俺の彼氏は記憶が消える。
理由は不明。
いつからかも不明。
わかるのは、消えるということだけ。
なんで消えるのかも、
どうやったら消えなくなるかも
何も分からない。
でも、決まって俺のことを忘れるんだ。
俺との会話。
俺との約束。
……俺自身のことだって、
何度も忘れられた。
でも、その度に頑張って思いしてくれた彼が
思い出そうとしてくれるのが
俺の事を愛してくれている、
そうわかる気がして、嬉しかった。
最初の方は。
ある時、スマイルの記憶から、完全に俺が
削除されたことがあった。
最初はショックで、顔を合わせることも
出来なくて、不安でいっぱいだった。
顔を合わせたとき、彼がこういったんだ。
「…すごく、綺麗だね」
俺は思わぬ言葉に泣いてしまった。
そんな俺を笑って慰めてくれて、
忘れていても、スマイルはスマイルなんだと
そう思った。
でも、今日は違った。
思い出したら、直ぐに忘れる。
これの繰り返しだった。
『ックシュ!!』
……寒いなぁ、
『…』
もし、このまま帰らなかったら
スマイルとはどうなるのかな。
また俺のことを忘れて、
家に帰ったら、「だれ?」って
言われるのかな……
…
……
そういえば
俺、スマイルに1度も「だれ」って、
言われたことないや
『…!!』
ふわりと、何かが俺を覆う
それはコートだった。
…スマイルの匂い、
「ッハァーッ、帰るぞ…」
息が切れていて、走ったことが分かる。
『…嫌』
『今だって、誰だこいつとか思ってるんでしょ』『いいよ…無理に相手しなくて』
コートを頭まで被る。
また目尻が熱くなって、苦しくなる。
「誰だなんて思ってねぇよ」
コート越しに頭を撫でられる。
優しくて、暖かい。
『……』
「、」
「なかむが出てった後、部屋に戻ったんだよ、」
「そしたらさ、部屋中付箋とか、紙だらけで」
「なんども貼り付けたりを繰り返してたんだろうな」
「粘着力が落ちてるのが何枚もあった。」
「でもさ」
「その中に、1つだけ凄い丁寧に貼られてるのがあったんだよ」
また温かいものに包まれる。
スマイルの匂いが濃くなる。
「それにはさ、自信が無いような…ひょろひょろの字で『プロポーズ』って書いてあって」
「同じ紙に、次は自信満々に、『成功!!』って書いてあったんだ。」
「忘れないように、1番目につきやすいところにはられてた……」
「それで、同じ場所に小さな箱もあって」
コートを取られる。
スマイルの、
真剣で、優しい笑顔がそこにはあって
「俺、なかむのことをどれだけ忘れても好きって言う気持ちが消えなかったよ。」
「だから……、さ」
少しだけ耳が赤くなっている。
「改めて、……結婚してください」
綺麗に梱包された指輪。
綺麗なブルークォーツがはめ込まれた
俺の指輪。
「ッは、」
「なんで泣くんだよ」
「人が恥ずかしいことを2回もしたって言うのにさ」
『ッだッてぇ……ッグス、』
苦かった何かが、甘く溶かされていく。
「…」
手を取られる。
「どれだけなかむのことを忘れようとも」
「愛することを、」
「また、好きと伝えることを」
「誓います。」
宝石が俺の指にはめられる。
左手の、薬指。
『ッッう゛ぅ』
そのまま俺はスマイルの胸に飛び込んだ
「うぉ?!」
『ッッおぇも、おれもぉ!!』
『ぜったい…すまッが、わすぇてもッッグスッ』
『好きってぇ!!いうからぁ!!』ポロポロ
「、ありがとう」
彼な微笑んで、優しくキスをしてくれた。
コメント
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やばいストーリー神すぎです😇✨💕