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side暁
居酒屋に向かうと、奥の個室に通された。
ここ辺りは西園寺の縄張りだった。
|西園寺京悟《さいおんじきょうご》。
若頭の1人で、主に企業や風俗店、また飲み屋などからのみかじめ料で稼いでいる。
俺とはそんなに仲が良い訳ではないが、若頭の1人として会えば話はする。
しかし、こうして個別に会いたいというのは、はじめてのような気がする。
奥の個室に入ると、西園寺は片手を上げて挨拶した。
「久しぶりだな、西園寺。」
俺は対面の席にあぐらをかいて座った。
「あぁ、君は相変わらず稼いでるようだね。」
西園寺は言う。
「ま、それなりに。
そっちだって、地方にまで手を伸ばしてるそうじゃないか?」
「まぁね。
いや、今日はその話じゃ無いんだよ。」
西園寺は言う。
「どんな話なんだ?」
「妹の美香がね、君との婚約…いいや許嫁を解消して欲しい、と言ってきたんだよね。」
「ほー。
まぁ、オヤジとお前の亡くなった父ちゃんが勝手に決めた間柄だったしな。
今となっては…
良いんじゃないか?」
「まだ、理由を言ってないだろう。」
「俺が冷たいからじゃ無いのか?」
「いいや、美香に好きな男ができたらしい。」
「へー。
そうか。
別に良いじゃないか?
どこのもんだ?
その美香が好きになったのは?」
俺は尋ねる。
あの気の強い美香が本気で好きになった男とは…
どっかの組のもんか…?
しかし、俺の予想は見事に外れた。
「警察官だよ。」
「は!?
…サツ!?!?
マジかよ…」
「美香はその男の為に、僕と縁を切ってでも結婚する、と言っている。」
「はぁ〜…
そりゃまた…」
俺はマヌケみたいにそれしか言えなかった。
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