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その日のお酒は、あんな出来事もあったせいで、自分でもいつもより酔うピッチが早いようにも思えていた……。
けれど、(少しお酒の量を控えないと……)とは、頭では思いつつも、おばんざいはどれも美味しくて、ついついお酒を飲む手も止まらなくなっていた。
「……大丈夫か? 水を飲んだ方がいい」
彼にグラスを差し出されて、「ありがとうございます、大丈夫です……」と、水の一口を含んだところまでは憶えてる。だけど、その後の記憶がすっぽりと抜け落ちてしまっていた……。
……ハッとして目を覚ますと、そこは自分の部屋のベッドの上で、矢代チーフが心配そうに私の顔を覗き込んでいるのが見えた。
「あっ……私、どうして……」
「起きたか? 君が酔ってしまったから、家まで送って来たんだ」
「すす、すいませんっ!」と、起き上がりざまに、頭を下げる。
「ああ、そんな風にいきなり起き上がらない方がいい」
彼の腕に、身体が抱き留められる。
「あっ……痛ぅー」指摘をされたように、案の定、急な頭痛に見舞われて、両手で頭を押さえた。
「気をつかわないでいいから。ほら、もう少し水を飲むか?」
ベッドサイドのキャビネットに置いてあったミネラルウォーターのペットボトルが手渡されて、ゴクッと中身を飲み込むと、
「あ、あの私、酔って何か、しでかしませんでしたか?」
チーフには元彼の一件でも迷惑をかけたのに、その上酔って何か失態を犯さなかっただろうかと心配になり、そう恐る恐る尋ねてみた。