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続きが気になる!!面白すぎるよー!
「会議室借りとくからね!」
戻るぞと付け足して速やかに廊下に出た無蛇野。1人滑る長い廊下には人影はなく、誰も歩いている様子はない。
ローラースケートの音だけが哀しげに響いていた。
広い部屋に残された生徒達は後ろ髪を引かれる思いを僅かながら感じつつも無蛇野を追いかける、その背中を花魁坂は手を振って見送った。
空いた窓からは吹く風で四季の膝に置かれていた分厚いアルバムのページがめくれて行った。
椅子を持ってきて向かいに座る花魁坂は写真の中で元気に美しく笑う目の前の彼女を見る。
撫でる頬は自身の平熱より低くでも確かに熱を感じられる、内心では安堵のため息をゆっくりと吐きだしている。
まだ生きてる…
花魁坂の細やかな願いは今日も叶ったようだ。
鬼神として最前線で戦わなくて良い、援護として自分の後ろに居てくれるだけで良い。
後ろに居なくても良い、守らせてくれればそれで良い。
守らせてくれなくても良い、笑ってくれるならそれで良い。
笑っていなくても、生きてさえいてくれればそれで…それだけで良い。
誰よりも優しくて、誰かの為に戦う…戦っていた君が生きていてくれば、それで良いんだよ。
「四季ちゃん、今日は…天気良いね」
下ろされた横紙を耳に掛けてあげる。紺じゃないけど、綺麗だ。
「あっ、皆んな来たんだ〜」
「遅くなった」
広い会議室で四季ちゃんも連れて待っていた。四季ちゃんがいるのは最上階ここは来客者は直ぐ辿り着けるように一階にある。
まぁ四季ちゃん軽いから、お姫様抱っこで簡単に行けるんだけどね!
「ダノッチと皇后崎君、遊摺部君に矢颪君か…」
「屏風ヶ浦ちゃん達は?」
キョトンと首を傾げて全員いないことを不思議に感じている花魁坂。
「あぁ、遅れてくるそうだ」
「屏風ヶ浦は自分なんかが…と言ってたな、漣はビビってる手術岾を慰めるらしい。」
「そっかそっか、じゃそっち座って〜」
あ、ダノッチはこっちね。と次々に進めていく花魁坂。それに従う面々、1人静かに席に着いている昼間の女性。
そうこうしていれば会議室の簡素な扉が開いて猫咲と印南が入ってきた。
「あれ、今日は人数多いんですね。」
「少年達…」
「四季ちゃんのこと聞きたいんだってさ」
お茶を用意しながら背中を向けて簡単に説明した、どうせこの後もまだ来るんだからいちいち無駄じゃないのか…と考えていた無蛇野がふと廊下を覗くと、真澄にビビる猫咲、紫苑に冷たい目を向ける並木度と咳混じりの吐血をしながら皆んなが居ることを伝える印南。
「まっすー達来た?」
「直ぐそこに居る」
一体何回驚けば済むのだろうと遠い目をする遊摺部。担任曰く練馬の偵察隊隊長のあの人まで来るのか…しかもその人以外にも。
「すいません、遅くなりました」
ドアを開けた並木度の後から真澄、猫咲…と顔を知らない筈がない合計5人は入ってきた。
生徒は一同に思う
『この四季って女性何者だよ…』