良仔は、デッサンモデルで日当5千円にあり付いた。学生画家のモデルで、午後から2、3時間で有る。デッサンの練習用で、毎回1つのポーズをつけられ、複数の学生が彼女を描く。
「今日は初日なんで、この椅子に腰かけて、窓のほうを見ていて下さい。」有る学生に言われ、「あのう、スマホとか見ちゃいけませんか?」「そうね、チョット意見聴いて見ましょう。」学生は全員に「え〜。モデルさんから、スマホを見ていたいと言う希望がありますが、『スマホを見る女』と言う題材で賛成の人?」反応は皆無だった。「じゃ窓のほうでお願いします。」しぶしぶ良仔はそうした。服装は自由なのでジーンズにテイーシャツだった。ボーっと窓の外を見ていたが、その時だった。ビルの屋上から飛び降り自殺をしそうな女子を見た。良仔は突然立ち上がり悲鳴を上げた。「ジ、自殺じゃ無いですか?」室内は騒然としたが、「この大学は映像も有ります。向かい側は撮影中です!」と言われた。ぶっつわっているのは全く疲れる。少し腰を浮かすと、「ポーズを変えるようないい加減なモデルは止めて欲しい」
と言う意見が出た。良仔はここでも、大嫌いな言葉を聴いた。
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