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ある日突然、何の前触れもなく、私は目覚めたのだ。
だが、目が覚めた時には既に手遅れであった。
私の姿を見た者は誰一人としていなかったのだ。
おそらく、私は幽霊になってしまったのであろう。
今更、死んだところでどうということはないが、このまま成仏できずに彷徨うというのもなかなか辛いものだ。いっそ潔く成仏したいところだが、今の私にできるのはただひたすらに祈るだけなのだ。
どうか神様、お願いです。
誰か、私を見つけてください……。
この世界には、数多くの神が存在する。
中には、人間の願いを聞き入れて叶えてくれる神もいる。
だが一方で、神は人間とは相容れない存在である。
故に、人間は神の力を借りずに自力で問題を解決しなければならない。
しかし、それでも解決できなかった場合のみ、神の力を借りても良いとされている。
ただし、その場合は対価が必要となる。
神の力を人間が借りる場合……それは”生贄”と呼ばれることになる。
この世界に存在する、無数の神々。
その中には、決して交わることのない二つの神がいる。
一方は、人の願いを叶える善の神。
もう一方は、人に災いをもたらす邪悪の化身。
一方はその手で殺した相手の魂を奪い取り、自らの肉体に取り込む。
一方はその身を悪魔に委ねることで、永遠の生命を手に入れた。
そして今宵もまた、新たな犠牲者が生まれる――。
「おめでとうございます!あなた様こそが、次の”七つの大罪”に選ばれた方です!」
街外れにある古ぼけた教会の中で、一人の若いシスターが満面の笑みを浮かべながら声高々に叫んだ。
目の前にいるのは、二十代前半ぐらいの青年だ。
身に着けているのは黒いローブだけで、十字架などの宗教的な装飾は一切施されていない。
髪の色は漆黒に変わり、瞳の色も灰色に変化していった。
全身が少しずつ冷たくなっていき、息苦しさを感じるようになった。
心臓の鼓動はどんどん遅くなり、視界が暗くなっていく。
それでもなお、自分は彼女を救うことができると信じて疑わなかった。
しかし……何度試しても無駄だった。
いくら頑張っても……彼女が自分にしてくれたような奇跡を起こすことができなかった。
そうやって生まれたばかりの赤ん坊の姿で生まれ変わった後、彼は再び成長していった。
かつての面影を残したまま成長していくうちに、彼はあることに思い至った。
自分はあの子の姿をしているが、実は中身は全く違う存在なのではないかと。
外見が同じだけで、記憶も経験も全く別物なのだとしたら、これはもはや別人と言えるのではないだろうか。
ならば、自分は一体誰なのか……。
そんな疑問を抱きながらも、彼は日々を過ごしていった。
ある日のこと、街で見かけた女の子のことがどうしても頭から離れず、ついにはその子のことを尾行することにした。
それからというもの、彼はいつものように自分を偽って、偽りの言葉を口にしながら、日々を過ごしていました。
そんなある日のことです。
ある朝目覚めた瞬間に、突然、彼の身体に変化が起き始めました。
それまで普通の人間の身体をしていたはずの彼の姿が少しずつ変わっていき、最終的には異形の姿へと変貌を遂げてしまったのです。
もちろん、彼自身にも何が起きたのかわかりませんでした。ただ一つ言えることは、あの日を境に自分は何かを失ってしまったということだけでした。
それからというもの、彼は何度も死にたいと願い続けましたが、どうしても死ねません。
いくら首を吊っても、高い所から飛び降りても、毒を飲んでも、海に飛び込んでも、何をしてもダメでした。
そうこうしているうちに、彼は生きることに疲れてしまいました。
ある日、彼は森の奥深くにある廃屋を見つけました。
中に入ってみると、そこには大きな機械が置いてあり、どうやら倉庫として使われているようだったが、なぜか電気は点いてなく薄暗かった。扉の横にあるスイッチを押してみると明かりがついた。
その瞬間、私の足下から黒い影のようなものが伸びてきて私を飲み込んだ。
「うわぁっ!?」
突然のことに驚いた私は慌てて逃げ出そうとしたが、すでに遅かった。
黒い影に触れた部分が、ドロリとした感触と共に溶け落ちていくような感覚に襲われ、思わず悲鳴を上げてしまった。
(これはヤバいっ!)
直感的に危険を感じ取った私は急いでその場から離れようとしたが、いつの間にか壁際まで追い詰められており、逃げることも出来なかった。
なんとかしようと必死にもがくが、黒い影は容赦なく襲いかかってきた。
あっという間に全身を覆われてしまい視界も奪われると、今度は強い力で引っ張られるような感じに襲われた。
まるでどこかに引き寄せられるような奇妙な浮遊感を感じた直後、目の前が真っ暗になり、気づいた時には、見たこともない場所に立っていた。
そこは、辺り一面に木々が立ち並ぶ森の中だったが、見覚えのない光景を前にしても不思議と驚きはなかった。むしろ懐かしさすら感じてしまうほどだ。
ここはどこなのか、どうして自分はこの場所にいるのか――それらの疑問に対する答えはすぐに見つかった。なぜなら、ここには確かに”かつてあったはずの記憶”があるからだ。
しかし、それと同時にある事実にも気付かされた。なぜ今まで忘れてしまっていたのかというくらい鮮明に思い出せたのだ。
「私は、あなたを助けられなかった」
彼女が呟いた一言によって、ようやく理解できた。
彼女はあの日のことを後悔し続けながら生き続けてきたのだ。おそらく、俺が死んだ後もずっと……。
だからこそ、彼女は俺のことを助けたかった
のだ。
自分の代わりに、世界を救って欲しかったからだ。
俺は彼女を裏切ったことになるかもしれないが、それでも構わないと思った。
なぜなら、彼女が望んでいることはきっと、こういうことだからだ。
たとえ相手が神様だろうと、悪魔だろうと関係ない。
絶対に諦めず、決して挫けない。
最後まで足掻き続けるような強さを持った者が勝つのだ。
今こそ、約束を果たすときだ! さあ……始めようじゃないか。
世界の命運を賭けた、最後の戦いを!!