、自身の顔を覆い隠す。口が見える程度の大きさになっていて、自身の成長を感じる。こんなものだろうか、そう思っても、私は鏡を見ることなく、靴を履く。黒いブーツで、赤いラインが光に照らされ、きらりと輝く。今、私のことを見た人は、みこかなにかと勘違いをするのではないか?と少し心配もしたが、その必要性は無いのだろう。と、自分自身にツッコミを入れる。準備が整い、決戦の準備が終わる。あとは出迎えるだけなのだ。そう、私に言い聞かせ、決心する。
「それでは!行ってきま──────」
「待ってくださいッッ!!!」
行こうとした私の行動を妨げるかのような大声が私の耳をつんざく。非常識な声量に少し迷惑するが、そこはお互い様のため、注意は省くことにした。ゼーハーと息が乱れているれいまりさんをみながら私は、れいまりさんになんの用かを尋ねる。れいまりさんは、少し、心残りだったからだ。
「どうしたんですか?」
私が尋ねれば、れいまりさんは叫ぶように、同じことを繰り返し言う。
「行きます!!私もついて行きます!!」
れいまりさんはまだ諦めていなかったようですがりつくように私に訴えてくる。
「お願いです!!行かせてください!」
れいまりさんは、俯いて、そして、ぼそりと小さい声でつぶやく。しかし、その声は私に届くことは無かった。
「無理です。これは、私の問題なので。」
「それが本当だったとしても最後はがんマスさんといたいんです!!」
迫力のある言葉だったが、その言葉で揺らぐごとはなかった。私は、れいまりさんを守りながら戦えるほど強くは無いからだ。
「…無理です。れいまりさんを守りながら戦うことは不可能ですから。」
これだけ説得してもれいまりさんには無意味のようで、思わずため息が出る。しかし、れいまりさんは暴論に走り始める。
「なら、私を殺してください。今すぐに。」
そう言って、私に短刀を渡してくる。私は、絶句することしか出来なかった。
「…は?え?何を言ってるんですか?」
脳が理解を拒み、思わず聞き返すが、返答は変わらなかった。
「だから、私を殺してください。この場で。」
れいまりさんはただただ真顔で、私に選択を突きつける。殺すか、殺さないか。短刀が光に照らされ、きらりと輝くそれは、ギロチンの刃のようにも見えた。
ここで切ります!皆さん!お待たせしました!テスト期間がとうとうあけ、今日から毎日投稿を再開していく予定です。久しぶりに書き、なかなか表現が思い浮かばず、手こずりながら書きましたので、少々理解に苦しむ難解な表現が出てくるかもしれません。ご了承を。
ガンマスさん編に突入しました。今のところ、死ぬか死なないか、などは決まっておらず、盛大にお悩み中ですので、書く過程で決める予定です。
それでは、おつ🌸!
コメント
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久しぶりだ〜! れいまりさんが真の狂人みたいになりつつあるわね…
天狗きたぁぁ!! 何気楽しみだったgnmsさん✨
今のgnmsさんの印象が狂信者二人抱えてるミステリアス天狗なんだが・・・ テストおつかれ!!!!