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「先ずはみんなに君を紹介しよう。」
トールは、そう言って俺を部屋の外へと連れ出し、みんなが食事している所へ案内してくれた。
焚き火の前で数人が食事をしていた。
そういえば昼飯食ってなかったな。
昼っぽいけど、今何時なんだろう。
「やぁ、ミスター・トール。その子は誰だい?」
そう話し掛けてきたのは、蛇のような肌の少年だった。
この子は、一体何かの病気なんだろうか?
「この子はちょっと事情があってね。ウチで預かることになった。名前は…自分で言えるかな?」
トールにそう聞かれたが、俺は蛇少年を見たまま口をパクパクさせていた。
その様子をトールも蛇少年も周りのみんなも見て笑った。
笑われている事に気付いた俺は罰が悪くなり、頭を少しかいてから軽く会釈した。
「あ、えっと、リュウです。よろしくお願いします!」
「あはは。俺はエブラ・フォン。よろしく、リュウ!」
エブラが笑いながら握手を求めてきた。
「よろしく、エブラ。」
俺はエブラの握手に応じた。
蛇みたいな見た目だからか、少しひんやりした手だ。
この子もサーカスの人なのだろうか。見た目は中学生、下手したら小学生みたいな見た目なのにな。
「それじゃあ、エブラ。後は任せてもいいかな?」
「うん、いいよ。」
トールは、俺を置いて何処かへと去っていった。
「公演が近いからね。何かとミスター・トールも忙しいんだ。」
エブラはそう言うと、今一緒に食事をしている仲間を紹介してくれた。
「曲芸師のアレクサンダー・リブス!」
骨と皮だけじゃないか?
「手男のハンス・ハンズ!」
手の筋肉が凄いな。脚みたいだ。
「髭女のトラスカ!」
金髪で綺麗な人だけど、何故かこの人だけ訛って聞こえるな。
「トラスカと話す時は、俺を……って、リュウ、トラスカの言ってる事分かるの?」
エブラが不思議そうに聞いてくる。
そういえば、エブラもそうだが、ここに来てから全員と話せてるし、文字も読める。
コレが羅堂の言ってた翻訳機能か。すごいな。
「うん、何となくね。」
「すごいじゃん!トラスカと話せるのは、このキャンプでも俺だけなのに!」
そうなの!?この女性、大変なんだなぁ。
「トラスカ良かったね!」
トラスカは、嬉しそうに俺の手を握ってきた。
「嬉しい。聞きたい事があったら何でも聞いてね。力になるわ。最初の手助けは……はい、どうぞ。」
トラスカがそう言って渡してくれたのはホットドッグだった。
「ベジタリアンだった?」
「いえ違います。ありがとうございます。」
近くで見ると本当に美人だし、優しい人だなぁ。
この人は一体何の芸をするんだろうか。
「そういえば、エブラは何の演目をやるの?」
俺がそう聞くとエブラはニヤッと笑った。
「動物使いならぬ、蛇使いってヤツかな?」
「蛇使い?」
「そう!後で、俺の愛する相棒達を見せてあげよう!」
食事を終え、俺はエブラに案内されて、エブラのテントの前に到着した。
中に入ると、大・中・小の様々な蛇がウネウネとうごめいていた。
「こ、これがエブラの相棒?」
俺は正直ちょっとどころか、かなり引いていた。
「『これ』って酷いな。俺の相棒だぞ?」
「ご、ごめん。あまり蛇を見慣れてなくってさ。それと、ずっと気になってたんだけど、失礼じゃなきゃ聞いてもいいいかな?」
「何?」
「ここアメリカ?」
「イングランドだけど。自分がいる国がわからないのか?」
「イングランドってイギリス?」
「そうだけど…。どうした?」
イギリスの人達って変わった見た目の人が多いんだな。知らなかった。
俺も変に見られてるんだろうか。
「エブラ、俺って変かな?」
そう聞くと、エブラは目を見開いて驚いたと思いきや、急に大笑いし始めた。
「そうだな!自分のいる国が分からない奴はだいぶ変だよ!」
「そういう事じゃなくって!……はぁ。」
ダメだ。この子、ツボってる。