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生理も落ち着き、試験は終わり、今日は全てが落ち着いた休日。

優雅にお昼寝でもしようと思っていたのに、お母さんに頼まれて、物置部屋の整理をすることになった。

とりあえず高く積み上げられたダンボールを片っ端から開封していくことに。


「ん?何これ」

開封していったダンボールの奥底に、青い色の大きめな本が鎮座していた。

取り出してみると、表紙には『アルバム』と丸っぽい字で書かれていた。

見てみようと思い、空いているスペースに腰を下ろす。

1ページ目を開くと、そこには小柄な女性が目の前のクレープを、美味しそうに頬張っている写真がでかでかと貼られていた。

写真の上には『晃くんと初デート!』と書かれた付箋が可愛くデコられながら貼られていた。

晃くん…コウ?

もしかして、父のことなのだろうか。すると写っている女性は…お母さん!?

これまた雰囲気が違う。

この写真の中の女性は“無邪気”という言葉がとても似合うような雰囲気だが、今の母はニコニコしてて穏やかで、妙に貫禄があるというか…。

まあいいかと思いページをめくる。

すると、1ページ目とは違いページいっぱいに写真が貼られており、その1枚1枚に一言が添えられていた。

『晃くんと映画観に行った!』『優香とショッピング!』『晃くんのお家でお泊まり会!』『高校卒業…うぅ、寂しい😢』 などなど…。

大量の写真のほとんどは父との思い出で埋め尽くされていた。


あるページから、父と母の間に“何か”が割り込む。

そう、私だ。

小さい私を大切そうに抱きしめながら朗らかに笑うお母さん。その横で、恐る恐ると言った感じで私の頬をつつくお父さん。2人とも、幸せそうに涙を流している。


『産まれてきてくれて、ありがとう。』


私が誕生した写真には、その一言が添えられていた。

なんだか、泣きそうだ。

いかんいかん、試験が終わったからって気緩みすぎ!涙腺脆すぎる!!

自分を葛藤して(?)、ページをめくった。

私がハイハイした写真、私が歩いた写真、私が公園で遊んでいる写真…

見開き1ページ丸々、私で埋まっていた。

あー、やばい幼少期の私可愛い

そんな事を思いながらページをめくっていく。

私が幼稚園年中位の時に、英が爆誕した。

……天使!!!!!!!!!!!

正に地上の天使という感じだ(???)

生まれた時から垂れ目&二重。

2歳くらいから気怠げな表情も増えてきた。

可愛い…。

「あ!」

七五三だ!

私と英が着物を着ている。

恐らく背景はどっかの神社だろう。

写真の隣には『英の七五三!もう3歳かぁ…もっとぐんぐん育ってね💕』とある。

英の隣には私が笑顔でピースしながら立っている。

だが英はニコリとも笑わない。が、私の着物の袖をきゅっと握って離さない。

無言でスマホを取り出し、その写真をスマホで撮る。

満足したのでどんどんページをめくっていく。

そのページから爆発的に私と英のツーショットが増えた。

アイスクリームを嫌々ながらも分け合う様子、お揃いの“耳”を付けながらアトラクションの順番待ちをしている様子、リビングのソファで寄り添いながら爆睡している様子、手を繋いで小学校へ向かう様子…などなど。

天使と天使が夢の共演をしていた。

あの頃は…私も純粋で可愛い天使だったのになぁ、、もうこんなおばはんに……。

1人、年の流れの速さに打ち拉がれていると後ろからにゅっと手が伸びてきた。

「うわ、何」

咄嗟にその手をきゅっと掴むと、頭上から声がした。

ん?と思い上を向くと、そこには私が掴んでいる反対の手で取ったらしきアルバムに目を落としている英がいた。

「ねえ、これ誰?」

2ページ目の1枚の写真を指さして聞いてくる。

小柄で可愛らしい女性・お母さんと………お父さん。

「えーと、、昔のお母さんと…お父さん」

私がそう言うと、英は大きな瞳を更に大きくした。

「まじ?」

「まじ」

そう、写真に写っているお父さんは、今とは違ってとても厳つい見た目だったのだ。






「ただいまぁー」

玄関から阿呆っぽい声が聞こえてくる。

「あれ、今日は2人ともお出迎えしてくれるの?」

玄関まで来た私達のことを見て嬉しそうに顔を緩ませる父。

「まあね」と言いながら、英と顔を見合わせる。

分厚いレンズの眼鏡をかけた父を横目でちらりと見て、2人してクスクスと笑ったのであった。

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