「私も、こんな絶品なおつまみが作れるようになりたいです」
お酒を一口飲んで呟くと、
「そういえば、君の手料理も食べてみたいな」
インゲンのごまあえを箸で摘まんでいた彼が、ポツッと口にした。
「えっ……私の、ですか?」
一人暮らしをしていることもあって、ある程度の料理は作れたけれど、腕前と言えばごく普通で、たいして自信を持って振る舞えるような食べものは浮かばなかった。
「……さすがにこういう味のある一品とかは、私にはちょっと無理かもしれないです」
少しばかりうなだれて言う私に、
「いや、どんなのでもいいんだ」
と、彼が升酒を手に話した。
「君が作ってくれたものなら、なんでも最高に美味しいはずだからな」
そんな嬉しい言葉をかけられたら、舞い上がってしまいそうにもなる。
「だから今度にでも、僕に手料理を食べさせてくれないか?」
彼にこくっと頷いて、「はい、今度、きっと」と、はにかんで伝えた……。
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