テラーノベル
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「僕、問のこと好きになっちゃったみたい…」
その言葉が発された瞬間、頭の中に疑問符が浮かんだ。思わず「うん、知ってるけど…?」と返すと、「そうじゃなくて」と訂正された。
「……え、つまり…」
頭の中の疑問符がさらに増えた。
「そうじゃない『好き』」なんて、ひとつしかない。
「…自覚したら隠せなくなって。そのせいで不安にさせて、本当ごめん」
断ってくれたら吹っ切れるから、と何故か傷ついたような表情で言う言。
「待ってよ、嫌だなんて言ってないじゃん」
「…え?」
今度は僕が覚悟を決める番だった。
「…好きとかはまだ分かんない。けど、嬉しかったよ」
途中で目を逸らしてしまったけど、言の表情が一気に明るくなるのが分かった。
「え、ほんとに?」
嘘ついてたら分かるでしょ、と照れ隠しで笑う。
「これからちゃんと好きにさせるから」
覚悟しといてよ、と屈託なく笑う言ちゃんを見て、少し悪戯心が湧く。
「…じゃあキスしてよ」
「っえ、」
好きにさせるんでしょ?
そう微笑んでみせると、言は耳まで真っ赤になって「…さすがに、心の準備が…」と目を逸らした。
_あれ、なんか可愛いかも。
「…ん、」
考えるより先に身体が動いていた。
「…かわいー…」
「……普通逆じゃない?」
顔を見合せて笑う。さっき言は「好きにさせる」なんて言ったけど、その必要は無いみたいだ。
僕らはもう一度キスをして、互いの手を握りながら眠りについた。
コメント
2件
最終回…!! 神作すぎました…!! rlさんの作品本当に大好きです!