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「図星じゃったか! ホンマごめんな? 別に鳴宮に嫌な思いさせたかったんじゃないんよ? それだけは信じて?」
真っ直ぐに見つめられて、私はうなずこうとして……あごに手をかけられたままなのに気付いて「はい」と小さく答えた。
「あのさ。こんな形になってから言うのも気が引けるんじゃけど――。俺、鳴……、言凛ちゃんのことぶちくそ気になっちょるんよ」
言われて、私はキョトンとする。
「ぶちくそ」って何だろう?
私の視線を受けて、そのさんが「あ」と言う顔をして「俺、言凛ちゃんのこと、すっげぇ気になっちょるんよ」と言い直した。
あぁ、「ぶちくそ」は「凄く」って意味だったのね。
そう思うと同時――。
2回も下の名でわざわざ呼んでくれたのは、きっと昨日私が柳川に「寛道」って呼びかけたのと同じ理由かな?と思い至る。
だとしたら、確かにめちゃくちゃ気に掛けて頂いているみたい。
私を打ちのめしたのは、そもそもそのさんじゃなくて柳川の言葉だ。
なのに、わざわざこうして追いかけてきてくれて、しなくてもいい弁解をしてくれている。
そのさんはお兄さんが2人と妹さんが1人いるっておっしゃってたから、きっと人一倍調和を重んじる人なんじゃないかなって思って。
飲み会の時にも感じたけれど、彼は本当によく周りを見ている人だから。
「き……気に掛けていただいて有難うございます」
言ったら、そのさんが大きく瞳を見開いた。
「いや、ここでその返し……。言凛ちゃん、ど天然すぎるじゃろ」
言われてプハッと吹き出されて、あごにかけられていた手と、握りしめられたままだった手首がほどかれる。
「俺さ、いま結構真剣に言凛ちゃんのこと口説いたつもりだったんじゃけど、伝わらんかった?」
言われて、今度は私が瞳を見開く番だった。
***
結局「返事は今すぐじゃなくてもええけぇね」って言われて、私はそのさんからニッと八重歯を見せて微笑まれた。
「言凛ちゃん、最後にひとつだけお願いがあるんじゃけど」
本州の端っこの県出身だというそのさんは、元々地元の訛りを感じさせる言葉遣いをする人だった。
けれど、告白してくれた途端、被っていた猫を脱ぎ捨てたように方言トークが解放されたように思う。
そうは言っても、語尾にその名残を感じさせられるだけで、本当の意味で分からない言葉を使われたりは、先の「ぶちくそ?」くらいだ。
「……お願い、ですか?」
話し方が砕けて、少し垣根が低くなったように感じる分、何を要求されるんだろうと不安になった私だったけれど――。
「そんな固くならんでもええよ」
クスクス笑われて、少しだけ肩の力が抜ける。
月詠 涼
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鷹槻れん

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#極道
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「俺の呼び名のことなんじゃけどね。〝そのさん〟から〝究〟に昇格してもらえたら嬉しいなって思っただけ」
「きっ、きわっ!?」
大好きな柳川のことですら、未だ苗字でしか呼べていないのに……何でそのさんを下の名で!?
そう思ってから、そう言えば先ほどからそのさん、私のことをしれっと「言凛ちゃん」って連呼してるってことに、今更だけど気がついた。
「その方がなんか特別感出るじゃん? 言凛ちゃんのこと〝鳴宮〟って呼び捨てさしてもらいよった時も、俺ん中では結構そういう特別感みたいなのに浸っちょったんじゃけど」
そこまで言って私をじっと見つめると、「――けど、考えてみたら柳川も言凛ちゃんのこと、親しげに鳴宮って呼んじょるな?って思って」って言うからドキッ!とした。
何でここで柳川のことを言うの、そのさん!
「まぁ、柳川と言凛ちゃんは同期じゃし、俺ら上級生より打ち解けとっても仕方ないんじゃろうけど……」
そこでいきなり距離を詰められて、視界が一瞬で白に包まれる。
最初、何が起こったのか分からなかった私だけど、そのさんにギュッと抱きしめられて、彼の白衣の色に視界を覆われたんだと気が付いて……。
「――っ!」
驚きで身体が動かせなくなった。
「――正直な話。あんまり親しげでマジ妬けたわ」
ボソリとこぼすように落とされた低い声に、心臓がトクンッと跳ねる。
「そ、の……さん」
いつものおちゃらけた感じとは違うその声音に、思わず彼の名をつぶやいたら、ほんの少し腕を緩めたそのさんが、
「ね? じゃけぇさ。俺、ちょっとだけ柳川に抜け駆けしたいんよ。――お願い、ことり。俺のこと、下の名で呼んで?」
そのさん、お返事は待ってくださるんじゃなかったんですか?
そんなに一気に距離を詰められたら私……どうしたらいいか分からないです。
コメント
2件
そのさんは鳴宮さんが好き?
そのさん、告白かっ!!方言全開で「ぶちくそ気になっちょる」から「すっげぇ気になっちょる」への言い直しが愛おしすぎるし、八重歯見せて笑うとことか反則だわ。しかも柳川への嫉妬ぽろっとこぼすのずるい…「妬けたわ」の低い声で心臓持ってかれた。言凛ちゃんが「きわっ!?」ってパニックになってるのも可愛いし、この距離の詰められ方は反則級すぎて次が待ちきれん🔥