「好きだぞ!類」
「……僕もだよ。司くん」
そう言って2人で笑い合った。
こんな時間がずっと続けばいいのにと、そんなことを思った。
その日は、類が家に泊まることになった。
両親が出張で居ないということで、類の親にも許可を貰っているらしい。
「お邪魔します!」
2人して挨拶をする。
なんだか、不思議な気分だ。
いつもと変わらないはずの家の中なのに、今日はやけに広く感じた。
オレの部屋に入ると、類はベッドの上に座った。
そして、自分の隣を叩きながら言った
「ほら、おいでよ司くん」
その声に誘われるように、オレは類の横へと腰掛ける。
すると、類は嬉しそうな顔をした。
「ふふっ、なんかこうしてると恋人みたいだね」
「……ッ!!」
不意打ちの言葉に思わず赤面してしまう。
「あぁもう可愛いなぁ君は」
ぎゅっと抱きしめられる。
少し苦しいけど、嫌ではない。むしろ心地よいくらいだ。
しばらくそのままの状態でいると、類が口を開いた。
「ねぇ、キスしてもいいかい?」
耳元で囁かれる甘い言葉。
「……ダメって言ったらしないのか?」
照れ隠しでそう返すと、類はくすりと笑みを浮かべて答えた。
「まさか。君からの許可が出るまで待つさ」
それからまた沈黙が流れる。
この静寂を破ったのはオレだった。
「……いいぞ」
「え?聞こえなかったんだけど」
わざとらしく聞き返してくる類。
「だから!いいと言ったんだ!!何度も言わすな!!!」
恥ずかしくてつい大声で叫んでしまう。
「フフッ、じゃあいくよ」
そう言うと同時に唇を重ねられた。
「んぅ……」
息ができなくて苦しくなる。
酸素を求めて口を開けた瞬間、ヌルリとしたものが侵入してきた。
それが舌だと理解するのに時間はかからなかった。
歯列をなぞられ、上顎を擦られてゾクゾクする感覚に襲われる。
やっと解放されたと思った時には、
「はぁ……はぁ……」
肩で息をしていた。
「大丈夫かい?」
心配そうに声をかけてくれる類。
だが、今のオレには答える余裕がなかった。
「無理そうだね。仕方がない、続きはまた今度にしようか」
頭を撫でながら優しい声で言われる
「つづき……?」
ぼんやりとする頭の中でなんとか意味を理解しようとするが上手くいかない。
そんなオレを見て類は妖艶な笑みを浮かべた。
「うん。次はもっとすごいことするから覚悟していてよね」
その日からというもの、オレたちは毎日のように愛し合うようになった。
「好き」「大好き」という言葉を言い合って、お互いを求めあった。
「愛している」とも伝えた。
幸せすぎて涙が出そうになったこともあった。
しかし、終わりというのは突然訪れるもので。
ある日を境に類は学校に来なくなった。
電話もメールも出てくれないし、家に行ってみてもインターホン越しに会話をするだけだった。
何度連絡しても既読すらつかない
「なんでだよ……どうして返事をしてくれないんだよぉ……」
ついに耐えきれなくなって泣き出してしまった時もあった。
でも、諦めるわけにはいかなかった。
そんなある日のこと、担任の教師から
「神代が転校することになった」
と告げられた。
一瞬何を言っているのか分からなかったが、すぐに理解することができた。
「なぁ、嘘だろう?嘘だって言ってくれよ!」
必死に問い詰めるが、返ってくる言葉は同じだった。
「ごめんね。もう決まったことだから……」
「類が居ないとオレはどうすれば良いんだ!?」
「‥ごめんね」
それだけ言い残して教師は去っていった。
それから数日後、本当に類は引っ越してしまった。
最後の最後まで何も言ってはくれなかった。
ただ一言、「さよなら」とだけ
「お前なんか大嫌いだ!!!」
心の底からの叫び声が届いたかどうかは分からない。
きっと届いてないだろうな。
「類がいなければ、こんな思いしなくても良かったのに」
なんて思うこともある。
でも、類のおかげで今まで生きてこれたし、ショーキャストとして夢を持つことができた
「ありがとう」って伝えたいけど、多分あいつは聞いてくれなさそうだな。
それでもいつか必ず会えると信じている。
そしてその時こそ、ちゃんとお礼を言うのだ。
「類、ずっと好きだぞ」
END 続くかも
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