コメント
1件
バンッ!?バンッ??!!バンッ!?!??!!!?
「つまり…依頼内容が抹消されていた…と」
「はい。なにか気になることがあれば独自で調べるというのがうちの方針なんですけど、調べたところ、それに携わった人間の「記憶」さへも抹消されている様子でして…」
後頭部を押さえながら何がなんだかと困り果てる彼の顔を見て申し訳なくなる。
その「依頼人」が今現在、自分の横に座っている、と言えば性懲りもなく彼を調べるだろう。
僕の記憶もそうだったが、どうやらぐちつぼには「記憶を操作する何か」があるらしい。
「なるほど…」
「正直、依頼内容を隅々まで見る人間なんて、今の御時世いない気がしますし。…お力になれなくて申し訳ない」
ソファに腰掛けながら頭を深々と下げる彼に首を振る。
「いえ、私達も何がなんだかわかっていない状況だったので。…自分たちの身の回りで起こっていることが一緒なのであればむしろ安心なんです」
良かったとわかりやすく胸をなでおろせば、頭を上げた彼は優しく微笑んだ。
彼は本当に人間を疑わないようだ。
「突然押しかけてすいませんでした。では、私達はこれで」
「いえいえ、入って早々にお怪我をさせてしまうところでした。本当にすいませんね」
「いえ。では」
ぐちつぼを先頭に事務所を出ていこうとする。
「ちょっと待てや」
先程睨むばかりで口を開かなかった彼が僕らの足を止める。
「本当に話はそれだけか?」
_______________
「執事さん執事さん」
紫色の瞳が執事の顔に近づく。
いきなりの事に思わず一歩仰け反るもすぐに綺麗な佇まいに戻る彼。
「何でございましょう」
「今回らっだぁが向かった事務所ってどんなところなの〜?」
ニコニコ笑顔が絶えない彼は少し不気味だった。
「…そうですね。私も深くは存じ上げないのですがあまり良い印象の事務所では無いそうです」
「あぁ〜だからさっきからソワソワしてるんだ。なるほど〜」
先程から執事の体は無意識に暖炉の前を行ったり来たりしていた。
またもや紫色の瞳が距離を縮める。
「全部話してよ。「情報屋さん」」
_______________
「…それだけって?」
「とぼけんなや。お前の前におるソイツ、人間じゃないやろ」
前にいる人物、それがぐちつぼを指していることぐらい容易に理解ができた。
だが正直自分の頭の中はパニックになっていた。
どうしてバレた…?
「なんでバレた、か」
驚きによるものか、はたまた恐怖によるものか体が少し震える。
思考を読むことができるタイプの人間…?いや…能力?
「ははっ!大正解やっ!」
バンッ!!