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「水の中」( 敦太 )













ド …  ぽん っ …… ッ 。


水に何かが勢い善く入り込む 。落ちて来たモノの廻りには 、大量の大きな泡や小さな泡が有った 。其の泡が 、水面に向かって行くと 、段々 、落ちて来たモノの正体が露になっていく 。


人だ 。水に落ちて来たのは 、外套を羽織り 、腕に包帯を巻いた茶髪の青年だ 。彼の人は 、眼を綴じ乍 、水 。否 、川に沈み乍 、漂っている 。


私は 、死ねるのか …… ? 親友の基に 、織田作の処に 、行けるのか …………… ? 嗚呼 、嗚呼 、やっと 。やっと 、逢える 。夙く 、夙く …  、死ねない かな ………………………… 。織田作に 、今直ぐに 、逢いたいよ … 。



「 ……… い … ん っ !!」



誰 … ?


眼を開ける 。水のせいで 、視界がぼやけて見えるが 誰か居る 。私に向かって 、手を前に出して 、差し伸べている 。


( 嗚呼 、君は 、何時も邪魔をするよね ……… 。)


視界がぼやけきッてても判る 。水の中の光に照らされているお陰で 、ぼやけきッた視界でも 、誰だかくらいは判る 。あれは 、あの …… 姿は 、間違い無く 。










太「 げほっ … ッ 、ぇ 、ほっ … 。は ー っ 、は ー っ 。」


陸に上がった事で 、躰が酸素を求めていた 。二酸化炭素を出したがっていた 。


外套や茶髪の髪 、躰に巻き付けられな包帯は 、濡れていた 。川の中に居たのだから当然である 。

琥珀色の瞳が 、一緒に濡れている白髪の少年を写した 。


太「 …… 、敦君だ ………………………… 。」


敦「 な 、何やッてるんですか!!!!?太宰さんっ 、貴方っ 、何時も助ける 、僕の身にもなって下さいよっ!!!!!!」


敦と喚ばれる少年は 、太宰の声が聴こえたと思ったら 、直ぐ様に怒りをぶつけて来た 。一応 、上司で有る為 、本当の気持ちは少しだけ 、抑えて 。


太「 い 、厭ぁ 。其此に入水に善さそうな川が有ったモノでね 。」


敦「 今回は 、」


敦「 今回は 、無事でしたが 。僕が何時でも助けれる訳では無いんですよ 。」


敦「 太宰さん 。僕は 、貴方に死んで欲しく無い 。」


敦の瞳は 、揺らいでいた 。太宰を喪ってしまう恐怖 。何時も 、死のうとする哀しさ 。其の感情を持ちながら 、瞳には太宰を写していた 。


太「 … 、ふっ 」


太「 敦君  。」


敦「 ! 、は 、はいッ … !!」


太「 敦君 、君は 、私が死にそうな時に 何時も 直ぐに助けに来てくれるだろう 」


敦は 、静かに頷く 。


太「 其れで善いンだよ 。」


敦「 … へっ ?」


間抜けな 、頼りなさそうな声と顔が太宰の言葉の返答に返ってきた 。其の姿が幾分許か面白い 。自然と顔が緩んでしまう 。


太「 そんなに可笑しかったかい? ( 笑」


敦「 い 、否っ !そう云う理由では 、無いンですけど ぉ……………… 。」


太「 厭ぁ 、済まないね 。( 笑」


太「 まあ 、兎に角 、ね 。敦君が私を生かしたいなら 、私を意地でも助ければ善い 。その代わり 、私も死ぬ努力はするからネ 。」


敦「 死ぬ努力は 、しないで下さいよ ぉ ……… 」


太「 其れは 、無理なお願いだね 。敦君 。」


敦「 絶対に死なせません!!!!!太宰さんは 、僕の大切な人ですから!!」


太「 うふふっ ( 笑」


太「 敦君が生きてる迄は 、私の生命は尽きる事は無さそうだねぇ … ( 笑」


























ザ ー ー ー っ 。


敦「 ……………………………………………… ッて 、約束 、した 、のに …… っ 、」


雨が降る音が聴こえて来る 。強い雨でも無く 、弱い雨でも無い 。


敦「 行かないで 、下さい 、よ ぉ … っ ( 泣」


敦の眼の前に有るのは 、濡れた外套を羽織った茶髪の眼を瞑っている青年 。其の青年の腹部には 、紅い 。血が染み渡っていた 。


敦「 太宰 ………… っ 、さん … っ( 泣」

敦「 うぁ “ 、ぁ”ぁ ぁ 、あ …ぁ “………ぁぁ  ……… っ” 。( 泣」


雨の音 。只 、其れだけが聴こえていた 。









こう云う最後に関連する系の噺 、好き🫰

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