テラーノベル
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写真の日付は、昨日だった。
そんなはずない。
昨日、私はこの二人と初めて過去の話をしたはずなのに。
「……これ、誰が撮ったの?」
私が聞くと、湊と律は同時に黙った。
そして。
スマホが震えた。
匿名アカウントからのメッセージ。
『もう、隠すの疲れた』
『最後に、三人で会おう』
場所は、学校の旧校舎。
時刻は、23時。
私は二人を見た。
「……行く」
「ダメだ」
湊が即答した。
「危ないから」
「じゃあ、全部教えてよ」
私は二人を見つめた。
「私の知らないところで、何をしてたの?」
律が目を伏せた。
「……わかった」
「俺たちも一緒に行く」
*
午後11時。
旧校舎の教室。
電気は消えていた。
窓際に、一人の女の子が立っていた。
長い髪。
私と同じ顔。
「……美琴?」
女の子は、ゆっくり振り返った。
「久しぶり、琴音」
その声を聞いた瞬間、頭の中に記憶が流れ込んできた。
十年前。
私たちは、いつも四人で遊んでいた。
私と美琴。
湊と律。
四人で交わした約束。
『大きくなったら、みんなでまた会おうね』
でも、ある日。
私たちは離れ離れになった。
私は記憶をなくした。
美琴は、いなくなった。
湊と律は、それぞれ別の場所で生きることになった。
「……なんで、今まで連絡してくれなかったの?」
私が聞くと、美琴は笑った。
「だって、琴音」
「私たち、約束したでしょ?」
「……何の?」
美琴は、私の手を握った。
「大人になったら、好きな人を教え合うって」
……あ。
思い出した。
小さな私たちが、笑いながら交わした約束。
『絶対に、好きな人を隠さないこと』
私は、ゆっくり湊を見た。
湊は、泣きそうな顔をしていた。
「……俺、ずっとお前が好きだった」
律も、静かに口を開いた。
「俺もだよ」
二人とも、私を見ていた。
でも、もう迷わなかった。
私は、湊の前に立った。
「……私ね」
「うん」
「ずっと、あんたのことが気になってた」
湊が目を見開いた。
「振られたとき、すごく悲しかった」
「……ごめん」
「でも、今は理由がわかった気がする」
私は笑った。
「だから、今度はちゃんと言って」
湊は、少しだけ震えながら、私の手を握った。
「琴音」
「好きだ」
「今度こそ、嘘じゃない」
私はうなずいた。
「……私も」
その瞬間、律が大きく息を吐いた。
「……負けたか」
「律先輩……」
「いいよ」
律は笑った。
「でも、ひとつだけ言わせて」
「何?」
「俺のこと、忘れるなよ」
「忘れるわけないじゃん」
そう言うと、律は初めて、本当にうれしそうに笑った。
*
それから一年後。
私は、湊と付き合っていた。
律は相変わらず意地悪で、美琴は毎日のように恋バナを聞いてくる。
あの日のことは、もう誰も隠していない。
……はずだった。
ある夜。
午後11時。
スマホが震えた。
知らないアカウントから、DMが一件。
『幸せそうでよかった』
私は、思わず笑った。
『ありがとう。あなたは誰?』
すぐに既読がついた。
そして、返事が届いた。
『君が最後まで思い出せなかった人』
……え?
続けて、写真が一枚。
そこには、幼い私が写っていた。
隣には、湊。
律。
美琴。
そして、もう一人。
見覚えのない男の子。
写真の裏には、こう書かれていた。
『五人で、ずっと一緒にいよう』
私は、息をのんだ。
四人じゃなかった。
最初から、五人だった。
そして最後に、もう一通。
『琴音』
『今度は、俺を見つけてね』
――完。
コメント
3件
最終話だったら、完結押しときな!押し方は、ストーリ考える押して、この表紙おして、完結ボタン押す
琴乃まりんさん、最終話、拝読しました……! 湊くんの「今度こそ、嘘じゃない」にじんと来ました。律先輩も含めて、三人の距離感がぎゅっと詰まった描写がとても丁寧で好きです。でも最後の「五人目」の存在……あれで一気にまた謎が深まって、鳥肌が立ちました。続きが気になります……!