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無限城の湿った空気が、胡蝶しのぶの荒い呼吸と混ざり合う。目の前には、姉の仇である上弦の弐・童磨。しのぶの体はすでに限界を迎え、その細い肩が絶望的な運命に飲み込まれようとしていた。その時、空間の歪みから場違いな金属音が響く。「シュッ」というカードを抜く音と共に、銀色の重厚な鎧を纏った戦士、仮面ライダータイガが姿を現した。変身しているのは、一般隊士の村雨雄大だ。
「……何だい? その妙な格好は」
童磨が扇を口元に当て、不思議そうに目を細める。村雨は答えず、召喚機「デストバイザー」にアドベントカードを装填した。
『FREEZE VENT』
瞬間、童磨が放とうとした氷の血鬼術が、逆に童磨自身の動きを凍りつかせた。戸惑う上弦の弐を尻目に、村雨は巨大な鉤爪「デストクロー」を両腕に装着し、しのぶの前へ立ちはだかる。
「胡蝶様、ここは俺が……いえ、俺たちが食い止めます」
村雨の背後には、契約モンスターであるデストワイルダーが壁を突き破って出現していた。しのぶは呆然としながらも、その銀色の背中に言い知れぬ執念を感じる。村雨が狙うのは、単なる勝利ではない。ライダーとしての「英雄」への渇望と、仲間を死なせないという隊士としての意地が混ざり合った、危ういまでの純粋さだった。
村雨は容赦なくクリスタルブレイクのカードを読み込ませる。デストワイルダーが童磨を地面に引きずり回し、タイガがその心臓部へ向かってデストクローを突き立てる。童磨の再生能力を上回る冷気と物理衝撃が、無限城の床を砕いた。
「しのぶさん、今です! 毒を!」
村雨の叫びに、しのぶの瞳に再び光が宿る。彼女は自らを餌にする計画を捨て、全集中・蟲の呼吸「蜻蛉の舞・複眼六角」を繰り出した。タイガが抑え込み、しのぶが突く。科学と呼吸、そして契約の力が重なった瞬間、童磨の首は氷像のように砕け散った。
戦いが終わり、変身を解除した村雨はボロボロの隊服姿で膝をつく。しのぶはその横顔を見つめ、静かに毒の回った体を預けた。
「村雨君……あなたは英雄になれましたよ」
しのぶの命が繋ぎ止められたこの瞬間、無限城の運命は大きく形を変え始めた。