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千秋と美紅が恋人同士になったのは、部署だけでなく社内にまであっという間に広まった。

千秋が今まで付き合っていたタイプは美人で大人しく、美紅とは違っていたせいかそれも余計に一部の女子の間では騒然となった。


「なんか目立ってます。最近、女子の視線が痛いです」


千秋のマンションに遊びに来た美紅は、頬を膨らましてプンプンする。

千秋がいかに女子に人気があったのか思い知った。


「そうか?俺、そんなに人気あったのか?」


涼しい顔で言う千秋に、コノヤローと美紅は内心叫んだ。


「もうッ!わざとらしいんだからッ!」


怒る美紅を千秋は抱きしめる。


「俺は美紅だけに好かれれば良いの。美紅こそお前は自分の魅力分かってねーし!」


千秋に抱きしめられるのは、気持ちが良くて美紅はうっとりする。


「俺がお前に告ったのだって、誰かに取られたくなかったから」


千秋の告白に美紅は目が点になる。


「お前こそわざと分からないフリしてねぇ?お前、社内で人気あるんだよ。顔だって可愛いし、とにかくなんでも必死に頑張るし性格も良いし。人気ないわけないだろ。俺まで本気にさせやがって」


こんなに誰かを好きになるのは、本当に久しぶりだと千秋は思った。

美紅が言うように、自分が女子に人気なのは分かっていた。

アプローチも散々されて来た。

もちろん、何人とも付き合って来ていた。

ただ多忙な仕事が原因で別れていた。

そんな時に美紅が目の前に現れた。

自分から欲しいと思ったのは、社会人になってからは美紅が初めてだった。


「えー!全然気づかなかった!だって私、千秋さんしか目に入らなかったもん!」


美紅の言葉に千秋は笑う。

美紅には本当に敵わないと思った。

最強に愛おしいと思った。

優しいあなたは罪な人

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