【第二話:吾輩は飛行機】
【A】 《1月10日10:16》
Twitterを開いた。
友人からのDMだった。
『Re:腹減った』
天の声が聞こえた気がした。
調理師が呟いていた。
『 星の王子様の気持ちになってみて。
もしくは両利きの人の、気持ちになってみて。心がすーっと楽になるはず。どんな時でも 自分に素直でいてね。』
気がつくと、
僕は彼女のインスタを開いていた。
彼女『…連絡遅くなってごめんね、大丈夫?』
今更だが、患者に散々言ってきた言葉を、
自分が立場逆転でやるって難しいよなぁ。
例えるなら、
折り紙の折り鶴が鶴にならず、
ただだ駄々を捏ねる子供のようで。
なのに今まで無理やり心に嘘を聴かせた。
僕『嫌なことがあったら、
1日1メモリーずつゴミ箱に捨てるんです。
そうすれば双極性感情障害なんてすぐに乗り越えられますよ!!』とか。
今思い返せば、
僕は幸せな生活を送っていたと思う。
そういえば、彼女は元気だろうか…。
彼女というのは、
数年前まで付き合っていた子だ。
彼女とは職場で出会った。
調理師の彼女は贅沢な人だった。
僕にはもったいなかった。
要領もよく仕事が出来、愛敬もあった。
人気者で主任を任されていたのだ。
大切な人だった。
タイミングが合わず、相違の価値観で別れた。
そんな彼女と迎えた令和元年、 2018年。
何か違和感が心と体を襲う。
モヤモヤするし、朝の時点で体温は37.1℃。
院内はコロナ真っ只中。
嫌な予感しかしない。
⭐︎R7/3/23→コロナと診断⭐︎
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!